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第二の語り
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「もう、ほんまに勘弁してくれや、この人形。一体何のつもりやねん」
「えらいけったいなことになってきよったなあ」
「ほんまやで。五年前とは全く様子がちゃう」
「確かに、人形なんて全くあらへんかった」
「ああ、もう上行くのが怖なって来たわ」
「うーん…」
「おい、誰や!」
「ん?」
「今、階段の上から誰かが覗きよったんや」
「ほんまか。逃げた方がええんとちゃうか」
「いや、それが一瞬やってんけど、暗がりやし、確証はあらへんのやけど…宮上さん、やったような気がするんや」
「何やて?ほないっぺん確認しに行ってみたらどうだ」
「せやな」
「宮上さんはまさか生きとるんか」
「あの後のことは誰にも分からへん。皆で逃げ帰った後、二階で食い止めとったあの人の姿を見てるモンはおらへんからな」
「ほな、もしかしたらほんまに上におるかもしれんやないか」
「宮上さんー?おるんかー?」
「…」
「何や、そっちの携帯、えらいやかましいやないか」
「ああ、テレビが点いとんねや」
「そうか。返事はあらへんし、二階にも誰もおらんわ」
「廊下に異常は?」
「まあ、一応あらへん」
「例の人形は?」
「それもあらへん」
「ほな、さっき落ちてきたっちゅう人形は…」
「分からへん。とりあえず、二階に来てもうたし、部屋検めていくしかないやろな」
「せやな。宮上さんについて何か分かるかもしれへん」
「さっきの影は、見間違いやったんやろか。てか、よう考えたら、あれが宮上さんやなかったら…ああ、あかん、ほんまに怖なってきたわ」
「まさか、五年前の影っちゅうんか」
「ついに出て来たんかも分からへんな」
「そりゃまた…」
「今、階段から直ぐのところに入ったけど、やっぱりここも前と同じや」
「階段から直ぐ、言うたら、客用寝室やったか?」
「せや。五年前、ここは寝室やけど、あんまり使われた形跡があらへんから、客用やったんやないか、って俺らで話し合ったやないか」
「せやったなあ」
「ん?何や。今度は下から音したで」
「下?」
「ああ、何かを蹴飛ばしたみたいな音や」
「蹴飛ばした?」
「まあ、勢いよく倒れたっちゅうことや」
「なるほど…」
「この部屋、前よりもえらい散らかってるわ」
「散らかってる?」
「本や何やらがぎょうさん飛び出しとんのや」
「どういうこっちゃ」
「争った跡、っちゅうか…暴れ回った跡、っちゅうか…でもそれにしてはちょっと不自然な気がせんでもないけど…」
「争った?」
「ああ、俺の推測やけどな。あっ、この扉、確か、浴室の扉やったな」
「浴室?それがどないしたんや?」
「あん時、皆で言うてたやないか。ごっつい屋敷になるとそれぞれの部屋に風呂がつくんやなぁって」
「ああ、そないなこともあったな」
「うわっ…!」
「どないしたんや」
「…これは…」
「何や」
「…ああ、腰が抜けてもうたで…なあ、田村。さっき、部屋が荒れとんなぁ、って言うたけど、あれの意味が分かったわ」
「どういうことや」
「この浴室に、ガイコツがあんねん」
「はぁ!?」
「俺が思うに、これは、宮上さんの骨とちゃうか」
「何でや」
「宮上さんが付けとった時計が落ちとんのや。それにこの骨格とか、体付きとか…ああ、見るのも辛いわ」
「それはほんまか」
「ああ。この古臭い時計は、俺がプレゼントしたったもんやからな」
「なるほど…ほんで、それが部屋とどない関係があんねん」
「宮上さんは、ここで最後まで戦ったんや」
「ここって、その客用寝室でか?」
「せや。宮上さんが階段のとこまで追い詰められとったとこまでは見とったやろ。ほんであの後、俺らに早う行け!言うて、あの人は咄嗟にこの部屋に入ったんや。ほんで、本を投げたり、色々抵抗したけど、効果があらへんで、この浴室に追い詰められて最後は殺されてしもたんや」
「そんな…」
「まあこれは推測やけど、何となくそんな気がするわ。ほんで、あの人がここで戦っとる間に、俺らは逃げたんや」
「…」
「ああ、ほんまにすまんかった。宮上さん。あんたと一緒に逃げるべきやったんや。せめて、祈らしてくれ」
「そないお前が背負うてもしゃあないやろ。あん時、俺らが逃げるぞ、言うてもあの人は先行け言うて聞かんかったんや」
