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25 不器用な親友 ※ナポレオン
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※閲覧注意。残酷な描写有り
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アルメリア国の第二王子である俺には、可愛い可愛い天使のような弟がいる。
母親譲りの美しい容姿のヴィヴィアンは、生まれた瞬間から隔離されるように生活していた。
病弱だったこともあるが、なにより神に愛された容姿をしているため、ヴィヴィアンを巡って多くの血が流れることが予想されたからだ。
そして性格までも清らかで、全くすれていない。
そんな心優しいヴィーが、性的な悪戯をされたことに気付いた俺達家族は、怒りに震えていた。
ヴィーの存在を秘匿する為に、身の回りの世話は乳母と使用人一人ずつしかつけていなかったことが裏目に出てしまった。
家庭教師のジジイの汚いケツを、爛れてもなお笑いながら鞭打ちし続けた悪魔、レオナルド兄上。
庭師の小僧を素っ裸にして、花壇に首だけを出して埋めて「大好きな花に囲まれて嬉しいだろう」と、顔に蜜を塗ってやり、虫に齧られて泣き叫ぶ様子を笑って見ていた十歳の俺。
使用人に破廉恥な格好をさせて「私は変態です。好きなだけ嬲ってください」と書いたプレートをぶら下げて街中を徘徊させ、ゴロツキ共に犯される様を笑って覗き見ていた母上。
医師だけは処刑する予定だったが、民にとっては大切な存在であると考え直した父上は、胸の飾りと男性器を切り落とした。……酷くゆっくりと。
あえて処刑にはせず、拷問にかける俺達。
こんなことを平然とやってのけるわけだが、ヴィーは一体誰に似たんだろうといつも不思議に思う。
本当に、神の遣いである可能性が高い。
そんなヴィーが、俺の友人に恋をした。
ユーリ・グレンジャー侯爵子息だ。
仏頂面で何事にも興味を示さない男。
だが、ヴィーに関してだけは違った。
ヴィーと話したいのに話せない。
チラチラとヴィーを見るだけで精一杯。
視線が合いそうになると慌てて逸らす。
そしてお前は、紅茶を一体何杯飲むんだっ!
その様子が面白くて、心の中で笑っていたのだが、心を開いていたはずの友人二人に「無理強いは良くない」とヴィーのために発言した。
ヴィーの顔色の僅かな変化を見て「そろそろ帰ろう」と提案したりと、そう言った面での心配りが出来る男だった。
そんなお互いを思いやる優しい二人が恋に落ちるまで、そう時間はかからなかったと思う。
『なー兄様が一番大好き』と言っていたヴィーが
ユーリと遊びたい。
今日、ユーリはいないの?
なー兄様はお外で遊んで良いよ?
僕にはユーリが居てくれるから。
って言ってくるもんだから、色々複雑な気持ちだったぜ。……クソがっ!
だから二人を応援していたというのに、俺の前で膝をついて大号泣している不器用な親友は、両思いだったはずのヴィーにフラれたらしい。
「なぁ……。なんで俺が、お前の婚約者ってことになってるんだよ?」
「ッ、ゔゔゔ~~ッ、ゔぃ~ッ、お゛ぇっ、」
「……きたねェなぁ。おい」
何事も初見ですぐに器用にこなしてしまう天才な友人だが、ヴィーのことに関してだけはまじで屑。
超絶な劣等生だ。
暫くして落ち着いてきた友人に、ヴィーが面会拒絶していること。今はそっとしておいて欲しいことを告げると、この世の終わりのような顔をして、そのままフラフラと歩き出す。
「どこ行くんだよ、なぁ!」
「…………死ぬ」
そう言って、近衛騎士の腰に下げている剣を抜いて、自分の心臓を突き刺そうとした。
「やめろっ!!!!」
「離せッ! ヴィーがいないと、生きている意味なんてないっ!」
「ヴィーは生きてるっ! お前が死んだら、ヴィーが悲しむだろうがっ!」
「っ、そんなわけあるかっ!」
揉みくちゃになる俺達は、十人がかりでユーリを気絶させた。……無駄に強ェんだよ。
自害しないようにベッドに手足をくくりつけられて、精神安定剤を飲まされたユーリは、一週間かけて少しずつ落ち着きを取り戻す。
だが、ヴィーと過ごしていたころの笑顔は消え去ってしまった。
抜け殻になったユーリは、一人の世界に入ってしまい、人を寄せ付けなくなった。
そんなユーリを見ていられなかったが、今は何を話しても右から左。
だから彼のために、クラスメイト達に少しだけ真実を話した。
何年も前から片思いしていた相手にフラれたと。
いつかユーリが昔の優しいアイツに戻って、友人達と仲直りできるように。
その時は、許してやって欲しいと頼むと、全員笑顔で頷いてくれた。
早く昔のお前に戻ってくれ。
そして、何年かかったとしても、ヴィーと仲直りが出来たらいいな、と願っていた。
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アルメリア国の第二王子である俺には、可愛い可愛い天使のような弟がいる。
母親譲りの美しい容姿のヴィヴィアンは、生まれた瞬間から隔離されるように生活していた。
病弱だったこともあるが、なにより神に愛された容姿をしているため、ヴィヴィアンを巡って多くの血が流れることが予想されたからだ。
そして性格までも清らかで、全くすれていない。
そんな心優しいヴィーが、性的な悪戯をされたことに気付いた俺達家族は、怒りに震えていた。
ヴィーの存在を秘匿する為に、身の回りの世話は乳母と使用人一人ずつしかつけていなかったことが裏目に出てしまった。
家庭教師のジジイの汚いケツを、爛れてもなお笑いながら鞭打ちし続けた悪魔、レオナルド兄上。
庭師の小僧を素っ裸にして、花壇に首だけを出して埋めて「大好きな花に囲まれて嬉しいだろう」と、顔に蜜を塗ってやり、虫に齧られて泣き叫ぶ様子を笑って見ていた十歳の俺。
使用人に破廉恥な格好をさせて「私は変態です。好きなだけ嬲ってください」と書いたプレートをぶら下げて街中を徘徊させ、ゴロツキ共に犯される様を笑って覗き見ていた母上。
医師だけは処刑する予定だったが、民にとっては大切な存在であると考え直した父上は、胸の飾りと男性器を切り落とした。……酷くゆっくりと。
あえて処刑にはせず、拷問にかける俺達。
こんなことを平然とやってのけるわけだが、ヴィーは一体誰に似たんだろうといつも不思議に思う。
本当に、神の遣いである可能性が高い。
そんなヴィーが、俺の友人に恋をした。
ユーリ・グレンジャー侯爵子息だ。
仏頂面で何事にも興味を示さない男。
だが、ヴィーに関してだけは違った。
ヴィーと話したいのに話せない。
チラチラとヴィーを見るだけで精一杯。
視線が合いそうになると慌てて逸らす。
そしてお前は、紅茶を一体何杯飲むんだっ!
その様子が面白くて、心の中で笑っていたのだが、心を開いていたはずの友人二人に「無理強いは良くない」とヴィーのために発言した。
ヴィーの顔色の僅かな変化を見て「そろそろ帰ろう」と提案したりと、そう言った面での心配りが出来る男だった。
そんなお互いを思いやる優しい二人が恋に落ちるまで、そう時間はかからなかったと思う。
『なー兄様が一番大好き』と言っていたヴィーが
ユーリと遊びたい。
今日、ユーリはいないの?
なー兄様はお外で遊んで良いよ?
僕にはユーリが居てくれるから。
って言ってくるもんだから、色々複雑な気持ちだったぜ。……クソがっ!
だから二人を応援していたというのに、俺の前で膝をついて大号泣している不器用な親友は、両思いだったはずのヴィーにフラれたらしい。
「なぁ……。なんで俺が、お前の婚約者ってことになってるんだよ?」
「ッ、ゔゔゔ~~ッ、ゔぃ~ッ、お゛ぇっ、」
「……きたねェなぁ。おい」
何事も初見ですぐに器用にこなしてしまう天才な友人だが、ヴィーのことに関してだけはまじで屑。
超絶な劣等生だ。
暫くして落ち着いてきた友人に、ヴィーが面会拒絶していること。今はそっとしておいて欲しいことを告げると、この世の終わりのような顔をして、そのままフラフラと歩き出す。
「どこ行くんだよ、なぁ!」
「…………死ぬ」
そう言って、近衛騎士の腰に下げている剣を抜いて、自分の心臓を突き刺そうとした。
「やめろっ!!!!」
「離せッ! ヴィーがいないと、生きている意味なんてないっ!」
「ヴィーは生きてるっ! お前が死んだら、ヴィーが悲しむだろうがっ!」
「っ、そんなわけあるかっ!」
揉みくちゃになる俺達は、十人がかりでユーリを気絶させた。……無駄に強ェんだよ。
自害しないようにベッドに手足をくくりつけられて、精神安定剤を飲まされたユーリは、一週間かけて少しずつ落ち着きを取り戻す。
だが、ヴィーと過ごしていたころの笑顔は消え去ってしまった。
抜け殻になったユーリは、一人の世界に入ってしまい、人を寄せ付けなくなった。
そんなユーリを見ていられなかったが、今は何を話しても右から左。
だから彼のために、クラスメイト達に少しだけ真実を話した。
何年も前から片思いしていた相手にフラれたと。
いつかユーリが昔の優しいアイツに戻って、友人達と仲直りできるように。
その時は、許してやって欲しいと頼むと、全員笑顔で頷いてくれた。
早く昔のお前に戻ってくれ。
そして、何年かかったとしても、ヴィーと仲直りが出来たらいいな、と願っていた。
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