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第四十九章 虫
冷酷な女
しおりを挟む「分かっていますね、シウテクトリ、どんな手を使っても虫を暴発させ抹殺せよと、ルシファー様はおっしゃっています、よいですね」
姉が云います。
「シウテクトリさん、いつでも虫の星系を吹っ飛ばせるようにしていて下さい」
「彼奴等は必ず約束を破るでしょうから、それから片っ端から末端の虫の世界を消し去りなさい、一匹たりとも許しません」
「オルメカの軍事力、頼りにしています、とにかく本星以外の虫の処理をたのみます」
「また惑星893のような出来事があれば、その対処もお願いできますか?」
「ルシファー様の対処の仕方を見習って行いましょう、とにかく対虫戦争はお任せ下さい、正規戦ではありませんが、我らにはなんでもありません」
こうして虫の命運は尽きたのです、あとはどう料理するか、方法論の話です。
「虫の話はここまでです、さて私たちに、虫退治をけしかけたイザナギについてですが、この者たちは敵と判断します」
「イザナギについて、この場にいるもので詳しく知っているのはシウテクトリさん、貴女だけ、今回の件についてどう思いますか?」
「イザナギは男性体の『しもべ』、主がいなくなったとしても、その目的を達成するようにプログラミングされているはず、イザナギの目的は女性体の抹殺……いや奴隷化でしょう
「女性体と違い、男性体は子孫を残すためには、女が必要なのですから……女性体は惑星893のようなことも可能、もしくはアスラ族のように、二母性の単性生殖もできますから……」
さらっと、とんでもないことを云いましたが、その話はあとの後、その時が来れば考えましょう、いまはイザナギの件です。
「イザナギにとって野良は敵の一人、虎視眈々と共倒れを狙っているというか、私たちの力が弱まるのを待っている」
「一番最後に出てきて、漁夫の利を得るつもりでしょう、汚いですね」
「しかし悪辣なら私は負けませんよ、後悔させてあげます」
「しかしまずは野良と虫、イザナギには筋書き通りと思わせておくのが一番」
「ゼノビアさんは、イザナギが行動を起こさぬように臨戦態勢で待機して下さい」
「貴女が隙を見せなければ、イザナギは動かないはず」
「マレーネさんには、野良の相手をしてもらいましょうか、とにかくまずは、野良を何とかしましょう」
この日から、オルメカは活発に活動を始めます。
虫の隠された支配惑星を、次々と発見し、情け容赦なく虫退治に専念しています。
虫に協力する者も処罰の対象です。
すぐに降伏する者は、ナノマシンを増殖させて服従を強制させますし、反発するものはマグネター砲を使用して消しさっています。
幾つもの虫の協力惑星が消えました。
しかし膨大な惑星世界が降伏しています。
ホモサピエンス以外の世界も多々ありました。
昆虫型種族の住む星、爬虫類の進化種族が住む星、ホモサピエンスでは無い、哺乳類種族の住む星……
案外、ホモサピエンスが住む星が多いのには驚きました。
この虫退治の過程で、ホモサピエンスの居住惑星でも、意外にもカンバリズムは珍しくない。
はっきりと認識してしまいました。
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