45 / 273
第3章:魔人襲来
合流2
しおりを挟む
「はっ、はっ、はっ」
ジンはティファニアが作り出した森の中をものすごいスピードで駆け抜ける。数百メートル先にある砦が徐々に近づくにつれ付近に夥しく広がる戦闘の残滓を目の当たりにする。マリアの無事は確信しているがそれでもやはり不安は拭きれなかった。
門の前には魔獣たちが群がっており、とてもではないが正面突破は無理そうだった。そこでジンは壁に最も近い木に駆け上り、一気に天辺まで登る。それから彼は木を蹴って10メートル先にある壁に向かって跳躍する。脚力を限界までに強化したことにより彼はなんとか壁に張り付くことができた。そこから短剣を用いて器用に100メートルはある壁を登っていき、あっという間に城壁通路までたどり着く。だが警戒中の兵士が思わず驚き、彼に弓を放ってきた。
「うわぁぁぁ!?」
すんでのところでジンはそれを躱す。頰を薄皮一枚切り裂いたその矢はジンが跳躍に利用した木にスコンと小気味良い音を立てて突き立った。
「待って!俺だよ、ジンだよ!」
「お、驚かせるなよ…魔獣かと思ったじゃねえか」
そう言って来たのは普段は門番を務めているはずの蜥蜴人のウルガだった。どうやら通路の警邏していたらしい。その顔はいつもの自信に溢れた表情とは異なり、緊張感に満ち満ちていた。
「ごめんごめん、ちょっと急いでてさ。ねえウルガ、マリアがどこにいるか知らないかな?」
「マリアか?マリアなら兵舎の方にいると思うぜ。多分将軍たちと一緒なはずだ」
「わかったありがとう、行ってみるよ!」
「おう、あっ、上に気いつけろよ。俺たちであらかたぶっ殺したが、空から来るやつはまだまだいるからな」
「うん、そっちも気をつけて!」
「おうよ、ってちょっと待て、おい!」
ウルガの抑止を聞かず、ジンはそのまま100メートル程下にある地面に向かって飛び降りた。そして着地すると同時に兵舎に向かって走り始めた。
「おいおい、マジかよ…」
目の前で起こったことに呆然としつつも、ウルガは少し冷静になれた気がした。この街には自分の理解の範疇を超えた存在が三人もいるのだ。きっとこの苦境も彼らがなんとかしてくれるだろうと。
「うし!そんじゃあ見回りを続けますかね」
彼の表情は先ほどよりも柔らかくなっていた。
10分もしないうちに、ジンは兵舎の前まで到着した。入り口前に立っていた門番に軽く挨拶を交わし、建物の中に入った。
彼の目の前の床には傷病人が老若男女関係なく横たわり、その周囲を医者や看護師、それと動けるものたちが走り回り介抱していた。
「あ、アルマおじさん!ごめん、ちょっと良いかな?」
目の前を見知った男が通り過ぎようとしたのでジンは声をかける。初めてこの街に来た時にケルバを食べさせてくれた狸、もとい猫人のアルマだった。
「なんだ今忙し…ってジンじゃないか!無事だったのか!?どっか怪我はしてねえか?」
彼は荒い呼吸をしながらそんな風に心配そうに聞いてきた。
「うん大丈夫。特にどこも怪我してないよ」
「そんなこと言ってもお前、服に血がついてるじゃねえか!」
「え?ああこれは俺の血じゃないよ。さっき魔獣が襲ってきたからそれの返り血だ」
「ほ、本当か?それなら良いんだがよ。いつも一緒のやつらはどうした?一緒に来たのか?」
「いや、ティファニア様のところにいると思う。だからまだ街の外なんじゃないかな」
「そうか。そんで、わざわざ呼び止めたってことは俺に何か聞きたいことがあったんじゃないか?」
「ああ、うん。おじさんはマリアがどこにいるか分かる?」
「おお、知ってるぜ…」
アルマは簡単にマリアがいるであろう司令室への道順をジンに伝える。
「ありがとう!」
ジンはアルマに礼を言うと司令室のある方へと駆けて行った。
中から様々な声が聞こえてくる部屋まで辿り着き、ドアの前に立つ兵士に声をかける。ジンを見た彼はドアをノックして中に入りドアを閉める。だがすぐに入室の許可を得たのか、ドアを再び開けてジンに部屋の中に入るように促した。
「よく来たなジン」
入室した彼が軽く頭を下げるとその部屋にいた者たちが一斉にジンの方を目を向けて来た。疎ましいその視線に晒されていると、重苦しい空気が漂う部屋の奥から狼人のヴォルク将軍が声をかけてくる。
「久しぶり、ヴォルクおじさん」
