ど天然田舎令嬢は都会で運命の恋がしたい!

上木 柚

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第三章

49 ノース伯爵家にて2

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「どういう意味?」
「そのままの意味です。お二人でお約束はされていらっしゃいましたけど、きちんと婚約されていた訳ではありませんでしたでしょう?ですからノース伯爵家から婚約を打診いたしましたの。何がいけませんの?」
「何がって、ジュリア様は知っていたでしょ?わたくしとトマス様が想い合ってること!」
「フッ、想い合ってる…ねぇ」

 ジュリアは足を止めると、クルリと振り返る。

「想い合ってるのに、お手紙の一つも書きませんでしたの?それにトマス様からも1通も来なかったでしょう?それでよく想い合っているなどと。フフフ」
「そんなことっ!酷いわ!ジュリア様、あんなに仲良くしてたのに!お友達だったでしょう?」

 その言葉にジュリアはキッと目をつりあげ、ロザリンドを睨みつけた。

「お友達?いつ、わたくしと貴女がお友達になったのかしら?ハッキリ言って、わたくし貴女が大嫌いでしたわ!無邪気を装って人の気持ちも考えずに、ズケズケと!貴女に勝手に邸に連れて行かれて、聞きたくもないトマス様とのお話を聞かされる、あのお茶会が苦痛で堪らなかったわ!」
「そ、そんな…」
「何でなの!?なんで貴女みたいに身勝手で、自己中心的な人が、わたくしの欲しかったものを全部手に入れられるのっ!?恋も友情も何もかもっ!!」
「何を…言ってるの?」
「お茶会でも、デビュタントでも、チヤホヤされて、話題の中心になって、さぞやいい気分でしたでしょうね?いいですわねぇ、何の苦労も知らない方は。見た目だけ美しくて、中身は何一つ伴わないというのに!何でもかんでも思いのままですわよね?ならいいじゃないの!トマス様はわたくしに譲ってくれたって!」

 捲し立てるようにジュリアが話すのに、口を挟む事は出来ず、ロザリンドはただただ聞くことしか出来なかった。

「お引き取りくださいまし。もう個人的にお会いすることはございませんわ」

 そう冷たく言い放つと、ジュリアは足早に去っていった。ジュリアの話を受け止めきれず、しばらく呆然と立ち尽くすロザリンドは、戻りが遅いことを心配して、迎えに来たルーシーを視界に入れた途端に泣き崩れた。
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