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第五十七章 ささやかな夏休みの旅行

お旅行はアールヴヘイムン?

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「お嬢様、お目覚めですか?」
 聞き覚えの声が聞こえます、マルスのスペース・ラグーンの私の部屋ですよね……

「ニャー」……
 黒猫が私のベッドの足元にいます。
「スピンクスも心配していますよ」
 サリーさんの心地良い声……猫は余計ですが。

 起きてびっくりしました、あの雑然として、それなりにあるべき場所に物が収まり、私としては居心地がいい部屋、手を伸ばせば、何でも取れる私の部屋が……

 ピカピカになって、凄く綺麗ではないの……

「お嬢様、失礼ながらお部屋を掃除させて頂きましたよ、それにしても、散らかり方がわんぱく坊主の世界ですね」
 サリーさんに笑われましたが、「とても疲れていて……」と抗弁すると、
「とても疲れていたから、お漏らししたパンツを転がして寝ていたのですか?」
「……」
 全身が真っ赤になるのがわかります。

「まずは身体を拭きましょうね」
「温泉にいきますから……」
「臭いますから、そのままでは人前には如何かと……まずは人前に出られるように、身体を拭きましょうね」
 サリーさんに押し倒されて服を剥ぎ取られて……
「さぁ、拭きますよ」
「えっ、この格好で……」
 私は羽交い締めにされて、拭かれてしまいました。

「お嬢様、これで綺麗になりましたよ」
「もう……」

 後は流れに流されて……時間を過ごしましたね。
 汗を流した後の、お風呂の気持ち良いこと……

「どうしてサリーさんが……今回の夏休みは夜の順番は免除されていたはず……」
「マレーネさんが、お嬢様がストレスをためておられるので、私に何とかしろと要請がありましたので」
 マレーネさんがですか……確かに愚痴りましたが……

「そこで私、考えました、聞くところによれば後七日、いやもう一日は終わりかけていますので、六日ですか、その間知らない土地に旅行へいきましょう」
「一応視察ということですが、お嬢様、如何ですか、私と一緒に旅行などは」

 そんな美味しい話、誰が逃すものですか!
「いくいく、行きます、行かせて頂きます!」

 で、何処へ行くの?
「そんなにキラキラした目で見ないで下さい、アールヴヘイムンはどうですか?」
「どこでもいいですよ、マルスの北欧地区の首都ですね、アールヴヘイムン、いいではないですか!すぐにいきませんか?」
「違いますよ、惑星アールヴヘイムンです」

 !

「いいの?」
「マレーネさんが、惑星アールヴヘイムンでは魔力が使えるので、視察がてら、よろしいかと勧めてくれました」
 ナノマシンが充満していますからね……でも、何でもいいですよ、サリーさんと二人なら……
 あまりに嬉しかったので、裸を忘れてバンザイを……

「やはり、ストレス溜まっているのですね……では段取りをしてきますので、温泉に入って、ご飯でも食べていて下さい」
「今はここの時間で午後四時ですが、二時間で段取りしますので、夕食はローマダチア宇宙鉄道の列車の中になりますから」

「一応お忍びということで……」
「理解しています、エラムの時のようにフラフラとアールヴヘイムンを歩きましょう、でも何人かはついてくるようですが」
 ……やはり……

 一時間半で私はお風呂に入り、ご飯をかき込んで、賢くサリーさんを待っていました。
 待ちの姿勢のポチがここにいます。
 二時間半後には、フォボスステーションに私たちはいました。

 ここから惑星ヴィーンゴールヴのステーションE、通称ルシファーステーションを経由して、ローマダチア宇宙鉄道の終点、ステーションDまで二時間ですか、三十分の待ち時間の後、そこからエリダヌス座方面のアールヴヘイムン線で約二時間……テラ時間で夜の十一時につくことになります。

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