上 下
82 / 125
第五十四章 伊賦夜坂(いぶやざか)での戦い

戦闘侍女を侍らせて

しおりを挟む

 そのころ……
「凄い所ですね……この通路、狭いし、暗いし、暑いし、臭いし……」
「マレーネさんのいうところによると、伊賦夜坂(いぶやざか)というそうですよ」
 と、小雪さんがレクチャーしてくれました。

「そうそう、私が聞いた所では、この通路の途中に道反の大神(ちがえしのおおかみ)と呼ばれるゲートがあり、そこまでを伊賦夜坂(いぶやざか)と呼ぶらしいですよ、そこまではまだましとか……」
 深雪さんが続きます。

「この臭い、まだ酷くなるの?」
「だそうですよ、しかも道のりは相当長いようです」
「これ、硫黄の臭いですね、たまらないわ……」
「マスター、深雪、少々うるさいですよ、戦場ですよ、ここは」
「分かっていますよ」

 ペチャクチャと私と深雪さんはおしゃべりしながら歩いています。
 それにしてもこの100気圧はしんどいですね、しかも室温70度……

「小雪さんも深雪さんもタフですね……特に深雪さん、珍しい剣を抱えていますね?」
「こんな剣を使うことがあるかも知れないと思って……」
「こんな場所ですよ、そんな物抱えて、しんどくは無いですか?」

「あら、私たち、これを身につけていますから」
 よく見ると、二人のチョーカーには独鈷杵(ドクコショ)の他に、小さなバッジが付いています。
 よく見ると八つ丁字紋ですね。

「その八つ丁字紋のバッチ、何?」
「局所空調装置です、ものすごく快適ですよ、まあまあの消臭装置も付いているそうです」
「チョット待ちなさい!何でそんな良い物持っているの!」

「マレーネさんがくれました、マスターには不要と云っていましたが?」
「確かに生存はできますが、この匂いはなかなかのもの、まあまあの消臭装置を何故、私にくれないの!」

 うぅ……マレーネ……覚えてらっしゃい……脂足女のブーツを投げつけてやる……見てらっしゃい、この臭いの恨みを、足臭爆弾テロで返してあげるわ!!
「マスター、良からぬことを考えていませんか?」
 ……

「おや、沈黙ですか……」
 まったく小雪さんと違い、深雪さんはよく喋る事……
「もう……後で覚えてらっしゃい、深雪もマレーネと一緒に、脂足女のブーツという、足臭爆弾で攻撃してあげます」

「いゃー、なんておぞましい!でも誰のブーツ?脂足って人族のものでしょ、実はマスターが脂足なのでは?」
「そんな!失礼な、というより無礼でしょう!貴女とは、ときどき寝ているでしょう!ベッドで私から臭いがしましたか!」

 ここで小雪さんが、
「たしかにマスターからは良い匂いがしましたね、とくにあそこから……」
「えぇ……マスターあの時も、良い匂いがするのですか!」

「そうよ、深雪知らなかった?昔ね、マスターを皆で襲ったの!するとね……マスター、ものすごく感じたようで、全身から良い匂いがしたのよ、エラムの愛人たちに聞いみたらいいわ」

「……うらやましい……」

「なにを云っているのですか!小雪さんまで!」
 とりあえず局所空調装置は、コピーさせて頂きました。

 その時、通路が薄明るくなりました、通路の向こうに誰かがいます……
「さて馬鹿話もここまで、お迎えが来ましたよ」

 三人います、その後ろの通路には、その配下の野良アンドロイドたちが、通路を埋めるほどいます。

「ルシファー様ですね、我はソロモン72柱が一人、盗賊の伯爵アンドロマリ、こちらは異相の公爵ダンタリオンと願いの貴公子セエレ」
「そちらが準備出来ましたら、お手向かいさせていただきましょう」

「これはご丁寧に、アンドロマリとやら、こちらは私の侍女でお友達の小雪と深雪の姉妹、今更とやかく言いません、準備はいつでもできています」
 私は小太刀を引きぬきました、狭い通路では電撃杖は振り回せませんのでね。

 小雪さんは両手でダガーを持っています。
 その内の一本は、グリップガードを備えた本格的なトレンチナイフ、塹壕などで白兵戦をする時のもので、どうやらこれを、防御用に使うつもりなのでしょう。

 もう一本は、かなり大型の30センチはあろうかと思われる両刃のものです。
 小雪さんなら、難なく使えるでしょう。

 深雪さんはというと、こちらも両手にナイフを持っていますが、メイル・ブレーカーと呼ばれる、刺殺専用のもので鍔がついています。
 チヨッと見は十手のように見えるかも……
 ルネッサンス華やかなりしヨーロッパで、鎧をぶち抜くのに作られた短剣。
 深雪さんの持つものは三角形の剣身をして、こちらも30センチ程度でしょう。
 独鈷杵(ドクコショ)の力が付加されますので、どんなものでも突きさせるでしょう……

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元聖女だった少女は我が道を往く

春の小径
ファンタジー
突然入ってきた王子や取り巻きたちに聖室を荒らされた。 彼らは先代聖女様の棺を蹴り倒し、聖石まで蹴り倒した。 「聖女は必要がない」と言われた新たな聖女になるはずだったわたし。 その言葉は取り返しのつかない事態を招く。 でも、もうわたしには関係ない。 だって神に見捨てられたこの世界に聖女は二度と現れない。 わたしが聖女となることもない。 ─── それは誓約だったから ☆これは聖女物ではありません ☆他社でも公開はじめました

当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!

犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。 そして夢をみた。 日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。 その顔を見て目が覚めた。 なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。 数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。 幼少期、最初はツラい状況が続きます。 作者都合のゆるふわご都合設定です。 1日1話更新目指してます。 エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。 お楽しみ頂けたら幸いです。 *************** 2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます! 100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!! 2024年9月9日  お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます! 200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!! 2025年1月6日  お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております! ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします!

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です  2024年6月中旬に第一巻が発売されます  2024年6月16日出荷、19日販売となります  発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」 中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。 数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。 また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています 戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています そんな世界の田舎で、男の子は産まれました 男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました 男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります 絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて…… この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです 各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

書き出しと最後の一行だけで成る小説

音無威人
現代文学
最初の一行と最後の一行だけで成る実験小説。内容は冒頭とラストの二行のみ。その間の物語は読者の想像に委ねる。君の想像力を駆使して読んでくれ! 毎日更新中。

処理中です...