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第四十九章 虫
イザナギの端女
しおりを挟む「で?」
「とにかく無条件に降伏せよ、降伏すれば安全は保証すると伝えましたが、二体は陸戦ロボット部隊に攻撃を始めました」
「かなり強力なアンドロイドで、陸戦ロボットでは太刀打ちできませんでした、そこで私が相手をしました」
「私は最新鋭の戦闘用アンドロイドです、古いタイプ相手に遅れは取りませんが、二体相手でしたのでかなり損傷を受けました」
「片目と片手が、一時的に機能しなくなりました」
「マスターから頂いた側女のチョーカーの威力がなければ、このぐらいでは収まらなかったかもしれません」
「そのチョーカーの防御力と、修復能力のお陰で、ここまで戻る間に、応急処置ができました」
「このあとステーションCに戻り、本格修復するつもりです」
「ご苦労様です、ゆっくり直して下さい、イザナギの戦闘用アンドロイドを破壊した以上、あとはフェルナンダさんが報告してくれるでしょう、そうですね、フェルナンダ」
「はい、全てお話いたします」
タマルさんが敬礼をして帰ろうとしますので、私はタマルさんを抱きしめて、濃厚なキスを……
すこし胸などを撫でて、クールな気品を漂わすこのシステマチックな絶世の美女さんに、あぁ……なんて云わせました。
耳元で、
「タマル、治ったら早く戻って来なさい、日の高いうちにこの続きをね……」
と、囁きながら、大事なところを……
「もう……マスターは好色なのですから……」
すごく色っぽい顔を一瞬しました。
「タマル、今回の功績を評価します、本日より貴女を夫人待遇側女といたします」
タマル・バグラティオニは「光栄です」と云って、踵をきちっと鳴らして、再度敬礼して退出していきました。
さてフェルナンダさん、今度は隠し事はなしですよ。
タマルさんが傷を負ったのですから……
「私たち八名は、前にも云いましたとおり、イザナギの端女、主人たちに奉仕するため作られた、愛玩用アンドロイドです」
「主人たちは男性体、その生理的欲求を満たすために、私たちは存在していたのですが、当時、虫はアスラ族をおそれ、密かに活動していました」
「対イザナミ戦争の際、イザナギは虫が持つ膨大な戦略物資と引き換えに、私たちのような非戦闘用をいくらか売り払うことにしたのです」
「数万年の間、私たちは惑星893で、虫のために家畜牧場を管理していました」
「私たちにエネルギーを供給していた、太陽光エネルギー変換ジェネレーターも、そろそろ寿命がつき始め、八名でここまでかと話し合っていたのでしたが、先ごろイザナギの配下がやって来ました」
「そして私たちに云ったのです、虫の本星が封鎖された、このままでは、この惑星のホモサピエンスを全種族抹殺して虫は引き上げると……」
「私たちは幾万年も、惑星893のホモサピエンスを有る意味、育ててきました」
「愛着もあります、食用人種ではありますが、私たちはなんとか虫の目を盗んで、食用は死産をさせ、生殖用として本物のホモサピエンスを産み分けさせていました」
「それなのに、惑星893の八種族が抹殺されてしまうと聞かされ慌てました、なんとかしなければと……」
「そのイザナギの配下が良い知恵をだしました」
「今度ヴァルナ評議会議長が出現した、新しい議長は伝説の軍事称号ルシファーの所有者、そのルシファーが虫の星系を封鎖している」
「ルシファーはどうやら虫の肉食が我慢ならないようだ、この際、このルシファーに直訴してみればどうだと……」
「さすればルシファーは怒って、虫に対して殲滅の命令を出す、ただ我らのことは黙っていろと」
「ルシファーが行動を起こせば、我らはすぐに消えるとも云っていました」
「でも……多分、私たちはこのイザナギの配下に抹殺されるだろうとわかっていました」
「私たちはどのみち、この先長くはないが、それでも惑星893のホモサピエンスは生き残れる」
「八名で話し合った結果、一番状態が良い私が、テラにいくことになりました」
「私が生き残れば、惑星893のホモサピエンスを長き間存続させることができる」
「その間に、何とか自分たちで生きれるようにする、そのような結論になりました」
「そして行動を起こしましたが、意外にもミコ様の行動が早くて……タマルさんには申し訳ないことを致しました」
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