婚活パーティーで、国一番の美貌の持ち主と両想いだと発覚したのだが、なにかの間違いか?

ぽんちゃん

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婚約編

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 診察後、シャール様に付き添われてテントを出れば、貼り紙の前に人集りができていた。

 「獲物は、き、君に捧げ──」
 「このポンコツ野郎ッ!!」
 「ゴフッ!!」

 黒地の隊服を着たわがままボディの男たちが、先程まで僕と和やかにお茶をしていた人たちのサンドバッグになっていた──。

 期待されていた第一騎士団員が、揃って表彰台を逃したことで、僕は恐ろしい現場を目撃する羽目になった。

 「みんな、すぐに手が出ちゃうんだね……?」
 「そうですね、でも普段より激しいです。結局のところ、皆さん女神になりたかったのでしょう」

 苦笑いするシャール様も、恋人が参加している。
 でも最初から期待していなかったようで、無事に戻って来てくれればそれでいいと話していた。

 気を取り直して、一緒にシュヴァリエ様を探すけど、姿が見えない。
 ハラハラしていたけれど、すぐに僕の同級生たちが集まって来る。

 「みんな、お疲れ様っ。あの……」
 「先に話しておきますが、副団長は無傷で戻って来ています」

 普段はキリッとしたクール系美青年のランハートくんが、僕を安心させるように微笑んだ。

 「実は、罠が仕掛けられていたんです」
 「っ……動物用、だよね?」
 「いえ、副団長の狩りを妨害しようとしたのかと。ですが、副団長は無敵状態でしたので、トラップには引っかかりませんでした。むしろ設置した者たちが、自ら罠にかかったようで……」

 呆れたように肩を竦めたランハートくんは、ガシガシと淡い空色の髪を掻いていた。

 犯人は第一騎士団の人らしいけど、シュヴァリエ様はまったく気にしていないそうだ。
 今はその件で話をしているだけみたいで、僕はようやくほっと息を吐いていた。

 みんなは見事に鹿や猪を仕留めたけど、終了時刻ギリギリで戻って来たらしい。
 とにかく楽しくて、来年も参加したいと話を聞いた僕は、自分のことのように嬉しく思っていた。





 それからしばらくして、表彰式が始まった。

 ドキドキしている僕の前で、第二騎士団員が次々と表彰されていく。
 それと同時に、『リュセ様に捧げます』と高らかに告げる声が響いた。
 
 そして準優勝は、なんとルドルフくん。
 他の先輩方も参加している中で、とっても凄いことなのに、めちゃくちゃ悔しそうだった。

 その後に、純白の隊服が一切汚れていない美丈夫が現れる。
 出発前、動きやすいように髪をハーフアップお団子に結ってあげたからか、魅力度が増し増しだ。

 「あの凶暴な森の主を一人で倒すとは……。恐れ入った」

 ふくよかな国王陛下に肩を叩かれたシュヴァリエ様は、すぐに僕を見つけて口角を上げた。


 「っ……有言実行だっ。さすがシュヴァリエ様♡ 最っっ高にかっこいい!!!!」


 今の僕の目は、完全にハートになっている。

 「かっこいい……? 副団長が?」
 「恋は盲目ってやつだろう。羨ましい限りだ」
 「まあ、今日の副団長はかっこよかったよな?」
 
 興奮状態の僕の背後では、なにやらざわざわしているけれど、なにも聞こえてこない。

 それから壇上に上がった僕は、国王陛下からティアラをつけてもらい、見事優勝したシュヴァリエ様の隣に並んだ。

 「すごく似合っている。リュセを女神にすることができて嬉しい」
 「ありがとうございますっ。シュヴァリエ様もお疲れ様でした。僕の自慢の旦那様ですっ♡」
 「っ……頑張ってよかった」

 念のため、怪我はないかと確認していると、今度はサマンタ様が暴れ始めた。

 『不正だっ!』と叫んでいるけど……。
 騒いでいないで、国王陛下の顔を見て!?

 さっき僕の頭にティアラを乗せてくれた時は、『痛くはないか?』と何度も確認してくれて、すごく優しかったけれど、今はピリピリとした空気を放っている。

 「の恋人から不満が出ることは、最初からわかっていたが……」
 「…………フェ、フェア、リー…………?」
 
 フェアリーって、妖精……だよね?
 ミラジュー王国では違うのかな?
 
 恐る恐る問いかけた僕に、シュヴァリエ様は真面目な顔で頷いた。











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