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第二章 森彰子の物語 蓬莱転機

女神に仕えたい!

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「さて、皆さまのこれからですが……なにかご希望はありますか?」
「出来ますれば、女神さまにお仕えしたい……どのような形でもいいのです」
「噂は聞いています、一度は堕ちるところまで堕ちた私たち、恥ずかしいことなど、今さらなにもありません」

「ねえ、よく聞いてね、私もね、似たようなものだったの、もうどうでもいいと思ったとき、女神様に出会ったの」
「最初は嫌そうなお顔をされたわ、でもね、女神様は受け入れてくださった」

「女神様はね、出来れば皆さんには、失くした日々を取り戻し、幸せにこの先を送ってほしいと思われているはず、妹様も同じ考えと私は思うわ、それでも望むの?」

「森さま、私たちは女神様のお役にたちたいと思っています」
「それが私たちの幸せと思い定めています、これは皆で話し合った結果です」
 
 こんな話をしている時、森さんの携帯に、着信が有りました。
「森さん、聞いてあげなさい、現地職員として採用すればいいでしょう、クリームヒルトには言っておきます」
 美子さんからの、直々の電話でした。

 電話を切り、しばらく考えていた森さん、今度はクリームヒルトに電話しました。
「森さん、美子姉様から電話がありました、執政官府現地職員制度を設定します」

 クリームヒルトはそれこそ神速で、執政官府現地職員制度を整備したのです。
 といっても、いまこの場で制度をつくっただけで、実際は宇賀真琴さんが実行したようです。

 この制度は、蓬莱阿礼少女(ほうらいあれおとめ)と呼ばれることになりました。

 つまりはエラムの女官補制度を、実情に合わせて三つに分けたもので、雑仕女(ぞうしめ)、中雑仕女(なかのぞうしめ)、上雑仕女(うえのぞうしめ)と呼ばれます。
 後々この制度は、執政官府や管理官府の、現地採用一般職としての、女婢制度に受け継がれていきます。

「分かりました、では雑仕女(ぞうしめ)ということで良いでしょうか?」
「そうしてあげてください、それから現地職員養成のための、一年の各種学校を設立しますので、入れてあげてください」

「給料は支給されますので、経済的な負担は無いはず、その代わり一年後には、必ず就職していただきます」
「安月給ということを、良く説明してあげてね」

 女達は、クリームヒルトの配慮で雑仕女(ぞうしめ)と中雑仕女(なかのぞうしめ)に任官。
 提供された准看護婦養成校を利用して、六月に開学するアジア大司教区雑仕(ざっし)養成校に、入学することになりました。

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