婚活パーティーで、国一番の美貌の持ち主と両想いだと発覚したのだが、なにかの間違いか?

ぽんちゃん

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ミイルズ

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「ライトニング公爵家とサルース商会の方々を怒らせたんだ。貴族社会から追放されて平民になったとしても、本当なら私たちの居場所はどこにもなかった……。だが、ミランが誠心誠意謝罪して、リュセ様が許してくださったんだ」

 ブレイク男爵家を継いだミラン兄上が、ライトニング公爵家とサルース商会に謝罪に向かい、処罰されることは免れたらしい。

 結局、特別な存在である僕は、直々に謝罪せずとも、なにをしても許されるんだ。

 それなのに、僕の両親ときたら、すぐに謝罪に向かった兄の行いばかりを褒めている。

「モブ同盟だとかなんとか……。よくわからなかったけれど、ミランはリュセ様に気に入られたみたいね? あの子は終始たじたじだったけれど、とても嬉しそうだったわ?」
「ああ。平凡な容姿だからと、爵位を継いでも内気な性格は変わらなかったが、リュセ様との出逢いで自信を持てたみたいだな?」
「…………ちょっと待ってよ。なんでミラン兄上が、リュセ様と交流してるの?! なんの才能もない平凡な兄上より、僕の方が特別な存在なのに!」

 不貞腐れる僕を見た両親は、げんなりとした顔になる。

「私たちがミランに熱心に教育していた理由が、まだわからないのか?」
「はあ?」
「……なにを言っても学ぼうとしないあなたを、放置していた私たちが悪いのよ。さっさと修道院に送るべきだったわ」
「そうだな……。いくら許してもらえたとはいえ、私たちにも責任がある。一緒に社交界から去るべきだ」

 勝手に話を進める両親は、すでに領地に引っ込むことに決めていた。

 子を宿すことができる特別な存在であるにもかかわらず、両親に見放されている時点で、ダメ人間のレッテルを貼られている。
 そんな簡単なことにも気付けない僕は、絶対に修道院なんて御免だと喚いたけど、一切聞いてもらえなかった。

「僕は絶対に嫌だからねっ!! 山奥に行くなら、二人だけで行きなよっ!!」
「ハァ……。いくら嫌だと言っても、ライトニング公爵子息がお前を許さない」
「っ、」

 僕になにを言われても許してくれていたシュヴァリエが、僕を排除しようとしている……。

 実際には、まったく相手にされていなかったことを知らない僕は、かなりの衝撃を受けていた。

「あなたは、ライトニング公爵子息が好きだったのよね? だから二十五になっても婚姻せずに待っていたんでしょう? ……残念ながら、向こうは一切、あなたに興味がなかったみたいだけれど」
「そのことも、今回のことでハッキリとわかっただろう。潔く諦めなさい」
「っ、はあああああああ~~~~~~????」

 なにを言っても僕がシュヴァリエに失恋したことになっていて、頭がおかしくなりそうだ。
 
 あんな醜男に振られただなんて噂が流れたら、たまったもんじゃない。

「これからは、息をひそめて暮らしていきましょう。もうこの子が婚姻することもないでしょうし」

 僕を無視する両親に、修道院に行けと指示を出される。

 断固拒否していたのだけど、コイツらには捨てられないと見下していた恋人三人に振られた僕は、誰にも相手にされなかった。
 修道院行きを余儀なくされて、しかも理由は、僕が醜男に失恋したからということになっていた。

 ……最悪の展開だ。
 こんな屈辱的なことがあってたまるか。

「僕が修道院で襲われたらどうするの!?」
「そんな心配はいらない」

 なにを馬鹿なことを言っているんだと、最後まで両親に叱られていた僕。
 子を孕んだ時はどうしようと心配していたのだけど、そんなことは起こらなかった。

 修道士が真面目だからではなく、単に僕に魅力がないからだと知るのは、修道院に入ってすぐのことだった。
 醜男に失恋した憐れな存在として、僕はいつまでも腫れ物扱いされて、自尊心を削られていく。

 そう仕向けたのが、愛する息子を侮辱されたことを内心怒り狂っていた人だという事実を、狭い世界で生きる羽目になった僕は知る由もない。











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