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第五章 佐田町子の物語 夏休み

赤裸々告白タイム

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 六人は部屋に戻り、
「苦しいわ、こんなおなかになって、恥ずかしいわ!」
「温泉に浸かれば、おトイレに行きたくなるでしょう、腹ごなしに、早くいきましょうよ」
 
 六人は浴衣に着替え、バスタオル及びタオル、シャワーキャップなどを持って屋上へと、
「確か一番奥と聞いているわ、これね、鍵はこれっと、開いた」

 屋上に作られた露天風呂は、小さい屋根のある脱衣室があり、小さいトイレもついています。
 海に向かって面しており、目隠し壁もちゃんとついていて、立ち上がると、首ぐらいは目隠し壁の上に出ますので、瀬戸内の海の夜景が見えました。

 島々の山道らしきところには、ところどころ街燈らしきものが輝き、明らかに港や集落とおぼしき場所には、カラフルな光が鮮やかに輝いています。
 行きかうフェリーや漁船の明かりも、彩りに一役かっているようです。

 見上げれば満天の星が輝き、細い月が、かすかに海を照らしています。
 蓬莱の夜空はテラとは違いますが、それなりに星座名は似たようなものです。
 
 マチちゃんがお京ちゃんと手をつないで、目隠し壁から夜の海を覗いています
 皆、目で二人を追ってはいますが、知らん顔ですね。

「お京ちゃん、私は美子様の女官になったのだけど、お京ちゃんも同じになるのね」
「ニライカナイに呼ばれたのよね、ニライカナイって、この蓬莱がある宇宙とは、別の宇宙にあるのよ」

「宮沢賢治の銀河鉄道は、宇宙の中の話、でも今度乗る宇宙鉄道は、幾つも宇宙を渡るのよ」
「美子様のお側に侍り、側女になり、そして夫人になれば、星の世界を任されるそうなの」
「その世界にとっては、女神様のような存在になるの」
「お京ちゃんはいい女神になれるわ、だってとても優しいもの」

「それでも困ったら、必ず私に相談してね、今度こそはお京ちゃんを助けると誓うわ」
「私もよ、マチちゃんが困ったら、必ず相談してね、約束よ」

 ミチちゃんが、
「二人とも、お尻を丸出しにして、そんなことを云っても、絵にならないわよ」
「そうよ、みんなお友達、お尻を見せ合った仲でしょう」
「困ったときは皆で相談するの、皆で力を合わせればいいのよ」
 クリームヒルトが断言しました。

「私たち六人は一心同体よ!」
 シズちゃんが言えば、乙女ちゃんも、
「私だって皆さんのためなら何でもするわよ、お尻だって見せてあげるわ!」
 これで一気に和んだのです。

 このあと部屋で、赤裸々な告白タイムとなり、皆さん、昔をすべて語ったようです。
 六人の絆は固く結ばれたようで、何かと集まって仲良くしています。

 翌日から、六人は夏を満喫、食べて寝て、泳ぎ疲れて温泉に、なかなかのお休みだったようです。

 ただ後遺症がでましたね。
 真っ黒に焼けた肌に、ビキニの後がくっきりと、そして皮膚はヒリヒリと痛み、ニライカナイで美子さんに、かなり笑われたのです。

 宇賀さんと山野五十鈴さん、浮田貴子さんにはかなり怒られたようですね。
 その上、明子ちゃんとヴァランちゃんに、こうも云われたようです。
「嫌ね、いい歳なのに、女子力がかけらもないなんて!」とね。

 FIN

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