2年ほど前、ジンがエデンに来てしばらく立った頃、マリアとウィルに連れられて、ヴォルクに会いに行ったことがあった。その時はよく大声で笑う豪放磊落で、温和な印象の人物であったが、現在目の前にいる彼はまるで別人のようである。鋭い眼は理知的な光を灯すとともに、どことなく荒々しい色を見せている。また彼のうちに秘められている殺気が強烈すぎて抑え込めないのか、彼と目があったジンを怯ませた。
「マリアのことを聞きに来たのか?」
「う、うん。マリアは今どこにいるの?無事なの?」
「彼女なら隣の部屋で少し休んでいる。さっきからずっと戦いっぱなしだったからな。ただ疲れているだけだ」
それを聞いてようやくジンは人心地ついた。すると緊張がほどけたためか、ガクンと膝から力が抜けて、そのまま床に倒れるように座り込み深いため息をついた。
「ここまでご苦労だった。話は大体ティファニア様から聞いている。お前も少し休め」
そんなジンを見て少し険が取れたのか、穏やかな声でジンに話しかけて来た。
「うん、ありがとう。でもその前に今どういう状況なのか聞いても良い?」
「お前が休んでから話そうかと思っていたんだが、まあ良いだろう」
そう言ってヴォルクはざっとした説明をジンにした。
「…というわけだ。ただまあ、俺を含め三人の使徒がここにいるんだ。そんなに時間はかけずに終わるとは思う。問題はそれまでにどれだけ犠牲者が出るかというところだが、まあとにかく今は休め。マリアのいる部屋にまだ空いているベッドがあるからそれを使え。ひどく疲れているように見えるぞ」
ジンはそう言われてようやく自分の体が悲鳴をあげていることに気がついた。3体のキマイラを倒し、そこから全力で駆け巡ったのだ。疲れていない方が不思議である。気を抜けば今にも意識を失いそうだった。
「わかった。それじゃあ少し休ませてもらうよ、また後でね」
「ああ、その時はしっかり働いてもらうぞ」
そんなことを言ってくるヴォルクに背を向けてよろよろとジンは部屋の外に出た。
~~~~~~~~~~~
「本当にあんな子供が使えるんですかい?」
「当然だろう?ウィルとマリアが仕込んでるやつだぞ。あいつはまだまだガキだが結構強い。もしかしたらお前よりつ実力は上かもしれんぞ?」
そうヴォルクに話しかけて来た彼の副官に対して、ヴォルクは笑いながら言った。
~~~~~~~~~~~
重い足取りの彼が案内された部屋に入るとマリアがいびきをかきながら眠っていた。よっぽど疲れが溜まっているのだろう。ジンが中に入ったことに気づいた様子は全くなかった。それを見て安心した彼はよろよろと歩きながらなんとかベッドに倒れこむ。どっと疲労が訪れた彼はあっという間に深い眠りについた。
ズズン、ズズンと遠くの方から鳴り響く音でジンが目を覚ますと辺りは夜の帳が降りていた。淡いろうそくの炎が部屋の中を照らしている。途端に意識が覚醒し、慌ててマリアの眠っていたベッドに目を向けるとすでにもぬけの殻であった。
「どこに行ったんだろう?」
と小さくジンが呟くと、ドアが開きマリアが部屋の中に入って来た。その手にはサンドウィッチがいくつか握られている。どうやら食料を取りに行っていたらしい。
「おや、起きたのかいジン」
そう話しかけて来たマリアには一切怪我のようなものは見られなかった。
「うん、マリアも大丈夫だった?ヴォルクおじさんがマリアは凄い疲れてるって言ってたけど」
「ああ結構寝たからね、もう大丈夫さ。あんたこそどうなんだい?怪我はしてないかい?」
「俺の方も大丈夫。とにかく合流できてよかったよ」
「そうだね。それよりほら、お腹空いているだろ?調理場を借りてサンドウィッチ作ってきたよ」
差し出されたそれを受け取るとジンは齧り付き、あっという間に食べ終えた。
「それで俺はどんぐらい寝てたの?それと今はどんな状況なの?」
「かれこれ7、8時間ってとこかね、今は真夜中だよ。そんでティファニア様の部隊が今攻撃しまくってるところさね。全体の半分はもう削り切れたところさ」
ジンの疑問に対してマリアが答える。どうやらこの遠くから聞こえる攻撃音はティファニアたちによるものらしい。
「あんたは朝までゆっくり休みな。まあ五月蝿くて寝れないかもしれないけどね。明日の朝からあんたには活躍してもらうよ。」
「うん、わかった。マリアは今からどうするの?」
「あたしはティファニア様のお手伝いさ。まだ本調子じゃないけど、できることはしなきゃね」
「そっか。あっ、ウィルは?もう来てるんじゃないの?」
「ああ、あのバカかい。あいつならティファニア様と合流したは良いがそのまま傷口が開いたらしくて今寝込んでるよ。全くあれほど動くなって言ったのに」
「ウィルは大丈夫なの?」
「まあ死にゃしないよ、丈夫だけが取り柄のバカだからね。だからそんな不安そうな顔はしないでおくれ」
「…うん」
「とにかく今はお休み。明日に備えてたっぷり英気を養っておきなよ」
「わかった、ねえマリア」
ベッドに横たわりながらジンが声をかける。
「なんだい?」
「その…マリアは大丈夫だよね?」
「当ったり前だろ。あたしは強いんだよ?あんなやつらはコテンパンにのしちまうさ」
そう言ってマリアは笑いながら、右の二の腕に力こぶを作り、そこを左手でそれをパンパンと叩いた。そうして彼女は部屋から出て行った。
ジンはティファニアが作り出した森の中をものすごいスピードで駆け抜ける。数百メートル先にある砦が徐々に近づくにつれ付近に夥しく広がる戦闘の残滓を目の当たりにする。マリアの無事は確信しているがそれでもやはり不安は拭きれなかった。
門の前には魔獣たちが群がっており、とてもではないが正面突破は無理そうだった。そこでジンは壁に最も近い木に駆け上り、一気に天辺まで登る。それから彼は木を蹴って10メートル先にある壁に向かって跳躍する。脚力を限界までに強化したことにより彼はなんとか壁に張り付くことができた。そこから短剣を用いて器用に100メートルはある壁を登っていき、あっという間に城壁通路までたどり着く。だが警戒中の兵士が思わず驚き、彼に弓を放ってきた。
「うわぁぁぁ!?」
すんでのところでジンはそれを躱す。頰を薄皮一枚切り裂いたその矢はジンが跳躍に利用した木にスコンと小気味良い音を立てて突き立った。
「待って!俺だよ、ジンだよ!」
「お、驚かせるなよ…魔獣かと思ったじゃねえか」
そう言って来たのは普段は門番を務めているはずの蜥蜴人のウルガだった。どうやら通路の警邏していたらしい。その顔はいつもの自信に溢れた表情とは異なり、緊張感に満ち満ちていた。
「ごめんごめん、ちょっと急いでてさ。ねえウルガ、マリアがどこにいるか知らないかな?」
「マリアか?マリアなら兵舎の方にいると思うぜ。多分将軍たちと一緒なはずだ」
「わかったありがとう、行ってみるよ!」
「おう、あっ、上に気いつけろよ。俺たちであらかたぶっ殺したが、空から来るやつはまだまだいるからな」
「うん、そっちも気をつけて!」
「おうよ、ってちょっと待て、おい!」
ウルガの抑止を聞かず、ジンはそのまま100メートル程下にある地面に向かって飛び降りた。そして着地すると同時に兵舎に向かって走り始めた。
「おいおい、マジかよ…」
目の前で起こったことに呆然としつつも、ウルガは少し冷静になれた気がした。この街には自分の理解の範疇を超えた存在が三人もいるのだ。きっとこの苦境も彼らがなんとかしてくれるだろうと。
「うし!そんじゃあ見回りを続けますかね」
彼の表情は先ほどよりも柔らかくなっていた。
10分もしないうちに、ジンは兵舎の前まで到着した。入り口前に立っていた門番に軽く挨拶を交わし、建物の中に入った。
彼の目の前の床には傷病人が老若男女関係なく横たわり、その周囲を医者や看護師、それと動けるものたちが走り回り介抱していた。
「あ、アルマおじさん!ごめん、ちょっと良いかな?」
目の前を見知った男が通り過ぎようとしたのでジンは声をかける。初めてこの街に来た時にケルバを食べさせてくれた狸、もとい猫人のアルマだった。
「なんだ今忙し…ってジンじゃないか!無事だったのか!?どっか怪我はしてねえか?」
彼は荒い呼吸をしながらそんな風に心配そうに聞いてきた。
「うん大丈夫。特にどこも怪我してないよ」
「そんなこと言ってもお前、服に血がついてるじゃねえか!」
「え?ああこれは俺の血じゃないよ。さっき魔獣が襲ってきたからそれの返り血だ」
「ほ、本当か?それなら良いんだがよ。いつも一緒のやつらはどうした?一緒に来たのか?」
「いや、ティファニア様のところにいると思う。だからまだ街の外なんじゃないかな」
「そうか。そんで、わざわざ呼び止めたってことは俺に何か聞きたいことがあったんじゃないか?」
「ああ、うん。おじさんはマリアがどこにいるか分かる?」
「おお、知ってるぜ…」
アルマは簡単にマリアがいるであろう司令室への道順をジンに伝える。
「ありがとう!」
