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第四十七章 山荘予言

超人(ユーベルメッシュ)

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「『あいつ』が、シナリオを書いたというわけですか?」
「でも何故?」
「このテラの現状を望んだのですよ、そして目的は現実のものとなった……」
 姉さんが、
「そうね、このままなら嫌でも予言の通りになるわ」

 マレーネさんが、
「今の問題はこの予言に対してどうするかですが、『あいつ』が望む通り、それはそれでいいのでは……」
「ここまで来れば、選択の余地はないように思えますが」

「そして神人(ゴッドメンシュ)を導いてくる……」
「私をエラムに呼び、テラに飛ばして何をさせようとしているのか……」

「人類はこのままでは滅亡するわけです、ヒトラーがいみじくも云っています」
「結婚もせず子供も産まず、男以上の働きをする女が増え、女性の位置が向上し、そして人類は滅びる」

「たしかベルリン・オリンピックの記録映画、美の祭典の監督であるレニ・リーフェンシュタールに向かっていった言葉でしたね」

「……」
「つまりシナリオが実ったわけです、しかし警告があるのです、このままでは滅亡すると……」
「利己特性を切り捨てて、出生性差を歪め、やっと生き残っても、種の滅亡は免れない……」

「しかしなにもしなければ、人類は全滅していたはずでは……」
「そう……『あいつ』は私にそれを回避して、人類を進化させろと云っているのではありませんか?」

「ヒトラーの予言の中には、こうもあります」
「人類が進化すると、テラにも宇宙にも大変動が起こると……」
「このテラの人類を選り分けて、片方は退化し、片方は進化する、バランスを取る上では致し方ない……」
「しかし進化するものは何処へ行くのか?」

 そして神人(ゴッドメンシュ)を導いてくる……

 導かれたものは、神の代理人というべき存在、超人(ユーベルメッシュ)に出会い、目的を知る……

 この先、Y染色体が衰退していくのは確実、その前に擬似的な男が居ない世界ができる……
 人類が真に生き残るための時間ができる……
 それを利用して、女だけで生殖し種として繁栄を続ける……

 そんな世界がありましたね。

「……」
「この世界を支配していた、アスラ族の後継民族を創造する……」
 姉さんが呟きました……

 マレーネさんが、
「マスター……これ以上はイシス様とお二人でお話ください、私が首を突っ込む問題ではありません」

「そうですね……方針は二人で決めなくてはならないでしょうね、それだけの責任はありますから」
「方針をお決めになれば、方法論はご相談ください」
「そうしましょう」

「ところで、私からの提案ですが、クリームヒルト・ニーチェは側女にしては如何でしょう
「幼いといえども危険な存在、マスターに支配していただいたほうが安心です」

「それは私も思う、クリームヒルト、超人(ユーベルメッシュ)は愛も官能もナチュラルより集まるという」
「幼いといえど理解はできるであろう、幾つになるのか?」
「十一歳です……」

「ドイツの娘ですから、初潮があってもおかしくない年齢、下り物(おりもの)はある?」
 全身真っ赤に染まったクリームヒルトでしたが、消え入るような声で、
「二月ほど前から……あそこから……透明なものが……」

「もうすぐですね、これで決まりです」
「なにが決まりですか!クリームヒルトの気持ちも聞かないで!」

「私は望んでいます」
 クリームヒルトが突然いいました。

 姉さんが勝ち誇ったように、
「アナーヒター、フライングですが、クリームヒルトに側女のチョーカーをつけてくれますか?」
 初潮が始まったら、抱かねばならなくなりました。
 それまで、姉さんがクリームヒルトを預かるそうです。
「しっかりと教育しておくわ♪」

「では私はここでお暇を……」
「お茶でもしますか……」

 マレーネさんが幻のように消え、私はクリームヒルトに側女のチョーカーをつけ、フェルナンダさんを呼びました。

 姉がいるのに驚いてはいましたが、
「はじめてお目にかかります、吉川茜様ですね、フェルナンダ・モタと申します」
 首には当然のように側女のチョーカーがついています。

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