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第四章 アレクサンドラの物語 イーゼル騒動記
05 貧乏女官生活
しおりを挟むとにかくお金が無い!
イーゼル直轄領の住人は裕福なのに、統治する行政府はスッカラカン……
お役人のなり手がないほどなのです。
「でも、バーバラ女官長はマリノ子爵家のご令嬢、泣きついてみたら。」
とアマーリアが言いますが、アレクサンドラは拒否しました。
「アマーリア、これはイーゼル公館の話、マリノ子爵家は関係ないの。」
「ここで、マリノ子爵家に援助を乞うたら、借りが出来るわ。」
「私たちのヴィーナス様が、マリノ子爵家に、借りを作るというのはいけないわ。」
「借りがあると、それに引きずられるの、貴女もそれは嫌というほど知っているでしょう。」
ほんの少し、生活が苦しくて、お金を借りてしまった……
母が長い病気で伏せっており、父は寂しいのか、娼館に入り浸りってしまう。
甘い囁きが父を騙した、気がつけば膨大な借金……
父は公金を使い込んでしまって……
父が自殺して、それでも毎日毎晩やってくる借金取りに、三姉妹は怯えて暮らしていたのです。
耐えかねて母も後を追って……それは辛い日々を経験していたのです。
アマーリアは姉の言葉に頷くばかり、幼いアマーリアでも、強烈な経験が理解させているのです。
ということで取り敢えずは、イーゼル公館は今までどおり、自活?することになります。
アレクサンドラは女官というのに、自ら繕い物をして、継当ての服を着て、掃除洗濯……涙ぐましい奮闘ぶりです。
「この間、玄関の壁を塗ったけれど、今度は西側の窓が開かなくなったね……油でも塗っておこうかしら……」
「お姉さま……、今日の夕食の食材がありません……」
「困ったわね……税収が入るまでは三日後なのだけれど……」
アマーリアが、
「私たちは、ご飯抜きは慣れていますが、他の女官補さんたちは……」
「そうね……お金を借りるのは転落の一歩だし……仕方ないわ……あの手で乗り切りましょう。」
「ここは街の中……そうだ、お姉さま……河原があったわ……」
「あそこなら、食べられる野草が有りそうよ、私、取ってくるわ。」
「アマーリア、大丈夫?」
「任せて、ついでに魚も取れたら取ってくるわ、こんなのなんでもないわ、だって借金取りは来ないのですもの。」
「私も行くわ。」
またまたオリヴィアさんが、口をはさみます。
「いえ、側女の方は、ハレムの外へ出るのはいかがかと……女官でも褒められないのに……」
「ここはイーゼル……規則は緩いのですから大丈夫ですよ。」
「それに一応私もチョーカーをつけている身、私が側に入れば安全でしょう。」
チョーカー……そうよ、チョーカーよ、閃いたわ……
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