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第三章
48 ノース伯爵家にて1
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「お嬢様!どうされたんですか!?」
ファインズ侯爵家の邸を飛び出し、駆け込んできたロザリンドを、馬車で待機していたルーシーが驚いた様子で迎えた。
ルーシーの顔を見た途端に、ロザリンドの瞳からは大粒の涙が溢れ出し、声を上げて泣き出した。
「うぅぅ…ルーシーぃぃぃ!うっく、トマスさまがぁぁ!」
「はいはい、まず鼻をかみましょうね」
ルーシーに鼻を拭われ、少し落ち着いたロザリンドは、トマスに言われたことをルーシーに話し、急いでノース伯爵家へ向かうように告げた。
「ジュリア様は何でエドワードを人間だと思ったのかしら…。それに、酷い誤解をしてるみたいだし…」
「とにかくお会いしてお話を聞いてみましょう。くよくよしているのはお嬢様らしくありませんよ。調子が狂います」
「あなたも酷いわ。ルーシー…」
ノース伯爵家に着き、ジュリアに会いたい旨を伝えると、庭にいるからそちらへと案内された。
冬でも花が絶えないように美しく手入れされたノース伯爵家の庭園を進むと、奥の東屋に佇むジュリアを見つけた。
「ジュリア様!」
ロザリンドが声をかけると、ジュリアはチラリと一瞥し、すぐに視線を外した。
「…お約束してましたかしら?ロザリンド様」
「何で来たのかはわかっているでしょ?」
対峙するロザリンドを真っ直ぐに見つめて、ジュリアは歪んだ笑顔を浮かべた。
「さあ?なんのご用事ですの?わたくし、わかりかねますわ」
「トマス様との婚約の事よ!なんでなの?わたくし達の事は知っていたでしょ!?」
「ああ、その事ですか…」
詰め寄るロザリンドの手を冷たく払い除け、ジュリアは庭園を歩き出した。ロザリンドはその後ろをついて歩き始める。
「そうですわね。確かにトマス様と貴女は婚約しようとお約束されていましたわね」
「そうよ!なのに、なんで!?」
「それで?だから何なのです?お二人でお約束されていただけでしょう?」
「…え?」
ファインズ侯爵家の邸を飛び出し、駆け込んできたロザリンドを、馬車で待機していたルーシーが驚いた様子で迎えた。
ルーシーの顔を見た途端に、ロザリンドの瞳からは大粒の涙が溢れ出し、声を上げて泣き出した。
「うぅぅ…ルーシーぃぃぃ!うっく、トマスさまがぁぁ!」
「はいはい、まず鼻をかみましょうね」
ルーシーに鼻を拭われ、少し落ち着いたロザリンドは、トマスに言われたことをルーシーに話し、急いでノース伯爵家へ向かうように告げた。
「ジュリア様は何でエドワードを人間だと思ったのかしら…。それに、酷い誤解をしてるみたいだし…」
「とにかくお会いしてお話を聞いてみましょう。くよくよしているのはお嬢様らしくありませんよ。調子が狂います」
「あなたも酷いわ。ルーシー…」
ノース伯爵家に着き、ジュリアに会いたい旨を伝えると、庭にいるからそちらへと案内された。
冬でも花が絶えないように美しく手入れされたノース伯爵家の庭園を進むと、奥の東屋に佇むジュリアを見つけた。
「ジュリア様!」
ロザリンドが声をかけると、ジュリアはチラリと一瞥し、すぐに視線を外した。
「…お約束してましたかしら?ロザリンド様」
「何で来たのかはわかっているでしょ?」
対峙するロザリンドを真っ直ぐに見つめて、ジュリアは歪んだ笑顔を浮かべた。
「さあ?なんのご用事ですの?わたくし、わかりかねますわ」
「トマス様との婚約の事よ!なんでなの?わたくし達の事は知っていたでしょ!?」
「ああ、その事ですか…」
詰め寄るロザリンドの手を冷たく払い除け、ジュリアは庭園を歩き出した。ロザリンドはその後ろをついて歩き始める。
「そうですわね。確かにトマス様と貴女は婚約しようとお約束されていましたわね」
「そうよ!なのに、なんで!?」
「それで?だから何なのです?お二人でお約束されていただけでしょう?」
「…え?」
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