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第四十八章 三級市民
農奴は私よりはましな待遇
しおりを挟む「もしも北米やアジアの人々が……」
私は言葉を引継ぎました。
「ランクをつけたら三級市民……代価は自由になるでしょうね……」
ブレンダさん、蒼い顔をして聞きました。
「農奴……ですか……」
飛躍した言葉ですが、そのあたりと自分でも納得したのでしょうが。
私は返事をしませんでした。
しかし私の胸のうちはもっと厳しいものでした。
……言葉は悪いですが、奴隷なのですよ……
露骨な差別はしませんよ、しかも実践などはとんでもないですが、明らかに支配される身、そのようなカテゴリーと認識して頂きます。
マン島に戻って来ますと、エステラさんが来ていました。
ブレンダさんがチクっています。
全く女は仕方ない生き物ですね……と、私も女でした。
「ブレンダがユーラシアアジアの人々は農奴とか云っていましたが?」
「なら私よりはましな待遇ではありませんか、ブレンダは何を呆けたことを云っているのか?」
エステラさん、どういう意味?
「私は奴隷、なんの自由もありません、ミコ様の魅力にがんじがらめ、ミコ様は女ではありません、男のようです」
「支配される事がこんなに甘美で、待つことがこんなに苦しいなんて、農奴ならここまで切なくはありません」
「たしかに、望めば他の男と普通の自由な生活も可能なのでしょうが、望むことはありえない」
「……」
「いつでもエステラはミコ様の所有物、ミコ様に心も身体も満たしてもらいたい」
「いや、奴隷ですから、いつでもミコ様のご命令に従いたい、不要になれば捨てられることも厭わない、その時は自由をいただきますが」
死ぬ自由と云いたいのですね……やれやれ愛されるのもしんどいかも……
「エステラさん、貴女は自由にはしませんよ」
「失礼ですが、私に一生仕えていただくつもりです、夜伽の順番を私は守ります」
「ミコ様……私は一生仕えますね♪」
エステラさんが、うれしそうにいいます。
私は、エステラさんの人生をおかしなモノにしたのかも知れません……
そう思うと申し訳ないような……
「エステラさん、お茶でも如何ですか」
「ミコ様とお茶、嬉しい♪」
私がポットを持って行こうとすると、ブレンダさんが「ミコ様、私が……」
と、いってポットを持って行きました。
「エステラさん、この先、いろいろあるでしょう、長い長いお付き合いになるでしょう、ついてきて下さいね」
紅茶は美味しくいただきましょう、アールグレイですか?
ベルガモットの香りが、エステラさんの一言で、揺れた心を落ち着けてくれます。
お茶を飲みながら、このエステラさんもブレンダさんも、私の身内……
アールグレイで少し冷静になった思考……
二人の代価は、私に自由を差し出すこと?
受け取る私の代価は……これも自由を放棄すること?
「そうそう、ティル・ナ・ノーグのクィーンズ・スクールの女官任官課程の生徒は美しいですよ」
「なんといってもイギリスの美女、高貴な風貌ですから、きっとミコ様のご寵愛をいただける女たちばかり、ご期待下さい」
「クィーンズ・スクールの女官任官課程って、どんなカリキュラムなのですか?」
「昼間は普通の一般学問と、貞淑な女としての教養、完全寄宿舎なので放課後の夜の授業として、化粧、愛など、また夜間体育として、あそこの締め方など……」
なにか、まずい響きがありましたよ……
「ここの卒業生は、生理に生理処理用品などあまり必要としません」
「皆、ミコ様にお仕えすることが、唯一の望みのようです、とても可愛いですよ」
なんでも物凄い競争率とか……
「それはそうでしょう、だって女官任官課程の生徒になれば、ナーキッドの施設は無料なのですから、それに女官退官後も若さを保てますから」
ますますエラムのように、女官さんの集団ができますね……ハレムが巨大化するのですか、どうなるのでしょうか。
「まぁ、その時はその時よね、それより今起こりつつある出来事は待ったなし、目前の問題を解決しなければ」
独り言がでました。
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