49 / 125
第五十章 ナーキッドの再介入
デヴォン島の危機
しおりを挟む私が潮時と判断していた頃、ボストンでは……NSM88が支配するアメリカの軍首脳、白人優越主義に凝り固まった男たちが会議をしています。
このアメリカ最古の都市は、ニューヨークやワシントンが壊滅状態になった後、臨時首都として君臨しています。
最後の近代都市として生き残ったボストンから、アメリカの権力中枢は、北米に命令を発しているのです。
「ナーキッドの小娘がチョロチョロしているのか?」
「日本の最新垂直離着陸飛行艇で乗り付けて、偵察していったようだ」
「内戦に勝利した我らが、気になるのだろう」
「鼻が効くのだろう、イエローモンキーなど支配される民族、いやジュノサイドの対象である」
「我らが崇高な白人と、同じ空気を吸うのも許されぬ」
「偉大な預言者であられた総統は、1943年にこう云われている」
『ラストバタリオンは世界を支配する、甦ったナチスの軍団と、その強力な同盟がそのときに来る、宇宙からの復讐のカタストロフィとともに来るぞ、それからが真の究極だ、真の終わりで真の始まり、真の淘汰、天国の地獄』
――1945年のヒトラー最後のラジオ放送より抜粋、ここでは1943年の演説とさせていただく、by作者――
「いま我らには強力な同盟者がいる、ラストバタリオンは今こそ世界を支配するために、行動を起こすべきだ!」
アメリカ合衆国大統領が力強く云った。
ナーキッドの難民収容施設が稼働し始め、難民が押し寄せて、ケープタウン行きの移民船が忙しく運行し始めた頃です。
暦は八月に入りました。
「マスター、アメリカ軍がカナダのヌナブト準州の元フロビッシャー・ベイ、いまのイカルイトにある飛行場を占拠しました、そこへ兵力を集中しています」
「デヴォン島のナーキッドの責任者に警報を伝えなさい、多分大丈夫でしょうけど」
「それがそうでもありません、デヴォン島の防衛バリアは破られるかも知れません」
「えっ!」、思わず声がでました、彼らにそのような力があるとは思えませんが……
「彼らの兵器をサーチしましたが、少しテラの武器ではないものが見受けられます」
「彼らの手で作られたものは確かですが、何者かが知識を与えたとしか思えません」
「デヴォン島の地下都市を守る、物理的な防御システムは破られませんが、デヴォン島の気候システムは機能を停止する恐れがあります、外気が入れば地下都市に篭る必要があります」
確かに防御バリアに穴が開けば、外気が容赦なく襲ってくるはずです、かなりのところはナノマシンが調整しますが、気温は難しいかも知れません……
しかしあの防御バリアがね……
誰が知識を与えたのか……
野良ですかね……イザナギかも知れませんし……どちらにしろ、アスラ族がかんでいる……
「ヴァンパイア軍団は、デヴォン島に進駐させるのですか?」
「そこはマスターのご判断に任せます」
……兵力が少ないですからね……
しかも相手はアスラ族の武器を持ってそうです。
「ヴラド・ドンさんが来ているのでしょう?」
「明日、夕刻にここへ呼びなさい」
「それから小笠原の長谷川司令官に、打合せに来るように伝えなさい、例のUS―3ならそんなにかからないでしょう」
「ゼノビアさんに命じて、陸戦ロボット部隊一個中隊を緊急にデヴォン島へ派遣するように、マレーネさん、どうやらテラの事はテラの人間で、とはいかないようですね」
「明日遅くには、長谷川司令官も来るでしょう」
「デヴォン島には少数ですが、防衛用の陸戦ロボット部隊もいる筈ですし、一個中隊を増派しましたから、なにかあってもなんとかなるはずです」
また戦争です……
エラムでも戦争続きでした、惑星をひっくり返すほどの内乱が三度も、多くの人が死にました。
しかしテラでは数十億、惑星の人口の半分近くが死んだ後の内乱です、どこまで人口減少が進むのか……
でもこうなったら、やったろうじゃありませんか!
大きな喧嘩を売られたのです。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

精霊に好かれた私は世界最強らしいのだが
天色茜
ファンタジー
普通の女子高校生、朝野明莉沙(あさのありさ)は、ある日突然異世界召喚され、勇者として戦ってくれといわれる。
だが、同じく異世界召喚された他の二人との差別的な扱いに怒りを覚える。その上冤罪にされ、魔物に襲われた際にも誰も手を差し伸べてくれず、崖から転落してしまう。
その後、自分の異常な体質に気づき...!?

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜
ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。
社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。
せめて「男」になって死にたかった……
そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった!
もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!

当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!
犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。
そして夢をみた。
日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。
その顔を見て目が覚めた。
なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。
数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。
幼少期、最初はツラい状況が続きます。
作者都合のゆるふわご都合設定です。
1日1話更新目指してます。
エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。
お楽しみ頂けたら幸いです。
***************
2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます!
100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!!
2024年9月9日 お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます!
200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!
2025年1月6日 お気に入り登録300人達成 感涙に咽び泣いております!
ここまで見捨てずに読んで下さった皆様、頑張って書ききる所存でございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします!
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる