上 下
78 / 280
第三章

76 頭がおかしい ※

しおりを挟む

 寝台の中央で胡座をかいている美丈夫は、彫刻のような美しい体を、惜しげもなく曝け出す。

 その上に幼子のように抱きついて、四つん這いにされないように足をロックしている俺は、エリオット様の肩に顔を埋めていた――。

「イヴ? もう諦めて四つん這いになってくれ。この体勢じゃ、傷付いているか見えない」
「み、見なくても、傷付いてませんからっ!」
「そんなに恥ずかしいことじゃないだろう? 前回だって――」
 
 これ以上口を開けないように、俺は目の前の肩にガブリと噛み付く。

「ククッ……怒ったのか?」
「――別に? でも、エリオット様まで全裸になる必要はないと思いますけど?」
「……確実に怒っているな」

 くつくつと喉を鳴らしたエリオット様は、薬の入っている小瓶を放り投げ、甘い香りのする液体を用意して指に絡め始める。

 その指先で後蕾をくるくると撫でられて、俺の体はびくんと飛び跳ねた。

「そ、それ、薬じゃない……」
「ん? これも薬だぞ? イヴが気持ち良くなる薬だ」
「っ、そんなわけないでしょ! んぁっ……」
「ほらな?」
「~~ッ!!」

 甘い声で肯定するエリオット様の指先は、つぷりと後蕾に侵入してくる。

 まだ慣れない行為に、俺はぎゅっとしがみつく力を強めた。
 
「んんぅ……」
「はあ……甘えるイヴが可愛い」
「甘えてませんッ、ぁっ……ン」

 じゅぷっといやらしい水音がして、かっと顔が火照った。

 ゆっくりと動く指先は、俺の弱点をすぐに見つけ出し、すりすりと触れてくる。

「あっ……や……そこ、やだっ……ぁあっ……」
「ん? 中も傷付いているかもしれないから、たっぷり塗っておこう」
「ばっ、馬鹿なんですかっ……ひ、ぁッ!」

 悪態をつけたのはここまでで、それからはエリオット様の好きなようにされてしまう。

 気付けば指を三本も突っ込まれて、ぐちゅぐちゅと卑猥な音を鳴らされる。

 気持ち良くて頭がぼーっとし始めた俺は、指をぎゅうぎゅう締め付けて喘いでいた。

「は、ン……もぅだめ……んぅ……くる……あ、や、だ……きちゃう……ぁあッ……ん、んん、んんんぅ────ッ!」

 射精とは違った快感に襲われて、ガクガクと体を震わせる。

 エリオット様の肩を涎まみれにさせる俺は、長い絶頂の余韻に浸っていた。

 再度埋もれる指が動き出し、きゅっと力が入る。

「ひ……や、やだ……ストップ! あっ、ぁあっ……やぁっ……んあぁっ……」
「五日も経っているからキツイな」
「は、ぁ……もぅ、だいじょーぶ……んんッ」
「ククッ。もう挿れて良いのか?」
「っあ……っ、く……」

