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第五十章 辺境諸侯領始末記
03 お約束なのですか?
しおりを挟むトレディア滞在三日で、ここまでやっと決めました。
「グレンフォード公爵、私の評判を聞いていますね、特に死の女王と呼ばれていることを。」
「私は裏切りを許しません、こんなことはいいたくありませんが、裏切らないでくださいね。」
「これ以上、平和を乱されたくないのです。」
「リヒャルトの二の舞はありません、お誓いいたします。」
「それを聞いて安心しました。」
「グレンフォード公爵、貴方がもしリヒャルトに、助勢していたらと思うとぞっとします。」
「よくぞ、あそこで私に助勢してくれました、感謝しています。」
「ところでアッタル騎士総裁、お身の周りのお世話の者ですが、昇爵を許された5家からお出しすることで、皆の意見が一致しております。」
「また夜を御慰めする者も、献上したいと考えます。」
「本当は当家より出したいのですが、やんごとなき方へ献上する者です。」
「ビクトリア様ほどではなくとも、極上の美女をと、皆で協議した結果、このたびお取りつぶしにあった家の者のなかに、二人ほど適任者が居ります。」
「我らとしては二人を献上することを条件に、家名を存続させようと考えました。」
「長く我らと共に、この辺境の地を支えてきた、名誉ある家の者でもあります。」
「黒の巫女様に、最後まで反逆した者たちではありますが、反省の気持ちも持っておりますので、なにとぞ美女献上を条件に、家名存続を認めていただけないでしょうか?」
またこの手の話しですか。
でも、この話、美女献上を名目にして、反逆した者たちを許してくれ、といっているようです。
「グレンフォード公爵、どうして徹底抗戦した者を、許さなければならないのですか?」
「後々のためです。」
「しかし安易に許すのは、いかがなものかと思います、味方してくれた方の内で、死んでいった者は浮かばれないでしょう。」
「信勝必罰も必要と考えます、とくに今後、この西部辺境領域はアッタル騎士団領となります。」
「軍事国家ともいうべき、この騎士団領の立ち上がり時に、私は賛成ではありません。」
ここでビクトリアさんが口を開きました。
「あるじ殿、取りあえず敗者のいい分を聞いて見ては。」
たしかにその通りです、私としたことが……
「良いことをいってくれます、たしかにその通り、何事にも理由があるはずでしょう。」
「もし死者をだしても、戦が必要な理由があれば、グレンフォード公爵の話しに耳を傾けましょう。」
「彼らはどこにいますか、話をしてみましょう。」
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