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第四十一章 ハレム騒動
07 寵妃候補生
しおりを挟むとくにアンリエッタさんは、紫の石のチョーカーをとても喜んでいました。
結局、ニコル、フローラにも紫の石。
青い石はクリスティーナ、マーシャ、ソフィー、シモーヌ、シャルロッテ、クララ、コルネリア、フレデリカ、フランソワーズ。
赤い石はジャクリーヌ、カトリーヌ、エロイーズ、バルバラ、ドミニクとなります。
「夜の順番ですが、基本的には日は決めません。」
「お嬢様はお忙しい、この間の動乱でわかるでしょう? しかし順番は決めます。」
「これについては私、つまりサリーと首席女官長のアンリエッタとで相談して決めますが、紫の方はかなり間があくと御理解ください、ここまでは良いですか?」
皆さん、頷いています、サリーさん貫禄です。
ここで終わらないのが怖い所です。
サリーさんの、愛人問題一挙解決の、並々ならぬ意気込みを感じます。
「ここからが今回、集まってもらったことの本題です。」
「先ほどダフネさんがおっしゃった、『寵妃見習い』について、私も同じように考えていました。」
「皆さまも御承知の通り、お嬢様のご寵愛を望むものは、数多くいます。」
「お嬢様に仕える女官たちは、ほぼ全員そのように、望んでいると考えて良いでしょう。」
「しかし、全ての者をお嬢様が愛されては、お体が持ちません。」
「一度、魔法で女官全員が官能を共有するという案がありましたが、それではあまりに悲しいとの、お嬢様の御意見で沙汰やみになっています。」
「しかし女官たちの願望も、そのままにしておくことは出来ません。」
「不満が臨界点に達するのも、時間の問題でしょう。」
「そこで、この場において、だれもがこの方はしかたない。」
「そのように思える、寵妃候補生というべき方を挙げてもらい、将来、お嬢様のご寵愛を得るべき地位につかせて、今回の様な無用な騒動は避けようと考えました。」
「これなら寵妃への道が示されることになり、女官たちの不満も解消されるでしょう。」
「お嬢様におかれましては、私たちのこの思いを受けとめていただき、今回のような騒動はできるだけ避けていただきます。」
「もしどうしても、今回のモルダウ王国夫人の様なことが発生した場合、今回のような会議を開きます。」
「次のご寵愛の相手は、私たちで管理させていただきます、良いでしょうか。」
私は頷くしかありません。
「では皆、挙げてみてください。私はこの方は、ご寵愛を受けていただかねばと考えます。ロマリア大公国アン大公女。」
ビクトリアさんが、
「麗しの女騎士団エレン団長、今回の武勲はそれに値する。」
「では私は奉仕の魔女団隊長アグネスを推薦する。」
とダフネさんがいいます。
「私見ですが、イリーナ、エリーナ姉妹はイシュタル様に御奉仕をするために、日夜努力しています。」
とアナスタシアさん。
ミレーヌさんが、
「私はドリス王女を押したい、コナでの事務処理は今回の戦いの勝利に貢献した。」
ジジさんが、
「オルガさんを推薦します。地味ですが、巫女様を思う心は、だれもが知っているでしょう。」
小雪さんが、
「武勲というなら、ギルベルト義勇艦隊司令官も名をあげなければ。」
マリーさんがおずおず云いました、
「出来ましたらビアンカさんをお願いします。」
アリスさんが、
「ビアンカさんってだれ?」と聞きます、そうだれもこの方を知りません。
「ミハエルさんの孫娘さんです。」
私は納得しました、愛人さんたちも皆、頷きました。
夫人さんたちは、遠慮しています。
「合計九名ですか、案外少ないですね。」
「いま名前が挙がった方は、私の意見としては妥当な方たちです、だれも当然とするでしょうね。」
「とにかく、この方たちを、今回の候補生としますか?」
皆さん、賛成のようです。
「『寵妃候補生選定会議』はこれで終わりとしましょう、アンリエッタ首席女官長は、この結果を御本人に通知してください。次回は二年後とします。」
サリーさんの議事進行の見事なこと……
でも『寵妃候補生選定会議』って、いつの間に……私に言わせれば『百合の会議』じゃないですか……
この決定は、すぐに女官さんたちに広がりました。
とくにシビルの女官さんの、仲良し三人組は小躍りしています。
「オルガ、聞いた、私たち選ばれたのよ、これで巫女様に愛していただけるのよ!」
とアグネス隊長が嬉しそうに言いました。
「アグネス、エレンも、喜ぶのはまだ早いわ、私たちの目的は少なくとも麗人にはなるのよ。」
「まだ夫人で止まる可能性もあるのよ、それに候補生よ。」
「一年後にチョーカーを戴けるそうだけれど、その後、銀のチョーカーに変えてもらわなくてはね。」
「そうね、オルガは欲張りだけど、本当にそうね。」
三人は含み笑いをしています。
目指せ麗人、あわよくば愛人の座……、うふふ、あはは……
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