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第六十章 新しきテラ
誰の言葉?
しおりを挟むついにテラの三級市民地域で、女性婚多妻制と二母性生殖が法律的に認められ、実行されることになりました。
しかも我妹子(わぎもこ)婚姻制度も導入されています。
劉総統は引退し、中華共同体は新しい指導者を迎えました。
今のテラでは、土壌などの環境汚染は、ナノマシンで綺麗にしています。
農作物の不安は最早ありません。
この地域は、自然農法で農業を始めています。
ある程度の電力などは、ナーキッドが供給することになりました。
この三級市民地域を穀倉地帯にすれば……
農奴制……この言葉が響きます。
確かにそこへ行き着きそうですが、土地に縛られるだけ、緩やかな農奴制……
女たちだけでも生きていけるような……
医療だけは充実させて……
あとはその地域の施政者に任せましょう。
たとえ農奴制といえど、お腹が満ちれば世界は落ち着くのです。
まして戦争はありえませんから……
少なくとも利己特性の脅威は、極めて薄いのですから、なんせ最低限の生存は保証されるでしょうから……
各地域の施政者には、その努力を強要しています。
ナーキッドのいわば独裁体制……しかも反乱する者はほとんどいないでしょうね……
ただし、ナーキッドに敵対する地域は知りませんよ……淘汰されていくでしょうね……
「姉さん、考えどおりにはいきませんね……このような世界になるとは、想像していませんでしよ」
「そうね……しかしなんとか軟着陸したのでは?」
「誰かのシナリオがありましたが、多分、シナリオ通りに踊ったのでしょうね」
「多分ね」
「しかし、また女が増えました……何処まで女ができるのか……」
「アナーヒターの欲望の成果ではないの?」
「そうともいいますが、どうなるのでしょうね……近頃はそんなに思わないのに、女を抱く羽目になる……」
「いつも云っているわね……」
「全くね……」
ここまでは、私の言葉でしゃべりましたが……
時が止まったように感じました。
「私に仕える女は、それなりの理由があるのです」
私は自分でも驚きました、なぜこんな言葉が口をつくのか?
しゃべっているのは私?なのか……
どうやら深層心理というか、トランス状態というか、それが物を言っているようです。
「理由は?」と、姉が聞きます。
その回答は、私が知りたいこと、そう、何でも誰でもいいから、納得の行く回答を、聞きたいものではあります。
「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか?何かがあるのだから、何もないはずがない……」
「私は33を背負っている女、宇宙を守り育て奉仕する女、世界をそして宇宙を支え、譲り受け譲り渡す女」
「高等生命体としては、雌(めす)だけが残るのは、進化の行きつく姿」
「アスラは去り、守るものはなく、引き継ぐものはなく、故に三千世界は33を待ち望む」
「女として、女を抱き、女を支配し、女として仕えさせるのは、私の分身を作るため……」
「三十三観世音菩薩は全て私で、同心同身そして同寝……」
「宇宙は無数、世界はさらに無数、仕える女は無数に必要」
「アナーヒター!」
姉が一喝してくれました。
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