ジンはアルマに礼を言うと司令室のある方へと駆けて行った。
中から様々な声が聞こえてくる部屋まで辿り着き、ドアの前に立つ兵士に声をかける。ジンを見た彼はドアをノックして中に入りドアを閉める。だがすぐに入室の許可を得たのか、ドアを再び開けてジンに部屋の中に入るように促した。
「よく来たなジン」
入室した彼が軽く頭を下げるとその部屋にいた者たちが一斉にジンの方を目を向けて来た。疎ましいその視線に晒されていると、重苦しい空気が漂う部屋の奥から狼人のヴォルク将軍が声をかけてくる。
「久しぶり、ヴォルクおじさん」
2年ほど前、ジンがエデンに来てしばらく立った頃、マリアとウィルに連れられて、ヴォルクに会いに行ったことがあった。その時はよく大声で笑う豪放磊落で、温和な印象の人物であったが、現在目の前にいる彼はまるで別人のようである。鋭い眼は理知的な光を灯すとともに、どことなく荒々しい色を見せている。また彼のうちに秘められている殺気が強烈すぎて抑え込めないのか、彼と目があったジンを怯ませた。
「マリアのことを聞きに来たのか?」
「う、うん。マリアは今どこにいるの?無事なの?」
「彼女なら隣の部屋で少し休んでいる。さっきからずっと戦いっぱなしだったからな。ただ疲れているだけだ」
それを聞いてようやくジンは人心地ついた。すると緊張がほどけたためか、ガクンと膝から力が抜けて、そのまま床に倒れるように座り込み深いため息をついた。
「ここまでご苦労だった。話は大体ティファニア様から聞いている。お前も少し休め」
そんなジンを見て少し険が取れたのか、穏やかな声でジンに話しかけて来た。
「うん、ありがとう。でもその前に今どういう状況なのか聞いても良い?」
「お前が休んでから話そうかと思っていたんだが、まあ良いだろう」
そう言ってヴォルクはざっとした説明をジンにした。
「…というわけだ。ただまあ、俺を含め三人の使徒がここにいるんだ。そんなに時間はかけずに終わるとは思う。問題はそれまでにどれだけ犠牲者が出るかというところだが、まあとにかく今は休め。マリアのいる部屋にまだ空いているベッドがあるからそれを使え。ひどく疲れているように見えるぞ」
ジンはそう言われてようやく自分の体が悲鳴をあげていることに気がついた。3体のキマイラを倒し、そこから全力で駆け巡ったのだ。疲れていない方が不思議である。気を抜けば今にも意識を失いそうだった。
「わかった。それじゃあ少し休ませてもらうよ、また後でね」
「ああ、その時はしっかり働いてもらうぞ」
そんなことを言ってくるヴォルクに背を向けてよろよろとジンは部屋の外に出た。
~~~~~~~~~~~
「本当にあんな子供が使えるんですかい?」
「当然だろう?ウィルとマリアが仕込んでるやつだぞ。あいつはまだまだガキだが結構強い。もしかしたらお前よりつ実力は上かもしれんぞ?」
そうヴォルクに話しかけて来た彼の副官に対して、ヴォルクは笑いながら言った。
~~~~~~~~~~~
重い足取りの彼が案内された部屋に入るとマリアがいびきをかきながら眠っていた。よっぽど疲れが溜まっているのだろう。ジンが中に入ったことに気づいた様子は全くなかった。それを見て安心した彼はよろよろと歩きながらなんとかベッドに倒れこむ。どっと疲労が訪れた彼はあっという間に深い眠りについた。
ズズン、ズズンと遠くの方から鳴り響く音でジンが目を覚ますと辺りは夜の帳が降りていた。淡いろうそくの炎が部屋の中を照らしている。途端に意識が覚醒し、慌ててマリアの眠っていたベッドに目を向けるとすでにもぬけの殻であった。
「どこに行ったんだろう?」
と小さくジンが呟くと、ドアが開きマリアが部屋の中に入って来た。その手にはサンドウィッチがいくつか握られている。どうやら食料を取りに行っていたらしい。
「おや、起きたのかいジン」
そう話しかけて来たマリアには一切怪我のようなものは見られなかった。
「うん、マリアも大丈夫だった?ヴォルクおじさんがマリアは凄い疲れてるって言ってたけど」
「ああ結構寝たからね、もう大丈夫さ。あんたこそどうなんだい?怪我はしてないかい?」
「俺の方も大丈夫。とにかく合流できてよかったよ」
「そうだね。それよりほら、お腹空いているだろ?調理場を借りてサンドウィッチ作ってきたよ」
差し出されたそれを受け取るとジンは齧り付き、あっという間に食べ終えた。
「それで俺はどんぐらい寝てたの?それと今はどんな状況なの?」
