ミコの女たち 第三短編集 パープル・ウィドウ・コレクション 【ノーマル版】

第三章 鈴木駒子の物語 秘め事

献上品の『質』が問われます

　忍が、
「しかしこれは対処療法に過ぎません、女が増える以上、いつかかならず、環境ホルモン汚染は問題となります」

「これを解決する方法を、エール様に聞いたことがあるのですが、エール様のおっしゃるには、この世界には魔法の種が存在しており、それはヴィーナス・ネットワークの世界には、満ち満ちている存在だそうです」

「この魔法の種を活性化して、継続的に環境ホルモン汚染を、浄化し続ける事ができるそうです」
「そのため、私たちの世界は女が増えても、問題なく存続できているのです」

「いつかは、環境ホルモン汚染の上に成り立つ、生態系に移行できると考えられるそうですが、現状では難しいとの事です」
「この惑星テラにおいて、一級市民地域だけが守られているそうです」
　
「よくそんな話を教えていただけましたね」
「勿論ミコ様のご意向が有ってのこと、エール様はそんなに甘くありません」

「どうやら魔法の種の活性化は、ミリタリーが頑強に反対しているそうです」
「私がテラを直轄惑星と目論んで、北米ナーキッド領域を成立させ献上品を出した時、そっとイシス様が耳打ちしてくれました」
「献上品の『質』ゆえに、ミリタリーたちも、表立っての反対は影をひそめてきたと」

「では何とかなるかも知れない、その目が出てきたのですね」
「北米とパシフィックは安定しています、環境ホルモン汚染があっという間に除去されました」

「しかしヨーロッパが問題なのです、このまま放置しておくと、間違いなしに撤退の話になるでしょう」

「でも、この問題はまだ時間が有ります、その間に東南アジアと、南アジアにナーキッド領域を成立させれば、テラのかなりの部分の人々を、何とか出来るようになるかと思います」

「東南アジアと南アジア、同時にする計画ですか？」
「それを皆さんと検討したいのです、東南アジアはかかれますが、南アジアは……」
「ミコ様、ご自身がかなりお怒りですからね、西アジアも含めてね」

　セレスティアさんが、
「いっそ南アジアは、西アジアも含めて軍事進攻してはどうか？」
「セイロン島あたりを占拠して軍政を敷く、多分あの地は、ほとんど男がいないと思われる、中国方式で良いのではないか？」

　反対は有りませんでした。
　上杉忍はナーキッドと軍とで、検討してみることに決めたようで、ローズマリーは香港で劉志玲と会談、統治方法などの為に視察することになりました。
　そして東南アジア担当の鈴木駒子は、迅速に行動を起こすことになったのです。