「それでも、止めるべ…うわっ!」
「どないしたんや?」
「また、人形や…」
「えらいけったいなことになってきよったなあ」
「ほんまやで。五年前とは全く様子がちゃう」
「確かに、人形なんて全くあらへんかった」
「ああ、もう上行くのが怖なって来たわ」
「うーん…」
「おい、誰や!」
「ん?」
「今、階段の上から誰かが覗きよったんや」
「ほんまか。逃げた方がええんとちゃうか」
「いや、それが一瞬やってんけど、暗がりやし、確証はあらへんのやけど…宮上さん、やったような気がするんや」
「何やて?ほないっぺん確認しに行ってみたらどうだ」
「せやな」
「宮上さんはまさか生きとるんか」
「あの後のことは誰にも分からへん。皆で逃げ帰った後、二階で食い止めとったあの人の姿を見てるモンはおらへんからな」
「ほな、もしかしたらほんまに上におるかもしれんやないか」
「宮上さんー?おるんかー?」
「…」
「何や、そっちの携帯、えらいやかましいやないか」
「ああ、テレビが点いとんねや」
「そうか。返事はあらへんし、二階にも誰もおらんわ」
「廊下に異常は?」
「まあ、一応あらへん」
「例の人形は?」
「それもあらへん」
「ほな、さっき落ちてきたっちゅう人形は…」
「分からへん。とりあえず、二階に来てもうたし、部屋検めていくしかないやろな」
「せやな。宮上さんについて何か分かるかもしれへん」
「さっきの影は、見間違いやったんやろか。てか、よう考えたら、あれが宮上さんやなかったら…ああ、あかん、ほんまに怖なってきたわ」
「まさか、五年前の影っちゅうんか」
「ついに出て来たんかも分からへんな」
「そりゃまた…」
「今、階段から直ぐのところに入ったけど、やっぱりここも前と同じや」
「階段から直ぐ、言うたら、客用寝室やったか?」
「せや。五年前、ここは寝室やけど、あんまり使われた形跡があらへんから、客用やったんやないか、って俺らで話し合ったやないか」
「せやったなあ」
「ん?何や。今度は下から音したで」
「下?」
「ああ、何かを蹴飛ばしたみたいな音や」
「蹴飛ばした?」
「まあ、勢いよく倒れたっちゅうことや」
「なるほど…」
「この部屋、前よりもえらい散らかってるわ」
「散らかってる?」
「本や何やらがぎょうさん飛び出しとんのや」
「どういうこっちゃ」
「争った跡、っちゅうか…暴れ回った跡、っちゅうか…でもそれにしてはちょっと不自然な気がせんでもないけど…」
「争った?」
「ああ、俺の推測やけどな。あっ、この扉、確か、浴室の扉やったな」
「浴室?それがどないしたんや?」
「あん時、皆で言うてたやないか。ごっつい屋敷になるとそれぞれの部屋に風呂がつくんやなぁって」
「ああ、そないなこともあったな」
「うわっ…!」
「どないしたんや」
「…これは…」
「何や」
「…ああ、腰が抜けてもうたで…なあ、田村。さっき、部屋が荒れとんなぁ、って言うたけど、あれの意味が分かったわ」
「どういうことや」
「この浴室に、ガイコツがあんねん」
「はぁ!?」
「俺が思うに、これは、宮上さんの骨とちゃうか」
「何でや」
「宮上さんが付けとった時計が落ちとんのや。それにこの骨格とか、体付きとか…ああ、見るのも辛いわ」
「それはほんまか」
「ああ。この古臭い時計は、俺がプレゼントしたったもんやからな」
「なるほど…ほんで、それが部屋とどない関係があんねん」
「宮上さんは、ここで最後まで戦ったんや」
「ここって、その客用寝室でか?」
「せや。宮上さんが階段のとこまで追い詰められとったとこまでは見とったやろ。ほんであの後、俺らに早う行け!言うて、あの人は咄嗟にこの部屋に入ったんや。ほんで、本を投げたり、色々抵抗したけど、効果があらへんで、この浴室に追い詰められて最後は殺されてしもたんや」
「そんな…」
「まあこれは推測やけど、何となくそんな気がするわ。ほんで、あの人がここで戦っとる間に、俺らは逃げたんや」
「…」
「ああ、ほんまにすまんかった。宮上さん。あんたと一緒に逃げるべきやったんや。せめて、祈らしてくれ」
「そないお前が背負うてもしゃあないやろ。あん時、俺らが逃げるぞ、言うてもあの人は先行け言うて聞かんかったんや」
「それでも、止めるべ…うわっ!」
「どないしたんや?」
「また、人形や…」
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