100回目の口付けを

ぽんちゃん

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その後

46 僕だけの秘密

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 「っはぁ…………上手だよ、ヴィー」

 ヘッドボードに背を預けて片膝をつき、艶かしい吐息を吐く金髪の美青年。

 彼の足の間に平伏すようにしてぺろぺろと誇張する雁首を舐める僕は、大きな手で頭を撫でられながら、拙い舌使いで懸命にご奉仕している。

 熱く滾る陰茎を両手で扱きながら舌を這わせて、本当に上手に出来ているのだろうか、と顔色を伺う度に、ユーリはとても切なそうな顔をする。

 「可愛いヴィーにこんなことさせて、なんか、悪いことをしている気分になるな……」
 「んっ、ちゅぷ……、ひもちよくにゃい?」
 「っ…………気持ち良すぎて、もう出そうだよ」

 僕もユーリを気持ち良くしたいからと、渋るユーリに頼み込んで、やり方を教えてもらいながら口淫を続ける僕は、先端から止めどなく溢れる透明な汁をちゅぷちゅぷと啜る。

 気持ち良くなってくれていると思うと嬉しくて、先端の窪みに舌をぐりぐりとさせてもっと汁を飲もうとすると、大きな陰茎はぴくぴくと喜んでいるかのように動く。

 「っ、ヴィー、もう、イク」
 「ん……出して?」
 「口、離して」
 
 切羽詰まったような声で短くお願いをするユーリをさらっと無視する僕は、大きく口を開けて舌を出して亀頭を舐め続ける。

 「くっ……ヴィー、」
 「僕のお口に出して?」
 「っ、どこで、そんなこと、覚えて来たんだよ」

 何の話だろうとこてりと首を傾げながら、亀頭を咥え込んで顔を上下させ、じゅぷじゅぷと淫靡な音を立てながら吸うと、呻き声を上げたユーリは、僕の頭を優しく押さえて口内に白濁を注ぎこむ。

 少し苦くてとろっとした白濁を受け止めて、下腹部をキュンとさせる僕は、とろんとした顔のまま喉を震わせてこくこくと飲み干した。

 「くっ…………エロい顔して。俺の精子なんか飲んで、興奮したの? もう、犯してやろうか」
 
 僕の頭を優しく撫でながら忌々しげに呟くユーリは、頬を上気させており、すごく色っぽい。

 最後の一滴まで絞り取ろうとする僕を見下ろして、苦々しい表情を浮かべながらも、口許は緩んでいる。

 そんなユーリにべっと舌を出して、幸せそうに目を細める僕は、初めての口淫で恋人を気持ち良くさせることが出来て、非常に満足していた。

 「ゆーりの、ぜんぶ、飲んだぁ」
 「っ、まじで、なんなのこの子。愛おしすぎるんですけど……」

 出し切ったあとも、芯を持つ陰茎を再度舐めようとする僕を抱き上げたユーリは、胡座をかいた膝の上に僕を横抱きにして、ぴったりと身体を寄せる。

 逞しい胸元に頬を寄せ、唇に残る白濁をぺろりと舐めとると、僕を愛おしそうに見下ろしていたユーリは、深いため息を吐いて頭を抱えていた。

 片手で額を押さえながら流し目を送るユーリは、匂い立つような色香を漂わせており、かっこよすぎて胸がドキッとする。

 「そんなに美味しかった?」
 「うん。だってユーリのだもん」
 「っ…………そう、」

 平然と答える僕に何か言おうとしていたユーリは、一つ頷いて静かに口を閉じた。

 そしてサイドテーブルにある水をグラスに注いで、僕に飲むように勧める。
 
 まだ味わっていたいのに、とちょっと嫌そうな顔をする僕に、くつくつと笑うユーリは「キスがしたいから」と耳元で囁く。

 「そういうことなら仕方ないね?」
 「クククッ。ヴィー? 俺以外と今みたいなことしたら、絶対に許さないよ?」
 「ぷはっ……、ユーリ以外なんて、絶対に無理だよぉ。何の罰ゲーム? 考えたくもない」
 
 白銀の髪に指を通していたユーリは、心底嫌そうな顔をして水をごくごくと飲んでいる僕からグラスを奪い取って、激しく口付ける。

 「んぁ……ゆーりぃ?」
 「ヴィーは、俺のものだよ……」

 僕の頬に手を添えて真剣な表情で語るユーリは、僕が変態だからか、ユーリ以外ともエッチなことをするのでは、と疑っているような目をしている。

 そんなこと絶対にあるわけないのに。
 何でも出来てかっこいいユーリだけど、意外と自分に自信がないみたいだ。

 そんなユーリが可愛くてたまらない僕は、両手で頬を包み込んでちゅっと優しくキスをする。

 「ふふっ、ユーリも僕だけのもの!」
 
 にっこり微笑むと、笑顔の僕とは反対にユーリはなぜかガックリと項垂れて、背後のヘッドボードを右手の拳でガンガンと叩きまくっていた。

 「どうしたの?! 怪我しちゃう」
 「……大丈夫、ちょっと頭冷やしてたとこ」

 ローブ越しにぺしりと硬くなる陰茎が僕の腰あたりに触れて、なるほどと頷いた僕は、恥ずかしそうに視線を彷徨わせるユーリに、くすっと笑って首を傾げた。

 「ユーリ、もう一回?」
 「くっ…………まじで可愛すぎ」
 「えぇ~? ユーリの方が可愛いよ?」
 「ありえない。俺を可愛いって言うのは、この世でヴィーしかいない」
 「ふふふ……」
 「ヴィー? 何笑い?」

 両手を緩む口許に当てて、ふふふとご機嫌に笑う僕に怪訝な顔をするユーリは、僕を喜ばせるような発言をしたことに気づいていないらしい。

 「実はユーリが可愛い人だってことは、誰も知らないままで良い。だって、恋人である僕だけの秘密だから……」

 人差し指を唇に当てて、可愛い恋人を見上げると、ぽかんと呆気にとられていた様子のユーリは顔を真っ赤にして、僕を抱きしめながらジタバタと暴れ始める。

 うん、そういうところも可愛いんだよ?

 ユーリは、可愛いって言われることが好きじゃないみたいだから言わないけど。

 そんなことを思いながらくすくすと笑っている僕は、ユーリにぎゅうぎゅうと強く抱きしめられて、身体を揺さぶられ続けたのだった。

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