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第六十五章 情事日程その二
04 エラムは迷信深い世界
しおりを挟む「よい覚悟、気に入りましたよ、お二人とも私の奴隷にします。」
「した以上は私のもの、死を命ずるのも私、勝手な行動は許しません。」
「とにかく私に、すべてを捧げなさい、悪いようにはいたしません。」
「フローラさん、だれか女官を呼んで、二人をお風呂にいれてあげなさい。」
「それから食事も用意してあげなさい、見たところ、いつでも死ねるように、食事を控えてるようです。」
そう、この二人は死んだ後の粗相を起こさぬように、ほとんど食べていないように思えます。
「二人とも主の命令ですよ、あきらめて、私のために生きるのですよ。」
「死んだ侯爵も、妻と娘が私の愛人になることに、異議はないでしょう。」
「貴女たちの名誉は損なわれないでしょう?」
女官さんがやってきたので、
「その二人は、これから私の寵愛を受ける身です、よろしくお願いします。」
その女官さんは、「心得ました」といって、二人を連れて行きました。
「フローラさん、奉仕の魔女団の当番は、ここにもいますね、呼んでください。」
当番の女官さんが、やってきましたので、
「ここへアンリエッタ首席女官長とアナスタシアさん、それにクリスティーナさんとマーシャさんを呼んできてくれませんか、多少急ぎますので。」
しばらくして、四人がやってきました。
「皆さんにご足労を願ったのは、キャンディス侯爵夫人を、だれか知っているかということです。」
「知っておりますが、あまり親しくはありません。」
と、アンリエッタさんが云います。
「私もお名前は存じておりますが、親しくはありません。」
と、アナスタシアさんもいいます。
そういえばこの二人は、アムリア宮廷では邪魔者でしたね。
「私は知っております、亡き大公と侯爵は親しい間柄、私も親しくお話をさせていただきました。」
「マーシャ、三人でよくお話しましたね。」
「フローラさん、皆に今回の話しを説明してあげてください。」
「そして噂を払しょくしてくれませんか?」
「どうも心底、私は恐ろしい女になっているようで、説明しても逆効果のようですので。」
「それはそうですね。」
と、アナスタシアさんが笑いました。
「私がイシュタル様に購入された時、決死の覚悟というより、死にかけていましたから必死ですか、その覚悟でお会いしましたもの、キャンディスさんのお覚悟もよくわかりますわ。」
「そうなのですか?」
「そうですわ、私はイシュタル様に、この身をおもちゃにされ、散々いたぶられた後、首を絞めて殺される、そのように思いつめて嫁ぎましたから。」
嫁ぐと云うのはどうかとは思いますが……
「私たちは、もうボロボロの身体で狂っていましたから、そんなことを考えることもできなくて、はやくこの地獄を抜け出たいと、考えるばかりでした。」
と、マーシャさんが云います。
「この噂も、無くならないが不思議ですね。」
「ヴィーナス様、エラムは迷信深い世界、一度広がった噂は、別の噂でしか打ち消せない、と云ったのはヴィーナス様ですよ。」
と、アンリエッタさんが云いました。
「私は正直にいいますと、キャンディス侯爵には良い印象がありません。」
「私たちが、アムリアで襲撃された時の、黒幕だったのですから、でも、もう過去のことですね。」
「おかげで私たちは、ヴィーナス様と出会うことが出来たと思えば、恨みも消えます。分かりました、私も説得いたしましょう。」
「アンリエッタさんが云うなら、私も尽力しましょう、私も色々いびられた思いがありますが、それは侯爵本人のこと、妻や子供に仕返しすることも、大人げないことです。」
アナスタシアさんの言葉です。
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