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第四章 メインベルト小惑星帯

貨物鉄道軍事ステーション集結

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 アリシアさんは、ある疑問が湧いてきた。
 そして口に出してみた。
「生体と云われますが、どこからその生体を手に入れるのです?」

「今のところ分かりません、生体そのものではなく、何処からかDNAを手に入れ、促成培養すれば似たようなものは可能です」
「塩基配列が分かっていれば、それも不要でしょうね」
「DNAですか……」

「高等知生体のものなら、何でもいいでしょう」
「いまのところ、このソル星系内でしょうから、出所はおのずとかぎられてくるでしょうが、少し手に入れれば、あとはコピーすればいいのです」

「コピーは劣化を起こしますが、オリジナルを確保していれば量産ができるでしょう」
「目眩のする話ですね」

 ここでアニーさんが、
「そのお話は後でも良いのでは……いまは敵をやっつける事が先では……」

「アリシア執政官、小官もそのように考えます、とにかくソル星系外惑星鉄道ステーション群に、警報を出しましょう」

 やっとそこにきずいたのね……まったく……

 ソル星系外惑星鉄道が戦時体制となり、ガリレオ衛星ステーションの市民は、念のために第三層に避難を命じられました。
 防御バリア展開装置が四基伸びあがり、ピラミッド型に防御バリアが張り巡らされます。

 とりあえず軍用ドックでは、コンテナが量産され始めます、今のところ二日に一隻ですがね。
 そして一隻目が完成した頃、待っていた偵察の報告が入ってきました。

「エウノミアにマシンが見受けられ、地下になにか空洞があるようです、質量が変化しています」
 レリンさんはすぐに反応します。

「すぐに艦隊をエウノミアに向かわせます、ちょうどコンテナが一隻出来たところですので、これに乗って艦隊に合流します」
「アリソン、同行をお願いします、ミランダとダリヤは残って防衛戦の準備を進めるように」

「レリン先任軍事参議官、コンテナには何人乗れるのですか?」
「三名ですが」
「では後一人乗れるのですね、私も行きます、アデラインさん、後は頼みますね」

 あら、まぁ……勇ましいこと、アリシアさんらしいわね……
 
 レリンさん、かなり反対していますが、アリシアさん、断固として譲りません。
 とうとう押し切って、コンテナに乗ってしまいました。

 メインベルトの外側に、貨物鉄道の軍事ステーションが三隻集結しています。
 アリシアさんたちの乗ったコンテナが、保線用緊急退避ステーションに接舷し、三人は乗り移ります。
 中には保守管理のロボットたちが、動き回っていました。
 レリンさんが、
「保守管理コンピューター、私はソル星系外惑星鉄道貨物路線を預かる、先任軍事参議官レリン、確認せよ」
「確認しました、ユニバースのソル星系外惑星鉄道貨物路線先任軍事参議官レリン様、ご命令を」

「戦闘コンピューターを起動、呼び出せ」
「当ステーションの戦闘コンピューターです」

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