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第六十七章 平和な日々の始まり

06 女官長さんとキャンプファイヤー

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「巫女様、こうですか?」
 まずテント設営に大騒動です。
 女官長さんたち、娘時代に帰ったようにです、キャアキャアと騒々しいこと。

 しかし、どうも確信犯なのでは、これ幸いと、触られる、くっつかれる、大変です。
 その合間に私のテントを張りました、忙しいことです。
 女官長さんたち、なんか楽しそうです。

 ひと段落したので、電池でファンを回す電動ウッドストーブに、ペレットを投げ込み、スターターで火をつけ、火熾しも簡単です。

 私の前にそれを五個並べます、クッカーを乗せ、得意の缶詰料理を始めました。
 玉ねぎのみじん切りの冷凍野菜、サバの水煮、トマトの水煮、カレールーを放り込んで、煮るだけで、ブイヤベースの出来上がり、ミックスベジタブルも放り込みましょう。

 まぁ一人に1/3人前なので好評なら二回戦をしますか。
 ニンニク味の缶詰のパンを、切り分けて添えます、このパンならブイヤベースと合うでしょうから。

 最初の一口は、皆さん恐る恐る口にしましたが、口々においしいといってくれます。
 物足りないとの鋭い視線がいたいです。

「おかわりのいる人はだれ?」
 全員、お皿を差し出します、で二回戦です。
 お手軽ブイヤベースを作りながら、次を考えています。

 後ろの方で、
「これって温まりますね、私、初めて巫女様の手料理を頂きました。」
「おいしいおいしいと、評判を聞きましたがその通りと思いました。」
「これ、私でもできるのでしょうか?」
 と、アリアドーネさんの声がきこえました。

 私はミックスベジタブルを湯煎で解凍し、切り刻んだハムの缶詰がありましたので、この二つを瓶詰めマヨネーズであえて、これは人数分作りました。

 大体エラムの人は、お子様の味覚が主流です。
 お子様はマヨネーズは好きですからね、ブイヤベースもカレー味が好評の決め手です。

 これも好評です、なんかやる気がでてきます。
 次はメインディシュです。

 しかしステーキは、どうしても持ってこれませんので、スパムをチョイスします、ポテトチップでも添えますか。
 おいしそうな匂いが漂ってきます。

「はい、皆さん、できましたよ。」
「パンの無い方はこれを食べてね。」
 乾パンを、お皿に山盛りにして出しておきました。
 皆さん、女性というのに良く食べます、とくに姉さん。

「姉さんは、別においしくないでしょう?」
「いえ、久しぶりのヒロトさんの手料理、おいしいわ。」

「特にブイヤベースは絶品ね、あれは缶詰料理の範疇を超えているわ。」
 またまた女官長さんたち、耳がダンボのようになっています。

「姉さん、なにか希望がありますか?」
「オムライス!」
 また難しい物をいいます。

 キャンプにオムライスは無茶でしょうに……
「薫さん、液卵は通販カタログにありますか?」
 と聞きますと、粉末卵ならあるとのことでした。

「粉末卵ね……」
 私は粉末卵を出し、三倍の水で液卵を作ります。

 塩味の鶏肉を煮た缶詰がありましたので、これと先程の玉ねぎのみじん切りの冷凍野菜、バターはトラピスト修道院の缶詰のバター、これだけあれば、冷凍チキンライスも、おいしいオムライスに変わるでしょう。
 あとはデミグラソースの缶詰だけです。

 これはちょっと、会心の出来栄えではありませんか?
 おいしそうですね。

 苦心惨憺してオムライスを作り上げ、これを15人分作るのは大変でした。
 五人ずつ三回に分けてつくります。
 しかもお代りをする、某女神様などがいる物ですから……

 結局、これは20人前はつくりましたね。
 私は一番最後にかきこみましたが、本当においしい、これは作り方が分かりましたので、時々作りましょう。
 アリスさんがいたら、一体どれぐらいたべますかね。

「皆さん、まだ空腹の方はいますか?」
 皆さんのお腹は妊婦さんのようですから、さすがに「苦しいです」との回答です。

 そりゃあそうでしょう、すごい勢いで、私のチケットが減っていきますから、また赤字になるのでしょうか?
 これは薫さんに必要経費で、何らかの考慮をお願いしなくては……

 薫さんが耳元で、
「マスター、まだまだ大丈夫ですよ、たまりにたまっていますからね、かなりチケットもちですよ、どんどん奢ってください。」
「悪辣ですよ、このシャイロックさん。」

 デザートは簡単にしました。
 カスタード、マンゴー、チョコレートのプリン三種、某有名製菓店のもので、これは高いですね。
 千円ですから、ここで食べれば二千円、全員で三万円です。

 本当に大丈夫でしょうね、薫さんをちらっと見ると頷いています。
 やれやれ……
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