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第四十七章 山荘予言
側女待遇采女
しおりを挟むクリームヒルトをどうしましょうか……目の前で、無心にご飯を食べるこの子を見ていると、親の温かさが必要でしょうし……
私は姉になれても、親にはなれそうもないし……
食事が終わり、私はクリームヒルトを連れて部屋へ戻ります。
クリームヒルトは、どこか出会った時のアテネに似ている……
無口で滅多に心を開かない、子犬のように私に纏いつく、アテネには私しかいないのかもしれません……
でもオディール女学館に通い出してから、友達も出来て、良く笑うようになりました。
知らない人が見ればまだまだ無口ですが、エラムのアテネを知っている者が見れば、その変化に驚く筈です。
やはり高等女学校が好いでしょうね……テラにはおいておけませんし……
「ねえ、クリームヒルト、学校へ行かない?」
「嫌です!」
即答ですね……
「でもね、皆学校へ行かなければならないのよ」
「……私、ミコ様と一緒に居たい、一人ぼっちは嫌!」
やれやれ、これは困った事になりました。
恐ろしいほどに賢いはずですからね、クリームヒルトは……
「私は嘘などいいません、貴女は必ず守って見せます、でもね、忙しいお母さんも世の中にはいるでしょう、だから少し我慢してね」
「わかりました……」
「クリームヒルト、そんなに悲しい顔をしないで、貴女の保護者は私、休暇には、私のもとへ帰ってくるのですから」
!
「それと、特別にこの指輪をあげましょう」
「采女の指輪といい、本来は私に抱かれる予定の女が持つものですが、しかし本人の希望で拒否もできます」
「だから貴女の未来を、拘束はしないでしょう」
「身に付けている限り、どんな事からも守ってくれますし、少なくとも私の影響下にある世界では、貴女の身分証明ともなるでしょう」
「貴女は側女待遇采女にします、側女の資格が有る限り、私の世界、つまり、ヴィーナス・ネットワークの何処へでも行けます」
クリームヒルトの指には大きすぎますので、チェーンを付けて、ネックレスにしてあげました。
「クリームヒルト、正直に言いますが、側女待遇采女というのは、すぐになれるわけではありません」
「貴女は特例中の特例、これが何を意味するかは、賢い貴女なら判りますね?」
「私が超人(ユーベルメッシュ)ということだと思います」
「その通り、でも貴女が今、飲み込んだ言葉ではありませんよ、決して監視するためではありません、守るためです」
「知っての通り、貴女はナチスの人種政策の成果といってもいいでしょう、間違いなしに超人(ユーベルメッシュ)です」
「しかしそれゆえに敵が多くなるのは確実、このナーキッドの中にも、ユダヤ関係の人々は多いのです」
私は少し考えました、この際、姉とマレーネさんには、このことを知ってもらっておきましょうと、なんといっても、テラの未来にかかわることですし、それに……
「マレーネさん、少し相談があります、姉さんと一緒に来てください」
「クリームヒルト、これから見たこと聞いたことは他言無用、いいですね」
「はい、ミコ様のご様子から、命にかかわることと理解できます」
二人が転移してきました、茜姉さん、つまりイシスさんですが、おおよそのことはマレーネさんより聞いているのでしょう、かなり怖い顔をしています。
「クリームヒルト・ニーチェです」
姉がじっとクリームヒルトを見ます……
クリームヒルトが、私の後ろにしがみついてしまいました。
「姉さん、クリームヒルトはまだ幼いのですよ、怖がっているではありませんか!」
「アナーヒター、この子は……本来、存在してもいいのでしょうか?」
クリームヒルトが、この一言で真っ青になります。
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