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第五十四章 伊賦夜坂(いぶやざか)での戦い
戦闘侍女を侍らせて
しおりを挟むそのころ……
「凄い所ですね……この通路、狭いし、暗いし、暑いし、臭いし……」
「マレーネさんのいうところによると、伊賦夜坂(いぶやざか)というそうですよ」
と、小雪さんがレクチャーしてくれました。
「そうそう、私が聞いた所では、この通路の途中に道反の大神(ちがえしのおおかみ)と呼ばれるゲートがあり、そこまでを伊賦夜坂(いぶやざか)と呼ぶらしいですよ、そこまではまだましとか……」
深雪さんが続きます。
「この臭い、まだ酷くなるの?」
「だそうですよ、しかも道のりは相当長いようです」
「これ、硫黄の臭いですね、たまらないわ……」
「マスター、深雪、少々うるさいですよ、戦場ですよ、ここは」
「分かっていますよ」
ペチャクチャと私と深雪さんはおしゃべりしながら歩いています。
それにしてもこの100気圧はしんどいですね、しかも室温70度……
「小雪さんも深雪さんもタフですね……特に深雪さん、珍しい剣を抱えていますね?」
「こんな剣を使うことがあるかも知れないと思って……」
「こんな場所ですよ、そんな物抱えて、しんどくは無いですか?」
「あら、私たち、これを身につけていますから」
よく見ると、二人のチョーカーには独鈷杵(ドクコショ)の他に、小さなバッジが付いています。
よく見ると八つ丁字紋ですね。
「その八つ丁字紋のバッチ、何?」
「局所空調装置です、ものすごく快適ですよ、まあまあの消臭装置も付いているそうです」
「チョット待ちなさい!何でそんな良い物持っているの!」
「マレーネさんがくれました、マスターには不要と云っていましたが?」
「確かに生存はできますが、この匂いはなかなかのもの、まあまあの消臭装置を何故、私にくれないの!」
うぅ……マレーネ……覚えてらっしゃい……脂足女のブーツを投げつけてやる……見てらっしゃい、この臭いの恨みを、足臭爆弾テロで返してあげるわ!!
「マスター、良からぬことを考えていませんか?」
……
「おや、沈黙ですか……」
まったく小雪さんと違い、深雪さんはよく喋る事……
「もう……後で覚えてらっしゃい、深雪もマレーネと一緒に、脂足女のブーツという、足臭爆弾で攻撃してあげます」
「いゃー、なんておぞましい!でも誰のブーツ?脂足って人族のものでしょ、実はマスターが脂足なのでは?」
「そんな!失礼な、というより無礼でしょう!貴女とは、ときどき寝ているでしょう!ベッドで私から臭いがしましたか!」
ここで小雪さんが、
「たしかにマスターからは良い匂いがしましたね、とくにあそこから……」
「えぇ……マスターあの時も、良い匂いがするのですか!」
「そうよ、深雪知らなかった?昔ね、マスターを皆で襲ったの!するとね……マスター、ものすごく感じたようで、全身から良い匂いがしたのよ、エラムの愛人たちに聞いみたらいいわ」
「……うらやましい……」
「なにを云っているのですか!小雪さんまで!」
とりあえず局所空調装置は、コピーさせて頂きました。
その時、通路が薄明るくなりました、通路の向こうに誰かがいます……
「さて馬鹿話もここまで、お迎えが来ましたよ」
三人います、その後ろの通路には、その配下の野良アンドロイドたちが、通路を埋めるほどいます。
「ルシファー様ですね、我はソロモン72柱が一人、盗賊の伯爵アンドロマリ、こちらは異相の公爵ダンタリオンと願いの貴公子セエレ」
「そちらが準備出来ましたら、お手向かいさせていただきましょう」
「これはご丁寧に、アンドロマリとやら、こちらは私の侍女でお友達の小雪と深雪の姉妹、今更とやかく言いません、準備はいつでもできています」
私は小太刀を引きぬきました、狭い通路では電撃杖は振り回せませんのでね。
小雪さんは両手でダガーを持っています。
その内の一本は、グリップガードを備えた本格的なトレンチナイフ、塹壕などで白兵戦をする時のもので、どうやらこれを、防御用に使うつもりなのでしょう。
もう一本は、かなり大型の30センチはあろうかと思われる両刃のものです。
小雪さんなら、難なく使えるでしょう。
深雪さんはというと、こちらも両手にナイフを持っていますが、メイル・ブレーカーと呼ばれる、刺殺専用のもので鍔がついています。
チヨッと見は十手のように見えるかも……
ルネッサンス華やかなりしヨーロッパで、鎧をぶち抜くのに作られた短剣。
深雪さんの持つものは三角形の剣身をして、こちらも30センチ程度でしょう。
独鈷杵(ドクコショ)の力が付加されますので、どんなものでも突きさせるでしょう……
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