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123 恋人でしょ? ※

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 俺を褒め殺そうとするジルベルトは、自分の服が濡れることにもかまわずに、俺の体に優しくお湯をかけてくれる。
 そんな優しさに、俺はまた顔を赤らめてしまい、身体の熱が一向に引かない。

 「リオン、可愛い顔を見せて」
 「か、可愛くない……」
 「俺は可愛いと思う。初めて会った時も、口は悪かったけど、天使だと思ったくらい……」

 過去を懐かしむように告げたジルベルト。

 我儘で暴れん坊の俺が天使って、正直言い過ぎだと思うけど、めちゃくちゃ嬉しい……。
 だが、残念なことに、俺はジルベルトと出逢った時の記憶がない。
 でも俺は、ジルベルトのことを、きっと絵本の中の王子様だと思ったに違いない。

 にまにまと口許を緩めていると、ジルベルトが俺の髪を愛でる。

 「天使が不服なら、絵本に出てくるお姫様?」
 「ブッ……。無理があるだろっ」

 恥ずかしすぎるから本当にやめてくれと心の中で思いながら、俺はちらりと顔を上げる。

 視線が交わり、ジルベルトはうっとりとした息を漏らした。
 何がそんなに嬉しいのかわからないが、とにかくジルベルトが喜んでいることが、全身から伝わってくる。

 「俺以外の前で、そんな顔をして欲しくないな」
 「……どんな顔だよ」
 「蕩けた顔。リオンを愛でたくて仕方ないって気持ちになる」
 「っ、ばか……。そ、それなら……愛でれば良いだろ?」
 「……ハァ。無自覚は怖いな」

 溜息を吐きながら「先が思いやられる」と呟いたジルベルトに、俺はむっとする。

 だって、恥ずかしいけど、ちゃんと愛でたら良いと伝えたのに、溜息を吐かれたんだ。

 不貞腐れた俺は、ジルベルトの唇にぶちゅっと口付けをした。

 「俺が頼んでるのに、愛でてくれないのか?」
 「っ…………今の俺を、あまり煽らないでくれないか? リオンの全部を奪いたくなる」

 なにを悩んでいるのだろうと首を傾げる俺に、ジルベルトは軽く息を吐く。

 「あんな約束、するんじゃなかった……」
 「なに?」
 「いや、なんでもない……。リオンが好きだなって思っただけ」

 にこりと笑みを浮かべるジルベルトに、俺はそれ以上追求することが出来なくなる。

 ……本当に、憎たらしいほど顔が良い。

 「俺も、ジルベルトが好きだよ。ずっと友達として好きだったけど、今は違う」
 「リオン……」
 「なんで我慢してるのかわからないけど、ジルベルトは俺の…………恋人でしょ?」

 そうだよね? と思いながら美しい顔を見上げると、ひゅっと息を呑んだジルベルトは、空色の瞳に薄らと膜が張っていた。

 「リオンは……俺の恋人……」
 「……違うの?」
 「っ、違わない! ただ、嬉しくて……。ずっとリオンの傍にいたいと思ってたけど、好きになってもらえるとは思っていなかったから……」
 
 尻すぼみになる感極まったような声に、今度は俺がジルベルトをドキドキさせることができたと感じて、自然と頬が緩んでいた。

 そんな俺を見つめるジルベルトが、少しだけ泣きそうな顔になっていた。
 どうしたのかと思いながらそっと頬を撫でると、掻き抱かれて、口付けられる。
 全てを奪うような激しい口付けに、俺も応えるようにジルベルトの舌を堪能した。

 口付けをしながら、ジルベルトの指先が優しく俺の胸の飾りに触れる。

 「あっ……」
 「リオン、可愛い……もっと声を聞かせて……」
 「んっ、恥ずかしぃっ……」

 口付けの合間に、可愛い、好きだ、と繰り返すジルベルトは、俺の胸の飾りを丹念に可愛がる。
 指先でクリクリと弄られると、もっと触って欲しいと俺の胸の飾りはぷっくりと主張する。

 「あっ……んぁっ……」
 「気持ちいい?」

 教えて……、と耳元で囁かれて、ぶわっと頬に熱が集まった。

 「んぅぅ~ッ……ぁっ、あンッ!」
 「っ、リオンは、どれだけ俺を夢中にさせたら気が済むんだ……」

 苦しげに告げるジルベルトに、透明な蜜に濡れてひくひくとする陰茎を、優しく撫でられる。

 「んぁ、ジルベルト……んんぅッ」

 少し屈んだジルベルトが、俺の胸の飾りに舌を這わせる。

 俺を見上げる空色の瞳にドキドキが止まらない。
 首を傾げて、俺に見せつけるようにチロチロと舐めるジルベルトは、すごく色っぽかった。
 刺激が強い光景なのに、俺は目が逸らせない。

 快感でびくびくと震えながら、俺の腰を支えている腕にしがみつく。
 感じている顔をまじまじと見つめられて、恥ずかしすぎて涙が溢れた。
 
 「~~っ、んぅぅ~ッ」
 「っ、無理だっ、可愛すぎるっ」

 吐き捨てるように告げたジルベルトに、いきなり体を反転させられる。
 背後から抱きしめられて、爆発寸前の陰茎を扱かれ、俺はイヤイヤと首を振った。

 「あっ、やぁ、ジルベルト、やだっ、あっ、」
 「なんで? 気持ち良くない?」
 「ちがっ、あっ、あぁッ、かお……ジルベルトの、顔が、見たいっ……ぁあンッ!」

 背後から唸る声が聞こえたと思ったら、くるりと体が反転して、抱きしめられていた。

 ごめん、と謝ったジルベルトに、すぐに唇を奪われる。
 驚いてされるがままになっていると、すっと目を細めたジルベルトは、色っぽい表情を浮かべる。

 その顔でじっと見つめられながら陰茎を可愛がられ、俺はすぐに限界を迎えていた。
 
 「んんぅっ、んっ、ンンンンンン──ッ!!」

 快感に震え、目がとろんとしながら余韻に浸っている間、俺はジルベルトに抱きしめられたまま、長い口付けを交わす。

 すごく可愛かったと囁かれて、俺はうっとりとしながらジルベルトの唇を啄み続けていた。

















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