婚活パーティーで、国一番の美貌の持ち主と両想いだと発覚したのだが、なにかの間違いか？

おまけ

おまけ

　美しいまま成長したシオン・ライトニングが当主となり、伴侶には幼き頃から共に過ごしてきた護衛騎士を迎えていた。
　両親と同じく、身分と歳の差に加えて、美男と野獣という美醜の障害を乗り越えての婚姻だ。
　かつてミラジュー王国の人々を魅了したリュセ・ライトニングの時とは違い、誰もがふたりのことを祝福していた。

　愛する人に相応しい伴侶になるため、男爵位でありながら、第二騎士団副団長の座に上り詰めた男。
　──ルドルフ・グレイ。

　年齢差を気にするルドルフが、シオンからの猛烈なアタックになかなか首を縦に振ることはなかった。
　シオンに想いを寄せる人々は、最初こそ嫉妬していたものの、最終的にはシオンの熱烈な想いを応援する形となり、晴れてふたりは結ばれたのだ。

　醜男であろうとも心根の優しい人であれ。
　そうすれば、必ず幸せな未来が待っていると語ったルドルフの言葉に、皆が強く感銘を受けることとなっていた。


　なぜなら……。


　「ランハート様ッ！　かっこいい～ッ♡」
　「こっち見てっ！！　ヴィクター様っ！！」
　「～～っ、第二騎士団サイコーッ！！！！」

　黒髪の美人集団が、騎士団の訓練場で黄色い声を上げている。
　汗を流す三十代の醜男たちを、毎日欠かさず応援しにやってくるのは、異世界から突如として現れた二十代の若者集団だ。

　その中心にいるのは、赤面症をわずらう若者──トーマ。
　異世界は必ずあると信じて研究を重ね、友人を引き連れてミラジュー王国にやって来たのだ。

　この国にない、未知の精密機器を次々と生み出す天才と呼ばれし彼の隣には、サルース商会の長となるセナ・ライトニングがいる。
　彼が仮面を外すようになったのは、トーマと出逢ってからだった。

　「セ、セナくんも、参加しないの？」
　「ん？　俺はいい。トーマと一緒にいたいし」
　「うっ……。そ、そっか……」

　ぶわっと頬を染めるトーマは、とにかく控えめな性格で、誰の目から見ても可愛らしい。
　そんなトーマを守るように常に隣にいる男は、父親のように殺気立っていた。
　森の主を瞬殺した父親に似て剣の腕もあるため、誰もトーマに話しかけることはない。
　否、近寄ることが出来なかった。

　人見知りの激しいトーマが、実はセナの美しさに見惚れているだけで、赤面症ではないことは、身近な者しか知らない事実だった。

　初めて会った瞬間に恋に落ちたふたりは、常に行動を共にしており、結婚秒読みである。


　訓練終了の号令がかかり、美しき異世界人たちが素早く移動する。
　彼らの専属護衛を迎えに行くのだ。

　「お疲れ様ですっ！　ランハート様っ！　今日もとってもとっても素敵でしたッ♡」
　「っ、あ、ああ。ありがとう」
　「同じ人間だとは思えませんでしたっ！　二次元の美しさですっ！　シュパッ、シュパパパ、って感じで！」
　「…………ぷっ」
　「っ、こ、氷のプリンスが笑ってるッ！！！！」

　積極的な異世界人にたじたじになっている第二騎士団の騎士たちだが、仲は良好だ。
　そして異世界人は強い人を好むようだと噂が流れ、第一騎士団の妖精族も、今では真剣に稽古に取り組んでいる。

　だが、狩猟大会で好成績を残した者たちが、この度異世界から現れた若者たちを保護している。
　上位に入賞するのは、第二騎士団の騎士たちだ。
　十八名いる異世界人、ひとりひとりに護衛がついており、もれなく全員恋仲になっていた。

　「友人でも畏れ多いのに、ヴィクター様の恋人になれるだなんてっ。今でも信じられませんっ」
　「……それは、俺のセリフだと思う」
　「キタッ！　ヴィクターくんの流し目攻撃ッ！」
　
　護衛対象と仲良く手を繋ぐ友人たちを、遠くから望遠鏡で観察しているのは、いくつになっても愛らしい異世界人。
　最愛の夫の膝の上に乗り……というより、拘束されているリュセ・ライトニングは、友人たちの幸せそうな姿を眺めることが日課となっていた。

　「ううっ、みんなラブラブでよかったあ～」
　「……また泣いているのか？」

　にこにこしながら黒い瞳に涙を浮かべる妻を、愛おしげに見つめるシュヴァリエ・ライトニング。
　歳を重ねるごとに醜さが増しているのだが、ふたりの愛は永久に不滅である。





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　fin




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　最後まで読んでくださり、ありがとうございました♡(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾ 

　おかげさまで、第二騎士団の不憫なイケメンたちも、みんな幸せになりました‼︎(ᐥᐜᐥ)♡ᐝ