「かれこれ7、8時間ってとこかね、今は真夜中だよ。そんでティファニア様の部隊が今攻撃しまくってるところさね。全体の半分はもう削り切れたところさ」
ジンの疑問に対してマリアが答える。どうやらこの遠くから聞こえる攻撃音はティファニアたちによるものらしい。
「あんたは朝までゆっくり休みな。まあ五月蝿くて寝れないかもしれないけどね。明日の朝からあんたには活躍してもらうよ。」
「うん、わかった。マリアは今からどうするの?」
「あたしはティファニア様のお手伝いさ。まだ本調子じゃないけど、できることはしなきゃね」
「そっか。あっ、ウィルは?もう来てるんじゃないの?」
「ああ、あのバカかい。あいつならティファニア様と合流したは良いがそのまま傷口が開いたらしくて今寝込んでるよ。全くあれほど動くなって言ったのに」
「ウィルは大丈夫なの?」
「まあ死にゃしないよ、丈夫だけが取り柄のバカだからね。だからそんな不安そうな顔はしないでおくれ」
「…うん」
「とにかく今はお休み。明日に備えてたっぷり英気を養っておきなよ」
「わかった、ねえマリア」
ベッドに横たわりながらジンが声をかける。
「なんだい?」
「その…マリアは大丈夫だよね?」
「当ったり前だろ。あたしは強いんだよ?あんなやつらはコテンパンにのしちまうさ」
そう言ってマリアは笑いながら、右の二の腕に力こぶを作り、そこを左手でそれをパンパンと叩いた。そうして彼女は部屋から出て行った。
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に二週目の人生を頑張ります
京衛武百十
ファンタジー
俺の名前は阿久津安斗仁王(あくつあんとにお)。いわゆるキラキラした名前のおかげで散々苦労もしたが、それでも人並みに幸せな家庭を築こうと仕事に精を出して精を出して精を出して頑張ってまあそんなに経済的に困るようなことはなかったはずだった。なのに、女房も娘も俺のことなんかちっとも敬ってくれなくて、俺が出張中に娘は結婚式を上げるわ、定年を迎えたら離婚を切り出されれるわで、一人寂しく老後を過ごし、2086年4月、俺は施設で職員だけに看取られながら人生を終えた。本当に空しい人生だった。
なのに俺は、気付いたら五歳の子供になっていた。いや、正確に言うと、五歳の時に危うく死に掛けて、その弾みで思い出したんだ。<前世の記憶>ってやつを。
今世の名前も<アントニオ>だったものの、幸い、そこは中世ヨーロッパ風の世界だったこともあって、アントニオという名もそんなに突拍子もないものじゃなかったことで、俺は今度こそ<普通の幸せ>を掴もうと心に決めたんだ。
しかし、二週目の人生も取り敢えず平穏無事に二十歳になるまで過ごせたものの、何の因果か俺の暮らしていた村が戦争に巻き込まれて家族とは離れ離れ。俺は難民として流浪の身に。しかも、俺と同じ難民として戦火を逃れてきた八歳の女の子<リーネ>と行動を共にすることに。
今世では結婚はまだだったものの、一応、前世では結婚もして子供もいたから何とかなるかと思ったら、俺は育児を女房に任せっきりでほとんど何も知らなかったことに愕然とする。
とは言え、前世で八十年。今世で二十年。合わせて百年分の人生経験を基に、何とかしようと思ったのだった。
転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜
家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。
そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?!
しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...?
ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...?
不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。
拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。
小説家になろう様でも公開しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる