87 / 124
第四十八章 内乱
05 決闘
しおりを挟む戦いは一方的です。
初動で私が、電撃と死神で、リヒャルトの軍を半壊させています。
その為、聖戦騎士隊にとっては草を刈るような物、次々と敵を蹴散らしています。
戦術とか戦略というものは、関係ないのでしょうね。
とにかく主席の軍とはかなり錬度が違うようです。
敵ながら動員された兵士がかわいそうです、とにかく早く終わらせなくては……
この時、魔法が復活しました。
源兵衛さんが、
「マスター、気をつけてください、主席はマスターの周りの人間に憑依しています。」
「しかも自身も来ています、私が抑えていますが、どうやら自身の複製を大量に作っています。」
「これは抑えきれません。」
「マスターとアテネは、もともと魂が男性で、強靭な魂の持主なので、どうやら憑依されないようです。」
「マスター、主席相手では切り結ぶしかありません、これをお使いください。」
目の前に日本刀が現れました。
私はその刀を手に取ります、無銘ですが、恐ろしく良く切れそうです。
「とにかく主席を倒さなければ埒があきません、そういうことですね。」
「そうなります、しかもマスターとアテネだけで、主席とその複製を、相手にしなければなりません。」
もしここで私が倒れたら、やっと掴んだエラムの平和は幻に終わります、これは正念場です。
「アテネ、地獄へ付き合ってくれ!」
私は男言葉で言いました。
アテネさんは頷くと、小太刀をスッと抜いて、鞘をその場に置きました。
「鞘は必要ない、白刃は戻ることなし。」
アテネさん、良くいってくれました、私も鞘をその場に置きました。
「では、いきますか?」
「お供します。」
男同士って、言葉すくなくていいものです。
二人で敵陣へ向かって歩いています。
親衛のシルバニア軍は遥か前方に進出しています。
戦は勝ちました、しかし私たちの戦いはこれからです。
「主席、ここらでいいでしょう、出てきなさい。」
十四、五人の黒い塊が、浮き出て来て人型になりました・
本人は源兵衛さんが抑えていると、いっていましたので、これは複製の主席でしょう。
私とアテネは、この主席もどきと乱戦になります。
相手はもどきといっても主席です。
一人倒すごとに、あちこちに傷ををおい、徐々に深くなってきます。
きつい戦いを半日続けていますが、あと四人までとしました。
とにかくアテネさんも私も、かなりの深手を負っています、二人とも止血をしなければ危ないかもしれません。
しかし主席相手には、造血の魔法も使っている暇はありません。
あと三人、私は『もどき』を二人相手にしています。
荒木又右衛門の鍵屋の辻の決闘、いやいつのまにか二刀流なので、一乗寺下り松の決闘の宮本武蔵でしょうか。
とにかくかなり卑怯に、私は戦いました。
しかしそうはいっても考えてはいません、なにか本能というか感覚でわかるのです。
理屈で動けば敗北すると、思考を停止して、自然に身体が動くのに任せます。
そして斬り下げ薙ぎ払い、ついに二人を倒しました。
アテネさんもやっと最後の一人を倒します。
複製といえど、キツイ戦いに私は勝ったと思ったのに……
また五人ほどの黒い塊が、浮き出て来て人型になります。
私は傷をなおす暇もなく、新しい相手と戦うことになりますが、アテネさんは動けないようです。
私が何とかしなくては……
私は二刀を構えて五人と対峙して、
「私の命が欲しいのでしょう、来なさい。」
挑発しなければアテネさんが危ない、その一念です。
自分のアドレナリンが、大量に分泌しています。
脳内麻薬物質も大量分泌してきたのか、あれほどの痛みも感じなくなりました。
「マスター、危険です、抑えてください!」
と、源兵衛さんの絶叫が聞こえます。
構うものですか、ここでこの五人を倒さなければ、すべてがお終いになるかもしれないのです。
廃人覚悟で戦うしかないのです。
あと二人、私は再び宮本武蔵さんですが、ここで『もどき』が斬りかかってきました。
私は左の『もどき』に突きをいれましたが……左はそのまま私の手を握りしめ、右の『もどき』が私の腕を……
一瞬の激痛の後、脳内麻薬物質の大量分泌で瞬時に痛みが消え、私は右手の刀で、最後の相手を斬り伏せました。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
チート生産魔法使いによる復讐譚 ~国に散々尽くしてきたのに処分されました。今後は敵対国で存分に腕を振るいます~
クロン
ファンタジー
俺は異世界の一般兵であるリーズという少年に転生した。
だが元々の身体の持ち主の心が生きていたので、俺はずっと彼の視点から世界を見続けることしかできなかった。
リーズは俺の転生特典である生産魔術【クラフター】のチートを持っていて、かつ聖人のような人間だった。
だが……その性格を逆手にとられて、同僚や上司に散々利用された。
あげく罠にはめられて精神が壊れて死んでしまった。
そして身体の所有権が俺に移る。
リーズをはめた者たちは盗んだ手柄で昇進し、そいつらのせいで帝国は暴虐非道で最低な存在となった。
よくも俺と一心同体だったリーズをやってくれたな。
お前たちがリーズを絞って得た繁栄は全部ぶっ壊してやるよ。
お前らが歯牙にもかけないような小国の配下になって、クラフターの力を存分に使わせてもらう!
