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第四十六章 南米

リオの夜は死を招く

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 要塞のような屋敷へ入りますが、恐怖に歪んだ死体が一杯です。
 気絶しているフェルナンダさんを叩き起こして、ともに屋敷の中に入り、私は屋敷を封印しました。

 さて、大きいゴミを片付けに行きましょうね。

 で、中に牢屋のような部屋があり、女が一杯……
 ひと目で麻薬中毒と判りますし、私兵の為の女のようです、なぐさみものですか……
 腹が立ちますね、どうしてくれようか!

 その男は屋敷の奥にいました、息子もいますね……
 一族が武装してたてこもっているようです。
 まぁ、ゆるゆると殺してくれるとして、この中毒患者……治してあげますか。

 今の私は、エラムにいた頃よりも、はるかに力が向上しています。
 今では人の肉体を再構成出来るほどです。
 麻薬中毒の治療ぐらい簡単です。

 私の手が輝き始めます。
 一人一人の頭に手を起きますと、うつろな目に生気が宿ります。
「フェルナンダさん、この方たちの面倒を見ていてください」
「どちらへ?」
「聞くだけ野暮でしょう?」

 私はボスがたてこもっている部屋の真ん中に転移して、「慈悲はありません、殺してあげます」
「なぜ殺されなければならないのか!」
「御自分でおわかりのはず、自決しますか」

「殺してくれる!」
「では死になさい」
 こうして男たちを、あっさりと殺してあげました。

「さて残ったのは女たちですか、いつの世にも女は悲しい者ですか……」
「ご主人の蛮行を許容していた以上、同罪です」
「お慈悲を……」

「私には見えます、そういって嘆願した女を、殺すように云った貴女の姿が、そしてうすら笑いを浮かべていた、そこにいる娘もね、死んでいった女と同じ様に、殺してあげましょう」

 それを聞いた瞬間、男の妻は窓から身を投げました。
 娘も続きます。
 同時に麻薬組織の構成員も、全員処分しました。

「鬼!私も殺せばいいわ!」
 一人残った孫娘が叫びます。

「殺してもいいのですが、貴女は嘆願した女を助けるように云っている姿が見えます」
「汚れた金と承知で、それで生きていたのは罪ですが、ささやかな罪と認めます、生きてその罪を償いなさい」

 私は孫娘をそのままに、部屋を出て行き、監禁されて麻薬漬けにされていた女たちのいる場所へ戻りますと、フェルナンダさんが待っていました。

「ミコ様、魔法を解除してくれませんか?この方たちを病院へ運びたいのですが……それに後ろにいる女はだれですか?」
 私とした事が……孫娘がついてきていました。

 しかしフェルナンダさんの云う通り、確かにこのままでは誰も入れませんし、電話も出来ません。
 生きているのは、ここにいる者とあの孫娘だけ……

 フェルナンダさんが、
「貴女……早くここを出なさい……判るでしょう……」
「死にそこねました、後は修道院か、この方の女になるかしかありません」

 ?

「組織のボスの孫娘でしょう、組織が崩壊した以上、報復が起こります、相当の恨みを買っていますから」
「勿論……修道院なのでしょう……ね」

「……」
「えっ!」

「ミコ様、私たちからの願いです、その女、私たちに……」
「悪いけどこの女、いじめががいがありますので、私が遊びます、飽きるまではあげられません、ごめんなさいね」
 とっさに言っちゃって……あーあ、墓穴を掘ってしまいました。

 この孫娘、名前をベアトリス・フィーゴといい、十六歳といいますが見えませんね……もっと大人の女性に見えますが……

 優しい顔の可愛い子ちゃん、スラッとしていて清楚な感じのお嬢様……しかし随所に勝気なところが見えます。
 ちなみにフェルナンダ・モタさんは二十八歳……
 こちらは若く見えます。

「両親の敵に身を任せる事もないでしょう、南米を離れなさい、小笠原あたりに部屋を用意してあげます」
「……」

 えっ、嫌なの……この女、苦手……
「とにかくホテルへ帰りましょう、目眩がしてきました、ベアトリス、ついてきなさい」
「……」

 今度はなに?
「この方たちも……」
 やれやれ……
「皆さん、どうされますか?」
「帰る所がないのです……」
 目眩の後はため息ですか。

「一緒に来なさい」

 その頃、ホテルでは忍さんがやってきて、独り言をぶつぶつと云っています。

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