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160 俺の王子様はどこへ……? (※)

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 ジルベルトが俺を抱きしめたまま、荒い呼吸を繰り返す。
 あまりの快感に放心状態の俺は、ジルベルトを抱きしめ返すことができないほど、気持ち良くなっていた。

 射精後もずっと俺の中にいる陰茎が、また硬さを取り戻す。
 もう一度するのかと思いきや、ジルベルトはゆっくりと陰茎を抜いた。

 俺の後蕾からどろりと白濁が流れていく。
 その様を、ジルベルトが顔を真っ赤にさせながら瞬きもせずに凝視していた。
 そして、射精したはずのご立派な陰茎は元気良くそそり勃っている。

 「エ、ロ……」
 「じる?」
 「あっ、ごめん……」

 口では謝罪しているが、熱い視線は俺の後蕾に注がれている。
 それが恥ずかしくて、ヒクヒクと後蕾が動いてしまうのだが、それを見たジルベルトがまた興奮するという、よくわからない状況になっていた。

 ジルベルトと結ばれたことが嬉しくて、抱き合ってキスがしたいのに……。
 あまりに後蕾だけを凝視するから、俺はピタリと足を閉じる。
 むっとした顔をすれば、ジルベルトが慌てて俺の心配をし始めた。

 「リ、リオン、身体は辛くない? 最後、奥突いてごめんね。痛くなかった?」
 「ん」
 「……怒ってる?」

 罰の悪そうな顔をするジルベルトに、俺はぷいっとそっぽを向く。

 「するつりもなかったのに、暴走してごめんね」
 「……別に」
 「ごめん。怒ってるよね?」
 「……怒ってるよ?」
 「っ、本当にごめん、嫌いにならないで」

 しゅんとするジルベルトを横目でチラリと見た俺は、わざとらしく溜息を吐く。

 「ジルと結ばれて嬉しかったから、キスしたかったのに……。ジルは動けない俺を放置して、キスしてくれないんだもん」

 えっ、と驚きの声をあげたジルベルトは、すぐさま俺に口付けを落とした。

 「リオン、俺も嬉しいよ。死ぬほど嬉しい」

 俺も嬉しいとはにかむと、照れた様子のジルベルトに、なかなか強い力で抱きしめられていた。
 こっぱずかしくなる俺は、拗ねた口調で話す。

 「……ジルは相手が俺じゃなくても、穴があれば良いんじゃないのか?」
 「は?」

 ぱっと俺から離れたジルベルトは、ぽかんとした顔をしていた。
 そんな顔もまたかっこいいのだから、なんて狡い男なんだと思う。
 むっとする俺は、ジルベルトの頬を優しく抓る。

 「だって俺の方見ないで、ずっと尻見てた」
 「っ、ご、ごめん。いつも妄想でリオンを抱いてたけど、想像していたより、遥かに衝撃的で……」
 「?! ば、ばっかじゃないのっ?!」

 ここにもいた。
 ファーガス兄様と同じ、妄想野郎が!
 どんな妄想をされていたかはわからないが、恥ずかしすぎるだろっ!

 ……照れる俺を見て、幸せそうな顔をするなっ!

 「リオンが好きすぎて、リオンと結ばれる妄想ばかりしてた。実際は、妄想より何倍もリオンが可愛かったし、おねだりするところもたまらなかった」
 「っ、おねだりなんかしてないよね!? ジルの勘違いだからっ! 本気で恥ずかしいっ!」

 両手で顔を隠すと、くすりと笑った気配がして、手の甲に優しく口付けられていた。
 ちらりと指の隙間からジルベルトの様子を窺えば、めちゃくちゃ嬉しそうに頬を緩めていた。

 「もう、妄想はしないでね?」
 「…………努力する」
 
 真顔になったジルベルトが、ゆっくりと頷く。
 しないとは言わないところが可愛くて、くすっと笑ってしまう。

 「妄想なんかしなくても……。普通に、俺を抱けば良いだろ?」
 「っ、リオン! 愛してるっ!」
 「……ばか。ジルは意外と単純だな?」

 お互いくすくすと笑いながら、満面の笑みで口付けを交わした。



 腕枕をしてもらい、アフターフォローが完璧な王子様にごろごろと甘える俺は、幸せで胸がいっぱいになっている。
 長い黒髪を手櫛で優しく梳かしてくれるジルベルトに、ちゅっと触れるだけのキスをした。

 「次は俺がジルを抱く番だな?」
 「…………」

 俺の王子様のデレッとした顔が、すんと無表情になり、俺は首を傾げた。

 「どうしたの?」
 「え? あ、うん……。そうなのかな?」
 「なんだよそれ、嫌なの?」
 
 のらりくらりと返事を誤魔化すジルベルトは、俺を抱き上げて浴室に連れていく。
 中のものを出さないといけないからと、指を突っ込まれて、ただ後処理をするだけの行為なのに、俺は無駄に感じてしまっていた。
 そんな俺を見るジルベルトが、ギラついた瞳で俺の顔と後蕾を交互に凝視して「天使なのにエロいとか罪だっ」と、謎の発言をしていた。
 
 恋人の後処理をしながら、ガチガチに勃起している絶世の美青年。

 ……俺の爽やか系王子様は、一体どこに行ったのだろう?

 でも、もう一回する? と聞いても、これ以上俺に負担をかけたくないと、頑なに拒否するジルベルトに、やっぱり素敵な王子様だなと再確認した。








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