123 / 211
123 恋人でしょ? ※
しおりを挟む俺を褒め殺そうとするジルベルトは、自分の服が濡れることにもかまわずに、俺の体に優しくお湯をかけてくれる。
そんな優しさに、俺はまた顔を赤らめてしまい、身体の熱が一向に引かない。
「リオン、可愛い顔を見せて」
「か、可愛くない……」
「俺は可愛いと思う。初めて会った時も、口は悪かったけど、天使だと思ったくらい……」
過去を懐かしむように告げたジルベルト。
我儘で暴れん坊の俺が天使って、正直言い過ぎだと思うけど、めちゃくちゃ嬉しい……。
だが、残念なことに、俺はジルベルトと出逢った時の記憶がない。
でも俺は、ジルベルトのことを、きっと絵本の中の王子様だと思ったに違いない。
にまにまと口許を緩めていると、ジルベルトが俺の髪を愛でる。
「天使が不服なら、絵本に出てくるお姫様?」
「ブッ……。無理があるだろっ」
恥ずかしすぎるから本当にやめてくれと心の中で思いながら、俺はちらりと顔を上げる。
視線が交わり、ジルベルトはうっとりとした息を漏らした。
何がそんなに嬉しいのかわからないが、とにかくジルベルトが喜んでいることが、全身から伝わってくる。
「俺以外の前で、そんな顔をして欲しくないな」
「……どんな顔だよ」
「蕩けた顔。リオンを愛でたくて仕方ないって気持ちになる」
「っ、ばか……。そ、それなら……愛でれば良いだろ?」
「……ハァ。無自覚は怖いな」
溜息を吐きながら「先が思いやられる」と呟いたジルベルトに、俺はむっとする。
だって、恥ずかしいけど、ちゃんと愛でたら良いと伝えたのに、溜息を吐かれたんだ。
不貞腐れた俺は、ジルベルトの唇にぶちゅっと口付けをした。
「俺が頼んでるのに、愛でてくれないのか?」
「っ…………今の俺を、あまり煽らないでくれないか? リオンの全部を奪いたくなる」
なにを悩んでいるのだろうと首を傾げる俺に、ジルベルトは軽く息を吐く。
「あんな約束、するんじゃなかった……」
「なに?」
「いや、なんでもない……。リオンが好きだなって思っただけ」
にこりと笑みを浮かべるジルベルトに、俺はそれ以上追求することが出来なくなる。
……本当に、憎たらしいほど顔が良い。
「俺も、ジルベルトが好きだよ。ずっと友達として好きだったけど、今は違う」
「リオン……」
「なんで我慢してるのかわからないけど、ジルベルトは俺の…………恋人でしょ?」
そうだよね? と思いながら美しい顔を見上げると、ひゅっと息を呑んだジルベルトは、空色の瞳に薄らと膜が張っていた。
「リオンは……俺の恋人……」
「……違うの?」
「っ、違わない! ただ、嬉しくて……。ずっとリオンの傍にいたいと思ってたけど、好きになってもらえるとは思っていなかったから……」
尻すぼみになる感極まったような声に、今度は俺がジルベルトをドキドキさせることができたと感じて、自然と頬が緩んでいた。
そんな俺を見つめるジルベルトが、少しだけ泣きそうな顔になっていた。
どうしたのかと思いながらそっと頬を撫でると、掻き抱かれて、口付けられる。
全てを奪うような激しい口付けに、俺も応えるようにジルベルトの舌を堪能した。
口付けをしながら、ジルベルトの指先が優しく俺の胸の飾りに触れる。
「あっ……」
「リオン、可愛い……もっと声を聞かせて……」
「んっ、恥ずかしぃっ……」
口付けの合間に、可愛い、好きだ、と繰り返すジルベルトは、俺の胸の飾りを丹念に可愛がる。
指先でクリクリと弄られると、もっと触って欲しいと俺の胸の飾りはぷっくりと主張する。
「あっ……んぁっ……」
「気持ちいい?」
教えて……、と耳元で囁かれて、ぶわっと頬に熱が集まった。
「んぅぅ~ッ……ぁっ、あンッ!」
「っ、リオンは、どれだけ俺を夢中にさせたら気が済むんだ……」
苦しげに告げるジルベルトに、透明な蜜に濡れてひくひくとする陰茎を、優しく撫でられる。
「んぁ、ジルベルト……んんぅッ」
少し屈んだジルベルトが、俺の胸の飾りに舌を這わせる。
俺を見上げる空色の瞳にドキドキが止まらない。
首を傾げて、俺に見せつけるようにチロチロと舐めるジルベルトは、すごく色っぽかった。
刺激が強い光景なのに、俺は目が逸らせない。
快感でびくびくと震えながら、俺の腰を支えている腕にしがみつく。
