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150 喜怒哀楽が激しくなっている (※)

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 甘い香りに目を覚ませば、温かな紅茶とフルーツを用意してくれている、リュカの後ろ姿が見えた。
 俺の大切な専属の侍従が戻って来てくれたことを、今更ながらに実感して、胸が熱くなった。
 ゆっくりと起き上がった俺は、静かにリュカの元へ歩み寄り、背後から抱きしめた。

 「リュカ……」
 「ふふっ、目が覚めましたか?」
 「うん」

 甘えん坊だと小さく笑うリュカだけど、動かしていた手を止めて、俺の腕を撫でてくれる。
 いつまでも抱きついていたからか、リュカが俺の腕を外して振り返った。
 肩甲骨まで伸びる綺麗な新緑色の髪を見ているだけで、俺は目頭が熱くなる。

 「……悲しい夢でも見たのですか?」
 「ううん。すごく幸せだなって思って……。ずっと、リュカに会いたかったから……」

 目を見開いたリュカは、それはそれは嬉しそうに微笑んだ。

 「私もですよ。以前までは、仕事だからと我儘な子供の子守をしていただけだったのに……。今は、リオンが愛おしくて仕方ありません」
 「……今でも子守だと思ってるでしょ」
 
 照れ臭くなる俺は、むっと口を尖らせる。

 「ふふっ、そんなわけないでしょう。今も我儘な子供の子守だと思っていたなら、私がリオンの体に触れることはありませんでしたよ?」
 「っ、そ、そっか……」
 
 いろいろと思い出してしまった俺は、微笑むリュカの胸元に顔を埋める。
 本当に可愛いですねと、うっとりと呟いたリュカの声が、俺の耳を擽る。
 軽食をと促されるけど、俺はリュカに抱きついたまま、我儘王子へと逆戻りしていた。
 
 「水分だけでも取ってください。たくさん出しましたからね?」
 「っ……ば、馬鹿ッ!!」
 「酷いですねぇ。私はリオンのことを想って──」
 「う、うるさいッ」

 俺の痴態を話そうとしたことを察知して、両手で耳を塞ぐと、リュカは楽しそうに笑い出す。
 じと目をする俺の口に林檎がぶちこまれて、俺は無言で咀嚼する。
 相変わらず意地悪な侍従だけど、俺の世話を焼くリュカは、とにかく楽しそうで……。
 その顔を見ているだけで、俺は絆されることになった。

 「素直に食べてくださってよかったです。もし口にしていただけないのであれば、リオンの体にフルーツを飾って、私が処理しなければいけないところでしたから……」
 「っ、バッカじゃないの!? 普通に食べろ!」

 頭のおかしいことを言われているのに、俺を揶揄って楽しむリュカといると、すごく楽しい。
 完全にリュカのペースに持っていかれているのだが、俺は振り回されて喜ぶマゾだったらしい。

 ……相性抜群だろう。
 いや、リュカ色に染められている気がする。
 
 気を取り直して、絶品の紅茶を飲み干す。
 ほっこりとしていた俺は、いつまにかリュカに抱っこされて寝台の上に転がっていた。



 俺に覆い被さるリュカの、熱の孕む新緑色の瞳を見ているだけで、俺の息子はぴくりと反応する。
 真っ赤になっているであろう胸の飾りなんて、既に主張するように尖っていた。
 ……いやらしい体にされてしまった気がしてならない。

 優しい手付きでガウンを脱がされ、リュカの熱い視線は、俺の顔から胸の飾りに流れる。
 俺を辱めて喜ぶリュカが、無言で口角を上げた。
 意地悪なことを言われたわけではないのに、俺の体はじわじわと熱くなっていく。
 指先でツーッと脇腹に触れられ、擽ったくて、俺は胸を突き出していた。

 「ひゃッ」
 「ふふっ、どこもかしこも敏感で……。隅々まで舐め回したくなります」
 「っ、や、やぁ……」

 下から上へと流れるように脇腹を舐め上げられて、身を捩る。
 擽ったいだけなのに、気持ちよくなってしまうのは、リュカの舌が焼けるように熱いせいだ。
 さっきはあんなに射精したのに、俺の息子がゆるりと持ち上がり、蜜を溢す。
 下腹に漏れたそれを、なんの躊躇もなくぺろりと舐められて、俺は目を見開いた。

 驚いている間に、色っぽい表情を浮かべているリュカは、俺のへその周りをぐるりと舐める。
 窄まりに尖らせた舌が差し込まれそうになり、俺は慌ててリュカの肩に手を置いた。

 「だ、だめっ、汚いからっ」
 「汚い? 私が知る限りでは、リオンに汚い部分などありませんよ? お臍も綺麗です」
 「っ……そ、それは、いつも、リュカが綺麗に洗ってくれるから……っ」
 「ふふっ、そういう意味ではないのですが」

 なにがおかしいのかわからないが、リュカが小さく笑う。
 そして片方の口角が持ち上がり、意地悪を思いついたような表情に変わった。
 その顔に背筋がぞくりとする俺は、リュカの肩から手が離れる。
 瞬時にその手を捕まえられて、シーツに押し付けられていた。
 
 「リオンが汚いと思っているのなら、綺麗にしてあげますね?」
 「っ……や、やだっ、あッ、んんッ!」

 窄まりに差し込まれた舌がくりくりと上下に動き、俺は逃げようともがく。
 イヤイヤと言いながら、体をくねらせているうちに、俺の声は甘さを含ませていた。

 「ぁっ……ぃやっ、やだぁ……そんなとこ、舐めちゃだめ、なのにっ……んんぅ」
 「綺麗にしているだけですよ?」
 「っ、も、もう、綺麗になったよっ! ゃッ」

 勃ち上がっている陰茎からとぷっと蜜が溢れ、リュカがそれを舐めとる。
 涙目で震える俺は、ふっと笑っているリュカの顔を見ただけで、なにが言いたいのかわかってしまった。
 
 「リオンは──」
 「言わないでッ!!」

 勢いよく起き上がった俺は、リュカの口を塞ぐ。
 舌を絡ませ、たっぷりと口付けをして、辱められることを阻止した。
 ほっとしたのも束の間。
 俺の腰を抱いていたリュカの指にへそを弄られて、ぴくっと反応してしまう。
 
 かあっと顔が熱くなる俺は、目を細くして揶揄いの表情を浮かべているリュカの舌を、優しく噛んでやる。

 「俺、おへそも処女だったのに」
 「………………クッ」

 拗ねた顔をする俺を力いっぱい抱きしめるリュカは、すみませんと謝ったと思ったら、可愛いと呟いたりと、とにかく忙しかった。
 会わない間に、リュカの喜怒哀楽が激しくなっていた。








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