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第十四章 穏やかな日々は夢幻(ゆめまぼろし)

シルミ居館の女はフェロモン全開

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「今日、来たのはね、この間のメイド、この屋敷に派遣することになってね、隣の小さい館、テレジオ侯爵家の別邸だけど陛下が購入されたのよ」 
「このシルミ居館に編入してね、管理はここの管理人、ディム・ジュリア・ドレスラーに一任するわ、良いわね」

「謹んで王命をお受けいたします」
 ジュリアさん、神妙ですが、なんだか出来レース?のような……

「それから貴女達の社会的な地位の事だけど、『ベネット王家は聖女エマに対して、住居と生活費、及び身の安全を提供する』となっているのよ」

「この館は王家が貸し出し、聖女エマが管理している、そして聖女エマはその管理をディム・ジュリア・ドレスラーに委任している」
「皆の給料は、王家が聖女エマに提供する生活費の中から、聖女エマが再配分している」

「機密公文書には、このように記載される」
「エマさんには、この件、了承してね」

「理解しております、王国といわず王家という以上、極秘に出来ると、一応、公金扱いになりますから、どこかに説明できる書類が必要でしょう」
「理解が早くて助かるわ♪」

「メイドなのだけど、契約主は、エマさんに変える手続きは終了しているのよ、さらに言えば2,000ランド分は引いてあるわよ」

「えっ、ということは……」
「年季が明けると、『愛人』として遇する、面倒はみる、ということよ」
「女の『年季奉公』人にとって、最高の待遇よね、大抵は女の『年季奉公』人が年季明けするのは30半ばでしょう?余生はあまり良いことにならないわね」

「『年季奉公』人を『愛人』にするのはたまにある事よ、追加で『愛人契約』をつけるのよ、ただね、この場合、年季明けまでに手を付けなくても、『愛人』とみなされますからね、生涯面倒を見る義務が発生するのよ」

「『雇用契約』+『愛人契約』とは違いはここにあるのよ、こちらは手を付けなければ『愛人』ではないのよね、だから気に入らなくて、ポイする雇用主は結構いるのよ」

 雇用する側としては、ポイするのですから、その女が出戻りで酷い目にあっても、あずかり知らないわけです。
 まあ、2,000ランドは回収できませんけど、『雇用契約』につく『愛人契約』は雇用契約の期間有効だそうで、悪用する者が多々あるようです。
 雇用契約を結ぶ時にですね、綺麗なお姉さんをだまして『愛人契約』をつけて……

 『雇用契約』の場合は『拘束』魔法はかけられません、そのため、貴族は重要な仕事に対しては結びません。

「ベアータ・トストといったわね、管理人の補助として雇ってあげるわ、ただし守秘義務の順守を『雇用契約』に入れるわよ、エマさんの事を口外したら、その罰則はわかっているわね」
「叔母から聞きましたが……」

「ベアータ、それ以上は望んではいけません」
 ジュリアさんです。

「まあ、いいじゃない、ベアータ、望みをここではっきりと言ってみなさい」

 王妃様……私でも、次の言葉は想像できるわ。

「『雇用契約』ではなく、『年季奉公』にしていただきたいのですが……」
「『年季奉公』ということは、それだけの値打ちがあるというの?」
「エマ様にお仕えできるように、閨も日々の仕事も一生懸命覚えます!」

「その言葉、『王妃』として、確かに聞きましたよ」
「死ぬ気で頑張ります!」

「では、エマさんを誘惑するように、力を尽くしなさい」

 この一言で、ベアータちゃん、エマさんと『年季奉公』+『愛人契約』を結んで、12歳にして永久就職となった訳です。

 この後、ベアータちゃん、同じ『年季奉公』+『愛人契約』のメイドさんの入知恵を素直に聞いて、露骨に誘惑したりしています。
 4人の『愛人』さんも影響されたようで、シルミ居館の女はフェロモン全開、羞恥などどこ吹く風となったのです。

 エマさんの溜息も、かき消されているようですね。

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