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第四十八章 三級市民
二級市民の代価
しおりを挟むその頃ヨーロッパでは……
ブレンダさんが、
「エウローペーを、如何するおつもりですか?」
「南米はテラ本来の文明が残るでしょうが……この地はかなり陸続き、ユーラシアアジアから難民が押し寄せ、文明を維持するのが難しい……」
「しかも北アフリカにはエボラ出血熱が蔓延している状態、ワクチンが有効なのは確か……」
「言葉は悪いですが、この地に残るのは、主にラテンの人々、良くも悪くもある意味ケ・セラ・セラ、それでいいのかもしれません」
「無為自然、あるがままに暮らしていけばいい、鼓腹撃壌(こふくげきじょう)――十八史略より――がなにより、本来の意味は腹ずつみをうち、大地を打ち鳴らし太平の世を喜ぶ、そこには施政者等お呼びではない……そんな大衆に施政者は胸をなでおろした……」
「しかしそのようにできるのでしょうか?」
「たしかに不満がなければ、良からぬことは起こらないのは確かですが……」
ブレンダさんは、利己特性の削除などは知りません、知っているのはごく一部の最高幹部だけ……
ヨーロッパを切り離せば……
ユリウス五世聖下のお願いにも、答えられるかもしれないし……それに将来的には、このヨーロッパから旧世界へ文明を再展開する橋頭堡にはなるでしょう……
その時が来ればいいのですが……やはり私たちが、最終的に行わなければならないのでしょうね……
ペットの飼い主には責任がありますから。
「エウローペーを抱え込むしかないですね……強制的にはしたくないので、現地政府の崩壊などをマン島から待ちますか……」
「どのみちナーキッドが、実質的には支配しているのですが……影響力を行使して、無法者などをヨーロッパとアジアの接する地域に展開させて、防衛ラインとしますか?」
「民には、公平にではないのですか?」
「公平?ブレンダさん、公平に扱うならば、今のナーキッド支配領域以外の人々は、天変地異に自らを晒して生き抜かねばならないはず」
「もはや私たちが、あの天変地異をそれなりに抑えた時点で公平は不成立、私についてきてくれた人々と、それを拒否した上で泣きを入れたテラの人々とは、自ずと扱いが違います」
「自ら選択したのですよ、南米とヨーロッパは、私にとっては二級市民、更にいわしてもらうなら、北米やアジアは私にとっては責任のない地域、自ら生きて行ってもらうしかありません」
「知らないと……」
「生きようが死のうが、あずかり知らないと断言します」
「それが彼らの選択でしょう」
「しかし私には、テラの前統治機関から絶対的な統治権を譲り受けていますので、その彼らが私にすがりついてくればなんとかしなくてはなりませんね」
「その場合、二級市民よりもさらに厳しい代価を、貰い受けます、しかも扱いは二級市民よりもさらに厳しい」
「二級市民の代価とは?」
「ブレンダさんにはわかっているはずでしょう、あえて聞きますか?」
「……」
「絶対的な統治権、テラに対して、何をしても良い権利、支配する権利ですよ」
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