 耳元で囁かれ、前回のことを思い出しただけで、中がキュンと疼く。

 鳥肌の立つ腕を動かして、俺は既に臨戦態勢になっているご立派な陰茎を握った。

 大きすぎるから、一回射精させてしまおうと、なんとか手を動かした。

「っ……イヴ……すまない。気付かなくて――」
「ん?」
「そんなに欲しがっていたとは」
「…………はあっ?!」

 信じられない言葉が聞こえ、俺は肩に乗せていた顔を勢いよく上げる。

 すると、乙女のように目尻を赤らめるエリオット様と目が合った。

 ……いや、眼福だけれども。

「ち、違いますっ! エリーのが大きいからっ」
「ああ、イヴは大きい方が好きなんだな?」
「っ……ば、馬鹿じゃないの……」
 
 頭のいかれたことを言い始めたエリオット様は、わかったとばかりに頷いた。

 誤解を解こうとしているのに、ひょいと持ち上げられて、後蕾にガチガチの陰茎を押しつけられる。

「や、なに、やだっ……あぁっ!」
「絶景だな」
「つっ……頭、おかし、い……ん、く……」

 険しい表情で見下ろせば、口角の上がるエリオット様は、危険な色香を放っていた。

 普段より魅惑的な表情に見惚れていると、ずぷりと亀頭を飲み込む。

「んああっ……」

 体が勝手にガタガタ震えて、腹が苦しいのに、後蕾はぐぷぐぷと素直に飲み込んでいく。

 このまま落ちていくのが怖いのに、ぞくぞくとした快感に襲われて、視界が歪む。

「はっ……ぁ、ン……エリーっ……」
「っ、イヴ……」

 真上から口付けて、ゆっくりと落ちていく。

「んっ……くるしっ……えりぃ……っ、あっ、んぁぁああ────ッ!!」

 急にぐっと突き上げられる。

 奥を刺激され、気持ち良すぎて体が仰け反った。

 陰茎からはピュクピュクと白濁が漏れ、中に埋もれる熱い陰茎を締め付ける。

 目がチカチカして力の抜けた体は、逞しい腕に支えられ、抱き寄せられていた――。



 暫くして震えが収まり、焦点が合う。

 ぐっと奥歯を噛み締めているエリオット様は、眉間に皺を寄せていた。

 なんだかすごく苦しそうで、指先ですりすりと眉間の皺をほぐす。

 はっとした様子のエリオット様と目が合えば、すごく嬉しそうに微笑まれる。

 顔を寄せて唇に吸い付き、ゆったりと舌を絡ませ合う。

 甘い口付けが心地良くて、このまま眠ってしまいそうだ。

 カクンと首が揺れて唇が離れるが、すぐに口付けて舌を吸い、唾液を啜った。

「イヴ……大丈夫か?」
「ん……もっと、キスしたい……」

 気遣ってくれるエリオット様に、俺は甘えるようにしなだれかかる。

 閉じかけている目をとろんとしたまま、綺麗な漆黒色の瞳を見つめた。

「おねがい、えりぃ……」
「ああ、イヴ……っ、すまない、限界だ」
 
 急に表情が険しくなったエリオット様に尻たぶを鷲掴みにされて、ゆさゆさと突き上げられる。

「ああッ! あっ……ああっ、」
「イヴっ」
「んっ……だめッ……ぁあ……奥、いやっ……ン」

 貪るように激しく口付けられて、拒否の言葉を遮られる。

 混ざり合う唾液を飲み込めず、ぽたぽたと口の端から零れ落ちる。

 再度硬くなる陰茎が、見事に割れている腹筋に当たり、触れているところ全てが気持ち良くて、快楽で頭がいっぱいになった。

 俺の中で暴れる陰茎が膨れ上がったのを感じ、射精が近いのだと伝わってくる。

「あっ……おっき……ん、く……ぁああッ!」
「っ、」
「んあッ、きもちい、えりぃ……ひ、あああァ、イクッ……」
「くっ……出すぞ」
「あァッ、あっ、出してっ、中に、だし、てっ、~~~~ッ!」

 ギラリと目付きが鋭くなったエリオット様は、色っぽいが恐ろしい雰囲気で、身震いする。

 ガンガンと容赦なく突き上げられて、辛すぎる快感に声も出ない。

 ぐっと奥を突かれて、開きっぱなしの唇に口付けられる。

 俺が達した瞬間に、ドクドクと白濁を注がれた中も熱くなって、頭がおかしくなりそうだ。

 俺の陰茎からもピュッと白濁が漏れ、エリオット様の腹を汚した。

 イキ狂ってだらしない顔になっていると思うのに、息を荒げる美丈夫は、鋭い視線のまま俺の顔を凝視していた。

 ハァハァと懸命に呼吸する俺を、ただひたすら眺め続けるエリオット様。

 中で力を無くしたはずの陰茎が、硬くなっていくのを感じて、俺は閉じそうになる目を見開いた。
 
「悪い子だな」
「っ……も、だめ……むりっ、」
 
 ゆっくりと押し倒されて、顔を囲むように手を置いたエリオット様は、にたりと笑みを浮かべて俺を見下ろす。

 角度が変わって、悲鳴のような嬌声を上げた。

「私を煽ったイヴが悪い」
「っ、し、してな、いっ……ぁああッ!」
「奥が辛いなら、イヴの良いところだけにする」
「やっ、それも……だめっ、は、あァっ……」
 
 気持ち良いところを集中的に刺激されて、勝手に涙が溢れる。

 中に一度出ているからか、ぐじゅぐじゅといやらしい水音が酷くうるさい。

「は、可愛い、イヴ……。気持ち良いな?」
「んんんッ……や、やらっ……死ぬ、ぅうっ、あ、ああっ……やぁ……」

 頭がおかしくなりそうなほどの快感から逃げようと身を捩るが、その分ぐっと突き上げられる。

「イヴ、気持ち良い?」

 ギラつく瞳に見下ろされる。

 有無を言わさぬ態度に、俺はこくこくと必死に頷いていた。

「あっ……ん、んん……いいっ……きもち、いッ……えりぃっ……もう、ゆるし、てっ……ひ、あン、あっ、ぁぁああァ────ッ!」

 くっと唸るエリオット様に激しく突き上げられ、俺は泣きながら絶頂する。

 二度目の精を吐き出され、ごくごくと飲んでいるかのように中が蠢いた。

 言葉にならない声が出続けて、その口を優しく塞がれる。

 口付けをしたいのに、もう一ミリも動けなくて、そのままプツリと意識が途切れた。


 昼間は魔物を討伐し、夜は俺との激しい運動をするエリオット様は、無尽蔵のスタミナの持ち主だった――。













しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...