味方の物資を万全にして、更にドーピングや全兵士にプレートアーマーの配布など……。
絶望的な国力差をチート生産魔術で全てを覆すのだ!
そして俺を利用した奴らに復讐を遂げる!
危険な森で目指せ快適異世界生活!
ハラーマル
ファンタジー
初めての彼氏との誕生日デート中、彼氏に裏切られた私は、貞操を守るため、展望台から飛び降りて・・・
気がつくと、薄暗い洞窟の中で、よくわかんない種族に転生していました!
2人の子どもを助けて、一緒に森で生活することに・・・
だけどその森が、実は誰も生きて帰らないという危険な森で・・・
出会った子ども達と、謎種族のスキルや魔法、持ち前の明るさと行動力で、危険な森で快適な生活を目指します!
♢ ♢ ♢
所謂、異世界転生ものです。
初めての投稿なので、色々不備もあると思いますが。軽い気持ちで読んでくださると幸いです。
誤字や、読みにくいところは見つけ次第修正しています。
内容を大きく変更した場合には、お知らせ致しますので、確認していただけると嬉しいです。
「小説家になろう」様「カクヨム」様でも連載させていただいています。
※7月10日、「カクヨム」様の投稿について、アカウントを作成し直しました。
婚約破棄ですね。これでざまぁが出来るのね
いくみ
ファンタジー
パトリシアは卒業パーティーで婚約者の王子から婚約破棄を言い渡される。
しかし、これは、本人が待ちに待った結果である。さぁこれからどうやって私の13年を返して貰いましょうか。
覚悟して下さいませ王子様!
転生者嘗めないで下さいね。
追記
すみません短編予定でしたが、長くなりそうなので長編に変更させて頂きます。
モフモフも、追加させて頂きます。
よろしくお願いいたします。
カクヨム様でも連載を始めました。
装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます
tera
ファンタジー
※まだまだまだまだ更新継続中!
※書籍の詳細はteraのツイッターまで!@tera_father
※第1巻〜7巻まで好評発売中!コミックス1巻も発売中!
※書影など、公開中!
ある日、秋野冬至は異世界召喚に巻き込まれてしまった。
勇者召喚に巻き込まれた結果、チートの恩恵は無しだった。
スキルも何もない秋野冬至は一般人として生きていくことになる。
途方に暮れていた秋野冬至だが、手に持っていたアイテムの詳細が見えたり、インベントリが使えたりすることに気づく。
なんと、召喚前にやっていたゲームシステムをそっくりそのまま持っていたのだった。
その世界で秋野冬至にだけドロップアイテムとして誰かが倒した魔物の素材が拾え、お金も拾え、さらに秋野冬至だけが自由に装備を強化したり、錬金したり、ゲームのいいとこ取りみたいな事をできてしまう。
(完結)獅子姫の婿殿
七辻ゆゆ
ファンタジー
ドラゴンのいる辺境グランノットに、王と踊り子の間に生まれた王子リエレは婿としてやってきた。
歓迎されるはずもないと思っていたが、獅子姫ヴェネッダは大変に好意的、素直、あけっぴろげ、それはそれで思惑のあるリエレは困ってしまう。
「初めまして、婿殿。……うん? いや、ちょっと待って。話には聞いていたがとんでもなく美形だな」
「……お初にお目にかかる」
唖然としていたリエレがどうにか挨拶すると、彼女は大きく口を開いて笑った。
「皆、見てくれ! 私の夫はなんと美しいのだろう!」
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
海と風の王国
梨香
ファンタジー
ショウは海洋王国・東南諸島連合王国を治めるアスラン王の第六王子に転生した。第六王子なら王位に就くこともないだろうと呑気に構えていたが、兄王子達の諍いに巻き込まれていく。
スローライフと同じ世界ですが、国と時代が変わります。
俺と幼女とエクスカリバー
鏡紫郎
ファンタジー
憧れた世界で人をやめ、彼女と出会い、そして俺は初めてあたりまえの恋におちた。
見知らぬ少女を助け死んだ俺こと明石徹(アカシトオル)は、中二病をこじらせ意気揚々と異世界転生を果たしたものの、目覚めるとなんと一本の「剣」になっていた。
最初の持ち主に使いものにならないという理由であっさりと捨てられ、途方に暮れる俺の目の前に現れたのは……なんと幼女!?
しかもこの幼女俺を復讐のために使うとか言ってるし、でもでも意思疎通ができるのは彼女だけで……一体この先どうなっちゃうの!?
剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる