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第四十七章 山荘予言
シナリオ
しおりを挟むマレーネさんも、
「ナチスは昭和十九年に崩壊しているはず、超人(ユーベルメッシュ)が生まれることはありえないはず……イレギュラー……」
クリームヒルトが泣きそうになります。
「現にクリームヒルトは、ここに存在します」
「確かにありえないことですが、それが目の前に存在している以上、事実を受け入れるしかありません」
「クリームヒルトは、この歳で、新ゲルマニアからアスンシオンまで、物乞いをしながらたどり着き、私を頼ってくれたのです」
「もしテラに居られないなら、新天地を授けます、クリームヒルト、世界は広いのよ、貴女の居場所は必ずあるのですよ」
「この子のことは貴女に任せましょう、しかし超人(ユーベルメッシュ)については……」
「だから来てもらったのですよ、例のパラレルワールドの件、アース世界の歴史を把握しているのは、私たち三人だけ、それについて話し合いをしたいのです」
「ここにいるのは、幼いといえど超人(ユーベルメッシュ)、自身の運命を聞く権利はあるでしょうし、客観的に対処できるはずです」
「まずヒトラーの山荘予言ですが、これは今のテラの世界でも存在する予言です」
「南ドイツにあるオーベルザルツベルグ山荘で語られた予言、そこには近未来の世界と、人類が語られているのは有名な話、要約すると次のようになります」
「未来の都市は地下都市となる、毒が人類に降りかかるからだそうです、そして未来の機械は生物と似てくる、特に人間の頭脳を持つ機械に、人々は尋ねるようになる……」
「21世紀、空気と水と食料の汚染ゆえに、人々は衰える、というものもありますね」
「確かにいまの状態を示している」
姉が同意します。
「ここからが問題です、ご存知のように、アースのヒトラーの予言は他にもあります、究極予言といわれるものです」
「近未来人類は両極端に別れる、一つは永遠の子供、子供を甘やかす、異常な社会がその背景にある」
「親の盲目的な溺愛を受け、試練に何一つ出会うことなく育てられた子供、我慢ということを知らない、大人になれない人間……」
「もう一つはその対極の人間、幼い頃より大人の思考と感情を持つ人間、そう超人(ユーベルメッシュ)……
「自らの判断で、行動していると思っている永遠の子供、無知の大衆、それらは最終的に支配されるもの、奴隷階級の出現となる……」
クリームヒルトが、このあとを続けました。
「そして超人(ユーベルメッシュ)は、無知の大衆を支配する精神的貴族……」
「それ、誰が云っていたのですか?」
「お母様がいつも私に云っていました」
「クリームヒルト、これだけは言っておきましょう」
「貴族というものは、大衆に奉仕するものです、たとえ本来が支配者たるものとしても、私はそれを認めません」
「分かりました」
マレーネさんが、
「マスターの云いたいことは、ヒトラーの予言がいま現実になっていることですか?」
「いえ、言いたいことはこの次なのよ、クリームヒルトは私を見て神人(ゴッドメンシュ)かと聞いたのです」
姉さんもマレーネさんも絶句しました。
「神人(ゴッドメンシュ)……」
「クリームヒルト、なぜアナーヒターを神人(ゴッドメンシュ)と呼んだの?」
「わかりません、ただ、そう呼べと思ったからです」
「ひょっとして、『あいつ』……」
ヒトラーの予言に度々出てくる者、思念体か何かはわからないが、ヒトラーを操ったかもしれない存在……
「『あいつ』については、私と同じ事を考えているでしょう……ここでとやかくは言いませんが、一つアースと違うことに気づきませんか?」
「どこが違うの、指名予言や最後のメッセージがないこと?」
「いえ、テラのヒトラーはこう云っているのです」
人間は神の道を歩んでいる、破壊的な危機の中より超人(ユーベルメッシュ)が生まれる、そして神人(ゴッドメンシュ)を導いてくる……
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