上 下
36 / 125
第四十九章 虫

イザナギの端女

しおりを挟む

「で?」
「とにかく無条件に降伏せよ、降伏すれば安全は保証すると伝えましたが、二体は陸戦ロボット部隊に攻撃を始めました」

「かなり強力なアンドロイドで、陸戦ロボットでは太刀打ちできませんでした、そこで私が相手をしました」
「私は最新鋭の戦闘用アンドロイドです、古いタイプ相手に遅れは取りませんが、二体相手でしたのでかなり損傷を受けました」

「片目と片手が、一時的に機能しなくなりました」
「マスターから頂いた側女のチョーカーの威力がなければ、このぐらいでは収まらなかったかもしれません」

「そのチョーカーの防御力と、修復能力のお陰で、ここまで戻る間に、応急処置ができました」
「このあとステーションCに戻り、本格修復するつもりです」

「ご苦労様です、ゆっくり直して下さい、イザナギの戦闘用アンドロイドを破壊した以上、あとはフェルナンダさんが報告してくれるでしょう、そうですね、フェルナンダ」
「はい、全てお話いたします」

 タマルさんが敬礼をして帰ろうとしますので、私はタマルさんを抱きしめて、濃厚なキスを……
 すこし胸などを撫でて、クールな気品を漂わすこのシステマチックな絶世の美女さんに、あぁ……なんて云わせました。

 耳元で、
「タマル、治ったら早く戻って来なさい、日の高いうちにこの続きをね……」
 と、囁きながら、大事なところを……

「もう……マスターは好色なのですから……」
 すごく色っぽい顔を一瞬しました。
「タマル、今回の功績を評価します、本日より貴女を夫人待遇側女といたします」

 タマル・バグラティオニは「光栄です」と云って、踵をきちっと鳴らして、再度敬礼して退出していきました。

 さてフェルナンダさん、今度は隠し事はなしですよ。
 タマルさんが傷を負ったのですから……

「私たち八名は、前にも云いましたとおり、イザナギの端女、主人たちに奉仕するため作られた、愛玩用アンドロイドです」

「主人たちは男性体、その生理的欲求を満たすために、私たちは存在していたのですが、当時、虫はアスラ族をおそれ、密かに活動していました」

「対イザナミ戦争の際、イザナギは虫が持つ膨大な戦略物資と引き換えに、私たちのような非戦闘用をいくらか売り払うことにしたのです」
「数万年の間、私たちは惑星893で、虫のために家畜牧場を管理していました」

「私たちにエネルギーを供給していた、太陽光エネルギー変換ジェネレーターも、そろそろ寿命がつき始め、八名でここまでかと話し合っていたのでしたが、先ごろイザナギの配下がやって来ました」

「そして私たちに云ったのです、虫の本星が封鎖された、このままでは、この惑星のホモサピエンスを全種族抹殺して虫は引き上げると……」

「私たちは幾万年も、惑星893のホモサピエンスを有る意味、育ててきました」
「愛着もあります、食用人種ではありますが、私たちはなんとか虫の目を盗んで、食用は死産をさせ、生殖用として本物のホモサピエンスを産み分けさせていました」

「それなのに、惑星893の八種族が抹殺されてしまうと聞かされ慌てました、なんとかしなければと……」
「そのイザナギの配下が良い知恵をだしました」

「今度ヴァルナ評議会議長が出現した、新しい議長は伝説の軍事称号ルシファーの所有者、そのルシファーが虫の星系を封鎖している」
「ルシファーはどうやら虫の肉食が我慢ならないようだ、この際、このルシファーに直訴してみればどうだと……」

「さすればルシファーは怒って、虫に対して殲滅の命令を出す、ただ我らのことは黙っていろと」
「ルシファーが行動を起こせば、我らはすぐに消えるとも云っていました」

「でも……多分、私たちはこのイザナギの配下に抹殺されるだろうとわかっていました」
「私たちはどのみち、この先長くはないが、それでも惑星893のホモサピエンスは生き残れる」

「八名で話し合った結果、一番状態が良い私が、テラにいくことになりました」
「私が生き残れば、惑星893のホモサピエンスを長き間存続させることができる」

「その間に、何とか自分たちで生きれるようにする、そのような結論になりました」
「そして行動を起こしましたが、意外にもミコ様の行動が早くて……タマルさんには申し訳ないことを致しました」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

月が導く異世界道中extra

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  こちらは月が導く異世界道中番外編になります。

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐@書籍発売中
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

異世界で生きていく。

モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。 素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。 魔法と調合スキルを使って成長していく。 小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。 旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。 3/8申し訳ありません。 章の編集をしました。

転生してもアイドルを目指します。悪役令嬢なんて可愛くないのでやりません。

和泉 凪紗
ファンタジー
「銀色の髪に紫の瞳……。おまえがレティシアか?」 「はい、そうでございます。お初にお目にかかります。レティシアと申します」 「おまえ、噂と違ってブスだな」  周囲の空気が一瞬固まる。ピシッと音か聞こえた気がした。 「はぁ……」 「すごく美人で可愛いと評判で僕好みの顔だと聞いていたのに全く違うじゃないか」 -------------  トップアイドルだった橘枝織は高校卒業を記念したドーム公演を控えていた。大学合格を決め、目標であった念願のドームでのコンサート。しかし、リハーサル中の事故で命を落としてしまう。目が覚めるとそこは生前愛読していた乙女ゲームをモチーフにしたWeb小説の世界。  悪役令嬢のレティシアとして転生してしまったらしい。ヒロインをいじめてざまぁされ、破滅する役どころだ。婚約破棄になるのがわかっているのに顔だけで婚約者を選ぶような王子様の婚約者になんてなりたくない。ヒロインをいじめるなんて可愛くないことはしたくない。  せっかくの二度目の人生。アイドルなんて存在しない世界だけど、大きな会場でコンサートがしたい。アイドルとしてキラキラ輝きたい。  作者には悪いけれど、こちらの世界でもトップアイドルを目指します。悪役令嬢? 可愛くないのでやりません。  普段は地味でぶさいくな令嬢を演じて、舞台の上では輝きます。

片翼を君にあげる②

☆リサーナ☆
ファンタジー
自分の過去を乗り越え、レノアーノへの想いを素直に受け止めたツバサは自らの人生《みち》を見付け、ようやく夢の配達人として再出発を切った。 しかし、最初は順調かと思いきや、その人生《みち》で待ち構えている様々な苦悩や試練。 そして、愛、友情、約束……。ツバサ、レノアーノ、ラン、ライ。幼馴染み4人の絆も、子供から大人への成長で変わっていくーー。 この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。 2021.9.24(金) 連載開始

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...