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第五章 佐田町子の物語 夏休み
『抓られました』が許可を得ました
しおりを挟むその頃、宇賀さんは美子さんと、通信を交わしていました。
「皆どうしていますか?」
「プールの掃除のアルバイトをしています」
「クリームヒルトをよく支えていただいて、感謝しています、宇賀さんもお気づきでしょうが、クリームヒルトは逸材です」
「大事に育てれば、宇宙の一つや二つ任せられると思っています」
「オフィス部門には優秀な人材が育ちつつありますが、有機体アンドロイドからなるミリタリー以外で、宇宙を任せられる人材はまだいない」
「今のところ、唯一クリームヒルトにその可能性があると思っています」
「無条件で人を従える力があるのです、それは皆が認めています」
「だから空狐でもある貴女に、クリームヒルトを任せたのです」
「貴女は宇賀一族を従え、弱小ながら蓬莱を守ってきた経験があります」
「三人の娘たちをみていれば、貴女がどれほど人格的に素晴らしいのかも分かります」
「これからも、クリームヒルトの指導をお願い致します」
美子さんは言葉を続けます。
「蓬莱のハレム設立の準備の件、サリーさんから『抓られました』が許可を得ました、ちょっと痣が残りそうですけどね」
「宇賀さんの読みどおりですよ、すぐではありませんが、ハレムが許可された以上、蓬莱は見捨てることは出来なくなります」
「下準備は認められました、ご苦労しましたね」
宇賀さん、一瞬震えがきました。
長くこの言葉を待ち望んでいたのです。
美子さんはじっと宇賀さんを見ていたようです。
「ヴィーナス・ネットワーク審議会の、拡大会議が開かれるのは来年の五月の予定です」
「蓬莱の現地政府代表も来て下さい、と、内調さんあたりに伝えておいてね」
「それからね、サリーさんが認めた以上、釆女の皆さんをニライカナイに招待できます」
「今度の夏のお盆なら、仕事も休めるでしょう、一応格子にします」
「栄養ドリンク飲んで待っているから、蓬莱にいる釆女以上は一度きなさいな」
「それから稲田さんが一押ししている二人、そちらの日時で八月一日に、セイレンステーションに用事がありますので、そこのノルディック・スペースDでなら会ってもいいわよ」
「ナーキッド・オーナーの特別室を用意しておくけど、稲田さんが引率してきてね」
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