感じている顔をまじまじと見つめられて、恥ずかしすぎて涙が溢れた。
「~~っ、んぅぅ~ッ」
「っ、無理だっ、可愛すぎるっ」
吐き捨てるように告げたジルベルトに、いきなり体を反転させられる。
背後から抱きしめられて、爆発寸前の陰茎を扱かれ、俺はイヤイヤと首を振った。
「あっ、やぁ、ジルベルト、やだっ、あっ、」
「なんで? 気持ち良くない?」
「ちがっ、あっ、あぁッ、かお……ジルベルトの、顔が、見たいっ……ぁあンッ!」
背後から唸る声が聞こえたと思ったら、くるりと体が反転して、抱きしめられていた。
ごめん、と謝ったジルベルトに、すぐに唇を奪われる。
驚いてされるがままになっていると、すっと目を細めたジルベルトは、色っぽい表情を浮かべる。
その顔でじっと見つめられながら陰茎を可愛がられ、俺はすぐに限界を迎えていた。
「んんぅっ、んっ、ンンンンンン──ッ!!」
快感に震え、目がとろんとしながら余韻に浸っている間、俺はジルベルトに抱きしめられたまま、長い口付けを交わす。
すごく可愛かったと囁かれて、俺はうっとりとしながらジルベルトの唇を啄み続けていた。
18
お気に入りに追加
3,470
あなたにおすすめの小説
愛されない皇妃~最強の母になります!~
椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』
やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。
夫も子どもも――そして、皇妃の地位。
最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。
けれど、そこからが問題だ。
皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。
そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど……
皇帝一家を倒した大魔女。
大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!?
※表紙は作成者様からお借りしてます。
※他サイト様に掲載しております。
R指定はないけれど、なんでかゲームの攻略対象者になってしまったのだが(しかもBL)
黒崎由希
BL
目覚めたら、姉にゴリ推しされたBLゲームの世界に転生してた。
しかも人気キャラの王子様って…どういうことっ?
✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻
…ええっと…
もう、アレです。 タイトル通りの内容ですので、ぬるっとご覧いただけましたら幸いです。m(_ _)m
.
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
【BL】婚約破棄で『不能男』認定された公爵に憑依したから、やり返すことにした。~計画で元婚約者の相手を狙ったら溺愛された~
楠ノ木雫
BL
俺が憑依したのは、容姿端麗で由緒正しい公爵家の当主だった。憑依する前日、婚約者に婚約破棄をされ『不能男認定』をされた、クズ公爵に。
これから俺がこの公爵として生きていくことになっしまったが、流石の俺も『不能男』にはキレたため、元婚約者に仕返しをする事を決意する。
計画のために、元婚約者の今の婚約者、第二皇子を狙うが……
※以前作ったものを改稿しBL版にリメイクしました。
※他のサイトにも投稿しています。
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
僕はただの妖精だから執着しないで
ふわりんしず。
BL
BLゲームの世界に迷い込んだ桜
役割は…ストーリーにもあまり出てこないただの妖精。主人公、攻略対象者の恋をこっそり応援するはずが…気付いたら皆に執着されてました。
お願いそっとしてて下さい。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
多分短編予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる