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怪盗K.N.J.の犯行
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××県警察署。
ここに、険しい形相で腕を組み、窓の外を眺める一人の男がいた。
おお同志よ……お主もようやく目が覚めたのだな。
お主を待つ時間は永遠にも近しく感じたぞ。まるで時の狭間に迷い込んだかのようだった……。
……ん?お前は誰かだと?
ふっ……まぁ俺を知らなくとも無理はない。
俺は漆黒の翼を持って生まれた、そう、堕天使。今は人間を装い闇の組織にて、魔王の力をこの手中に治めるべく日々、
「なーに独りでブツブツ言ってんすか、黒羽警部」
険しい面持ちをした男は、唐突にパコン、と丸められた雑誌で、その頭を叩かれた。
ぐはぁっ!!とまるで血反吐でも吐いたかのような演技で口元を抑え、膝から崩れ落ちた男に、叩いた張本人は大きなため息を吐く。
肩で荒く息をする男は丸めた雑誌を持つ女を下から睨み上げた。
「貴様……光り輝く森にて生を受けし者よ……!この俺を裏切るというのか……!」
「いい加減、ふつーに金森って呼んでくれませんかね……。
ホント、よく飽きないですねそのしゃべり方」
自分の肩をポンポン、と雑誌で叩きながら、金森という女性はもう一度、深いため息を吐いた。
彼女、金森警部補にとって黒羽は上司に当たる。
いくら性格、話し方、リアクションがうざくとも、彼女にとって彼は業務上、避けては通れない存在だった。
「この間の事件資料、目通してくれてるんですよね?」
半眼で見下ろす金森。
先程まで彼女を睨んでいた黒羽は、すっ、とその左眼に右手を翳した。
「ふっ……俺を誰だと思っている……。
この封印されし邪眼を持ってすればあんなものものの五秒で「はいまだ見てないならさっさと見るー。帰れなくても知らないですよ」
再びパコン、と金森が黒羽の頭を叩いた。
またまた大袈裟に倒れた黒羽は、床に平伏し恨めしそうな目で金森を睨んだ。
しかし金森はその眼力を物ともせず、トントン、と彼のデスクの上のファイルを指で叩いた。
「私今日日勤なんで18時に帰りますからね。明日の会議までにはちゃんとーー」
途中でぴたっ、と金森の動きが止まった。
呆れ返っていた表情が、訝しげなものに変わる。
黒羽もその変化を感じ取ったのか、どうした、と倒れたままだった身を起こした。
「いや……これ何だろうと思っただけです」
黒羽のデスクの上には、金森が積み上げた事件資料のファイルが積み上がっている。
その下から、宛名のないメッセージカードがはみ出していたのだ。
何だこれは、と黒羽も眉を顰めて手に取る。
そこにはこう、書かれていた。
『空が赤く染まりし頃、貴方様の大切な力を、盗みに参ります 怪盗K.N.J.』
一瞬の間を置いて、黒羽が息を呑んだ。
「ななな何だこれは……!」
黒羽の目はこれでもかと見開かれ、メッセージカードを持つ手もわなわなと震えている。
メッセージを覗き込んだ金森は、は?と素っ頓狂な声を上げた。
「この俺に……犯行予告だと……!
命知らずなやつめ……この俺を怒らせたことを後悔するがいい、返り討ちにしてやる……!」
怒りに窓の外を睨む黒羽。誰かいるわけでもなしに、と金森は思ったが、突っ込むだけ無駄だ。敢えてスルーを選ぶ。
「怪盗K.N.J.って何ですかね?聞いたことない。しかも警部の大切な力って?よく分からない悪戯ですね」
空が赤く染まりし頃、は簡単。夕方のことだ。少し肌寒くなってきた秋の始め、まさに今これから、暮れ始める時間だ。
大切な力、と黒羽は顎に手を当て呟くと、すぐにハッとして狼狽え始めた。
「まさか……この俺の邪眼を狙いに……!?それか、この左手に封じた古の竜の力か……!?
いやしかし、この力を手に入れたとして扱える者などこの世には……」
再び、黒羽はブツブツと何か独り言を言い始める。
また始まった、と金森は本日何度目か分からないため息を吐いた。
この上司、どうしたものかと、言いたげなその目は、散らかった黒羽のデスクに向けられた。
「む……空が赤く染まりし頃……」
黒羽が窓の外を見やる。
ビルの隙間から、オレンジと赤色が馴染みだした、青空が覗いている。
怪盗K.N.J.……、と黒羽は独りでに呟くが、そんな黒羽のことは完全無視で、金森はその背中にあの、と声をかけた。
「ちょっと警部。これ、一週間前の書類、もしかしてまだ全然見てないんじゃないですか?」
机の隅で束に置かれた紙を、金森が指した。
ぎくっと大きく肩を揺らした黒羽は、振り向かない。
この上司は、自分が散々溜めた仕事を、期限ギリギリになると度々金森に振ってきていた。
経験則からくる嫌な予感に、金森は顔を歪めて、低く問う。
「まさか……手伝え、とか、言いませんよねぇ?」
黒羽はふっ、と小さく笑って、金森を振り返った。
「■り■く■にて■を■けし■よ……。
こんなもの、この■の■■を■ってすればすぐに……!
……?」
再び左眼に手を翳した黒羽だったが、その異変には、すぐさま二人とも気付いた。
突然、黒羽の言葉の節々が、途切れ途切れになってしまったのだ。
「なんだこれは!■■どういうことだ!?」
「え?あれ、普通に喋った」
「どこが■■だ、■り■く■にて■を■けし■よ!」
「あ、途切れまくってますね」
もうお気付きだろうか。
しかしこの二人はまだ気付かない。
声を荒らげる黒羽と、一方落ち着いた金森のやり取りは続く。
「警部、さっき『ーーりーーーくーーにてーーをーけしーーよ』って二回言いましたけど、何て言ってるんですか?」
「■を■けたことを。お■の■■に■まっているだろうが!」
「うーん怒ってるけど全然何言ってるか分からない」
金森は腕を組んで首を傾げる。
一方で、黒羽の直感は何かに気付き始めたようだ。
金森を指さして、彼は一語ずつ、はっきりと話はじめた。
「ひ、か、り、か、が、や、く、も、り、に、て、せ、い、を、う、け、し、も、の、よ!!」
「はい?」
やたらゆっくりと呼ばれて、金森は思わず返事をしてしまった。これは失態、と彼女は口を抑える。
黒羽はもう一回、と言うかのように指を立てると、今度はいつも通りに口を動かし始めた。
「■り■やく■にて■を■けし■よ!!」
その様子に金森はぱちぱちと瞬きを繰り返す。
そして、あー……、と低く呟くと、メッセージカードを手に取った。
『空が赤く染まりし頃、貴方様の大切な力を、盗みに参ります 怪盗K.N.J.』
「怪盗K.N.J.……ってまさか……漢字……?」
なんて安直な。
しかし、うんうん、と黒羽は黙って頷いている。
えー……、と金森は呆れる一方で、じわじわと込み上げてくる笑いをどうしても堪えられなかった。
なるほど、天晴れだ怪盗K.N.J.。
大切な力とはそういうことか。
これで黒羽はもう、左眼の邪眼も封印されし古の竜の力も使えない。
隣で黒羽は途切れ途切れの言葉で憤慨しているが、何を言っているかは全く分からない。
だけど金森は、初めてこの上司を目の前に愉快な気持ちになり、しばらく笑い続けていた。
「■り■やく■にて■を■けし■よ!いつまで■っている!!」
「あははは!いやぁ、中々やりますねぇ、怪盗K.N.J.。
これは捕まえるのに苦労しそうだ」
あはは、と未だに笑いながら、金森は黒羽を無視し、自分のデスクに戻って荷物をまとめ始める。
そして鞄を手にすると、黒羽を向き直った。
「じゃ、私帰りますんで、急ぎの書類だけお願いしますね」
そう言って緩く敬礼すると、金森は黒羽に踵を返した。
しかし、あ、と思い出したかのように振り返って、肩越しににやりと笑う。
「早くその厨二病治すか、怪盗K.N.J.捕まえるかしてくださいね」
出来れば前者で、と言い残して、金森は逃げるように颯爽と部屋を後にした。
黒羽の、声にならない怒りの四文字が響き渡ったが、当の本人は気付かないまま、鼻歌を歌いながら帰路に着くのであった。
数日後、黒羽警部による怪盗K.N.J.追走劇が始まるのだが、彼が語るこのお話は、今語るとひらがなだけになってしまうので、まだ記さないでおくことにしよう。
ここに、険しい形相で腕を組み、窓の外を眺める一人の男がいた。
おお同志よ……お主もようやく目が覚めたのだな。
お主を待つ時間は永遠にも近しく感じたぞ。まるで時の狭間に迷い込んだかのようだった……。
……ん?お前は誰かだと?
ふっ……まぁ俺を知らなくとも無理はない。
俺は漆黒の翼を持って生まれた、そう、堕天使。今は人間を装い闇の組織にて、魔王の力をこの手中に治めるべく日々、
「なーに独りでブツブツ言ってんすか、黒羽警部」
険しい面持ちをした男は、唐突にパコン、と丸められた雑誌で、その頭を叩かれた。
ぐはぁっ!!とまるで血反吐でも吐いたかのような演技で口元を抑え、膝から崩れ落ちた男に、叩いた張本人は大きなため息を吐く。
肩で荒く息をする男は丸めた雑誌を持つ女を下から睨み上げた。
「貴様……光り輝く森にて生を受けし者よ……!この俺を裏切るというのか……!」
「いい加減、ふつーに金森って呼んでくれませんかね……。
ホント、よく飽きないですねそのしゃべり方」
自分の肩をポンポン、と雑誌で叩きながら、金森という女性はもう一度、深いため息を吐いた。
彼女、金森警部補にとって黒羽は上司に当たる。
いくら性格、話し方、リアクションがうざくとも、彼女にとって彼は業務上、避けては通れない存在だった。
「この間の事件資料、目通してくれてるんですよね?」
半眼で見下ろす金森。
先程まで彼女を睨んでいた黒羽は、すっ、とその左眼に右手を翳した。
「ふっ……俺を誰だと思っている……。
この封印されし邪眼を持ってすればあんなものものの五秒で「はいまだ見てないならさっさと見るー。帰れなくても知らないですよ」
再びパコン、と金森が黒羽の頭を叩いた。
またまた大袈裟に倒れた黒羽は、床に平伏し恨めしそうな目で金森を睨んだ。
しかし金森はその眼力を物ともせず、トントン、と彼のデスクの上のファイルを指で叩いた。
「私今日日勤なんで18時に帰りますからね。明日の会議までにはちゃんとーー」
途中でぴたっ、と金森の動きが止まった。
呆れ返っていた表情が、訝しげなものに変わる。
黒羽もその変化を感じ取ったのか、どうした、と倒れたままだった身を起こした。
「いや……これ何だろうと思っただけです」
黒羽のデスクの上には、金森が積み上げた事件資料のファイルが積み上がっている。
その下から、宛名のないメッセージカードがはみ出していたのだ。
何だこれは、と黒羽も眉を顰めて手に取る。
そこにはこう、書かれていた。
『空が赤く染まりし頃、貴方様の大切な力を、盗みに参ります 怪盗K.N.J.』
一瞬の間を置いて、黒羽が息を呑んだ。
「ななな何だこれは……!」
黒羽の目はこれでもかと見開かれ、メッセージカードを持つ手もわなわなと震えている。
メッセージを覗き込んだ金森は、は?と素っ頓狂な声を上げた。
「この俺に……犯行予告だと……!
命知らずなやつめ……この俺を怒らせたことを後悔するがいい、返り討ちにしてやる……!」
怒りに窓の外を睨む黒羽。誰かいるわけでもなしに、と金森は思ったが、突っ込むだけ無駄だ。敢えてスルーを選ぶ。
「怪盗K.N.J.って何ですかね?聞いたことない。しかも警部の大切な力って?よく分からない悪戯ですね」
空が赤く染まりし頃、は簡単。夕方のことだ。少し肌寒くなってきた秋の始め、まさに今これから、暮れ始める時間だ。
大切な力、と黒羽は顎に手を当て呟くと、すぐにハッとして狼狽え始めた。
「まさか……この俺の邪眼を狙いに……!?それか、この左手に封じた古の竜の力か……!?
いやしかし、この力を手に入れたとして扱える者などこの世には……」
再び、黒羽はブツブツと何か独り言を言い始める。
また始まった、と金森は本日何度目か分からないため息を吐いた。
この上司、どうしたものかと、言いたげなその目は、散らかった黒羽のデスクに向けられた。
「む……空が赤く染まりし頃……」
黒羽が窓の外を見やる。
ビルの隙間から、オレンジと赤色が馴染みだした、青空が覗いている。
怪盗K.N.J.……、と黒羽は独りでに呟くが、そんな黒羽のことは完全無視で、金森はその背中にあの、と声をかけた。
「ちょっと警部。これ、一週間前の書類、もしかしてまだ全然見てないんじゃないですか?」
机の隅で束に置かれた紙を、金森が指した。
ぎくっと大きく肩を揺らした黒羽は、振り向かない。
この上司は、自分が散々溜めた仕事を、期限ギリギリになると度々金森に振ってきていた。
経験則からくる嫌な予感に、金森は顔を歪めて、低く問う。
「まさか……手伝え、とか、言いませんよねぇ?」
黒羽はふっ、と小さく笑って、金森を振り返った。
「■り■く■にて■を■けし■よ……。
こんなもの、この■の■■を■ってすればすぐに……!
……?」
再び左眼に手を翳した黒羽だったが、その異変には、すぐさま二人とも気付いた。
突然、黒羽の言葉の節々が、途切れ途切れになってしまったのだ。
「なんだこれは!■■どういうことだ!?」
「え?あれ、普通に喋った」
「どこが■■だ、■り■く■にて■を■けし■よ!」
「あ、途切れまくってますね」
もうお気付きだろうか。
しかしこの二人はまだ気付かない。
声を荒らげる黒羽と、一方落ち着いた金森のやり取りは続く。
「警部、さっき『ーーりーーーくーーにてーーをーけしーーよ』って二回言いましたけど、何て言ってるんですか?」
「■を■けたことを。お■の■■に■まっているだろうが!」
「うーん怒ってるけど全然何言ってるか分からない」
金森は腕を組んで首を傾げる。
一方で、黒羽の直感は何かに気付き始めたようだ。
金森を指さして、彼は一語ずつ、はっきりと話はじめた。
「ひ、か、り、か、が、や、く、も、り、に、て、せ、い、を、う、け、し、も、の、よ!!」
「はい?」
やたらゆっくりと呼ばれて、金森は思わず返事をしてしまった。これは失態、と彼女は口を抑える。
黒羽はもう一回、と言うかのように指を立てると、今度はいつも通りに口を動かし始めた。
「■り■やく■にて■を■けし■よ!!」
その様子に金森はぱちぱちと瞬きを繰り返す。
そして、あー……、と低く呟くと、メッセージカードを手に取った。
『空が赤く染まりし頃、貴方様の大切な力を、盗みに参ります 怪盗K.N.J.』
「怪盗K.N.J.……ってまさか……漢字……?」
なんて安直な。
しかし、うんうん、と黒羽は黙って頷いている。
えー……、と金森は呆れる一方で、じわじわと込み上げてくる笑いをどうしても堪えられなかった。
なるほど、天晴れだ怪盗K.N.J.。
大切な力とはそういうことか。
これで黒羽はもう、左眼の邪眼も封印されし古の竜の力も使えない。
隣で黒羽は途切れ途切れの言葉で憤慨しているが、何を言っているかは全く分からない。
だけど金森は、初めてこの上司を目の前に愉快な気持ちになり、しばらく笑い続けていた。
「■り■やく■にて■を■けし■よ!いつまで■っている!!」
「あははは!いやぁ、中々やりますねぇ、怪盗K.N.J.。
これは捕まえるのに苦労しそうだ」
あはは、と未だに笑いながら、金森は黒羽を無視し、自分のデスクに戻って荷物をまとめ始める。
そして鞄を手にすると、黒羽を向き直った。
「じゃ、私帰りますんで、急ぎの書類だけお願いしますね」
そう言って緩く敬礼すると、金森は黒羽に踵を返した。
しかし、あ、と思い出したかのように振り返って、肩越しににやりと笑う。
「早くその厨二病治すか、怪盗K.N.J.捕まえるかしてくださいね」
出来れば前者で、と言い残して、金森は逃げるように颯爽と部屋を後にした。
黒羽の、声にならない怒りの四文字が響き渡ったが、当の本人は気付かないまま、鼻歌を歌いながら帰路に着くのであった。
数日後、黒羽警部による怪盗K.N.J.追走劇が始まるのだが、彼が語るこのお話は、今語るとひらがなだけになってしまうので、まだ記さないでおくことにしよう。
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