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第三章 ジャンヌの物語 ヴァラヴォルフ族

『赤いソード』

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 アエローさんは四姉妹の長女で、後の三人とは、オーキュペテーさん、ケライノーさん、ポダルゲーさんというそうで、不埒な狼に監禁されているとの事です。
「ルー・ガルーにさらわれて……毎日……」

 ジャンヌはそれ以上聞きませんでした。
「女の敵ね……」
 少しというか、かなり頭に来たのは確かです。
 怒りが湧いて、ルー・ガルーを懲らしめたいと願いますと……
 頭の中に、文字が浮かび上がりました。

 消去、厳罰、訓戒……

 選べばいいのね……消去はね……訓戒は不可ね……厳罰、これにしましょう。
 するとジャンヌのチョーカーが一瞬輝き、目の前にスモール・ソード――細身の剣、レイピアをさらに小型にしたもの――が浮かびあがったのです。

 私、剣など使ったことなど無いのに……手に取れというのね……
 ジャンヌがスモール・ソードを受け取ると、その剣の柄から、棘のあるひも状のものが二本のびてきた。
 そしてジャンヌの手首にまきついた……

 血を吸い取っているのか、スモール・ソードが赤く染まっていく……

 いいでしょう……私の寵愛を受けた者よ……貴女の血を代価として貰い受けた……今夜は満月……北に山が見えるはず……その剣に導かれるがいい……

 そろそろ闇が訪れ始めます。
「ミコ様が北へ行けとおっしゃっています、アエローさん、ついて来てくれますか?」
「では、私の姉妹を助けていただけるのですか?」
「そういたします、リュシエンヌさん、お留守番をお願いします」

「ジャンヌ様……やはり危険なのでは……」
「私はミコ様にすべてを捧げているのです、私の生死はミコ様の物、そのミコ様が今回の事に対して、許可して下さったのです」

「戦いなどしたこともありませんが、私はこの授かった剣でルー・ガルーに厳罰を与えてきます」
 ブルボン・オルレアンの姫は、このように言い放ったのです。

 ジャンヌは北へと進む……といっても手にまきついた『赤いソード』が、ジャンヌとともに北の山へ転移したのです、アエローとともに……
 驚いたわ……もう、何でもありね……

 山の中腹、広場になっているような場所です。
 そこに小さな石造りの家が一軒……
「あの家がルー・ガルーの家です、とんでもない体力ですから、気を付けてくださいね」

「分かりました」
 ジャンヌはすたすたと歩いていきます。

 アエローさんが……薄ら笑いを浮かべました……

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