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第五十五章 黄泉比良坂(よもつひらさか)
壊滅
しおりを挟む私は肩で息をしています。
「大雷(おほいかづち)と言ったな、チャンスだぞ」
相手は当然、かかってくると思いましたが、慎重に剣を構えました。
「その手には乗らない、早く決着をつけようとしているが、こうなっては最早、戦うことに意味はない
「しかし黄泉醜女(よもつしこめ)の長として私は戦う、でなければ、先に逝った者たちに会わせる顔がない」
この者は簡単に倒せそうもないとわかりました、特に今の私は……
「では心ゆくまで戦うが良い、このルシファーに見事勝ってみよ」
私は再びバスタードソードを持っています。
大雷(おほいかづち)の剣技は見事なものです、ゲルマンスタイルの剣術です。
彼女は剣をオクスの構えを取りました。
左足を前に、剣を頬の横に構え、切っ先を私に向けます。
私はフォム・ダッハという構え、左足を前に自然体に構えます。
これが一番疲れない構え、今の私にはこの構えしかありません。
大雷(おほいかづち)はツベルヒハウという、フォム・ダッハからの切り下げへの返し技を狙っているのでしょう。
対する私はクルンプハウという、オクスの突きへの返し技を狙っています。
私は左側から切り下げました。
待っていましたとばかり、ツベルヒハウで切り上げてきます。
手首を返して私の剣をバウンド、つまり打ち合おうとします。
このまま行くと、左腕を高くあげられ、大雷(おほいかづち)の剣の切っ先が、私の首を落とそうとするはずです。
ここで私はバインドをしません。
互いの今の構えはドイツ剣術……当然、剣をあわせてくると思っているようですが……
切り上がってくる大雷(おほいかづち)の剣は、そのままの勢いで切り上がっていきます。
一瞬のタイムラグを待っていた私は、ここで剣を捨てて、大雷(おほいかづち)の腕を掴み、ねじりながら腰を落として背負い投げをかませます。
そして間髪を入れず首を折りました。
最後の一人が動きを止めました。
道反の大神(ちがえしのおおかみ)の手前で、イザナミの親衛隊、黄泉醜女(よもつしこめ)は壊滅したのです。
私は立っているのもしんどい状態です。
「小雪さん、すこし休ませて下さい、チョット警備をお願いします」
私は座り込んで、そのまま寝てしまいました、戦場の敵の残骸の中で……
なにか非常に気持ちのいい枕で、寝ている夢を見たような……
「あぁ、よく寝た……」
私、小雪さんの膝枕で寝ていたの?
「マスター、よく寝ていましたね、もう少しお休みになられたら?」
「そうですね、甘えましょうか」
もう動けないほど疲れていましたので……でも小雪さん、膝枕で寝ていたら、胸を押し付けてくるんですもの……
思わず胸を掴んで、プルンと剥いて……かぶりついてしまいました。
でもう一つの胸がプルンと現れます、深雪さんが、
「小雪お姉様ばかりずるい!」
4つの乳房に窒息しそうになりました、でもとても癒されましたが……
だって……綺麗な乳首を吸うと、心地良い甘い声が耳に聞こえるのですもの……
道反の大神(ちがえしのおおかみ)の広場で、二人の色っぽい声が響いていました。
念のために言いますが、吸っただけですよ。
こんなところでは、さすがに体裁がありますから。
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