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第七章 宇賀真琴の物語 年を越し新たに年を迎える
世界は何事もなく色事で動く
しおりを挟む「直轄惑星ですか……確かにそうね、でも……」
ここで宇賀真琴は、くすくす笑い出しました。
「どうなされました?」
「いえね、美子様ってスケベで有名ですが、サリー様のお尻に敷かれているでしょう」
「蓬莱のハレムは、サリー様の胸の内ではご許可いただいていますが、『百合の会議』がね、お可哀そうですね」
「まぁ自業自得ですかね、せっかくいいことをなされるのに、最後に自分で評判を落とされます、でも不思議ですね」
「美子様はね、恥ずかしいのですよ、だからですよ」
「へそ曲がりは有名でしょう、女たちは皆きずいている」
「美子様だけが、しらないのでしょうね、子供のようなところがありますね」
「いわれればそうですね、では『百合の会議』とは……」
「私たちのストレス発散の場、女が増えるので、儀式が必要なのですよ」
「よく出来ています、サリー様の恐ろしい事」
再びくすくすと笑った宇賀真琴、
「貴女の云う通り、とにかく美子様にすがりつけばいいのでしょうね」
「蓬莱はすがりつくのは、得意かもしれません、稲田真白、報告を聞きましょう」
「執政官府は、女神アウロラ奉仕協会の名称で、ユーラシア大陸のムスタンに本部を構え、治外法権地域として、女神様への世界の窓口と、年明けに発表されます」
「大司教区に、連絡官事務所がおかれます」
「東京聖女女学校は、編入生を受け入れましたので、最上級生が卒業となります」
「相当にスパルタで鍛えましたが、やはり教育期間が足りません」
「そこで卒業生をムスタンに送り、後半年ほど女官の心得などを、徹底的に鍛えなくてはと考えます、任官はその後といたします」
「各地の大司教区雑仕(ざっし)養成校も、この三月に予定通り、卒業生を送り出せます」
「こちらは正式に雑仕女(ぞうしめ)として、女神アウロラ奉仕協会の、連絡官事務所現地職員となっていただきます、当面はこれで良いかと考えます」
「他の聖女女学校などはどうなっています?」
「フランスのDRM――軍事偵察局――が中心に成立したガリア大司教区に、来年にはパリ聖女女学校が設立されます」
「パン・アメリカン、ブリタニアはまだ大司教区政府が不安定ですが、雑仕(ざっし)養成校は設立されています」
「アメリカのNSA――国家安全保障局――とイギリスのGCHQ――政府通信本部――は苦労しているようですね」
宇賀さんが、
「まぁいいでしょう、女神様にすがらなかった地域はおのずと衰退していくことでしょう、大体警告はしましたからね」
「大体、美子様が呼ばれた時、ナムチェトレッキングホテルに来なかったものが悪いのです」
稲田さんの報告は続きます。
「スウェーデン国防電波局――FRA――と、台湾の電展室が、後出しでかけ込んできましたが、フランスのDRMと内調の、それぞれの一つの部局として、彼らのかなりの部分は守られています」
「イギリスのGCHQの管理下にあるアフリカは、酷いことになっています」
「テラの三級四級ほど酷いことにはなっていませんが、後から来た二つの地域をいれて、六つの地域以外は預かり知らないというのが、女神アウロラ奉仕協会の見解です」
「すがりつかなかったものは知らない、あの地域は文明が崩壊しているようです」
「女神アウロラ奉仕協会は、一切の支援もしません、美子様はどこでも対処は変わらないようです」
「ぶれないですね、良く考えると怖いです……」
宇賀さんが、
「先ほど一つ引っかかると言いましたが、今の貴女の言葉で吹っ切れた気がします」
「この蓬莱世界、美子様にとって『世界は何事もなく、縁が発生しただけ、美子様にとっても神様はおられるとか、その神様の意向が縁となって具現した』、そういう事なのでしょうね」
「宇賀様、私たちは美子様にお仕えすればいいだけです、美子様に愛され、官能に浸ればいいだけです」
「私は美子様に褒められれば、それが嬉しいのです」
「……真白、変わったわね……」
「宇賀様もでしょう、美子様を見る目は、マチたちと変わりませんよ」
そのように云われて、宇賀真琴は美子を思い浮かべました。
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