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第十四章 穏やかな日々は夢幻(ゆめまぼろし)
愛人契約
しおりを挟む王妃様がやってこられました。
「エマさん、ジュリアさんとアーダさんを『愛人』にしたのね、これ国王陛下からの証書よ、これからディム・ジュリア・ドレスラーとディム・アーダ・ソレンギと名乗ればいいわよ」
「おや、この娘さんはどこの娘さん?」
「申し遅れました、この子はベアータ・トスト、ジュリアさんの姪で、今日から館の住人になります、ベアータ、オリエッタ王妃様にご挨拶なさい」
「ベアータ・トストと申します、ジュリア・ドレスラーの姪で、今日からエマ様の為にご奉仕するつもりです」
「ご奉仕?どういう意味かしら?」
「エマ様は支度金として、2,000ランドくだされました、叔母がいうには、エマ様はこの意味がお判りではないそうですが、私は女を捧げるつもりです」
「なるほど、貴女は女になったの?」
「閨という意味ではまだです、身体は生理をむかえ、女になりました」
「ものおじしない娘ね、分かったわ、励みなさい」
なにを言っているの?閨、なんですか!閨?ベアータちゃん、まだ13歳になっていないのよ!
「エマさん、支度金に2,000ランド払うということは、『愛人』にするという意味よ、それを受けるという事は了承したという意味よ、はっきり言えば、この娘はエマさんが愛人にすると、宣言したようなものなの」
「エマさんがモノにしなくても、世間は『愛人』として扱うし、エマさんが抱かずに捨てたとしたら、出戻りの扱いとなるのよ」
「余程でなくては、2,000ランドなんて受けないはずよ」
使用人にたいして、2,000ランドの支度金という意味は、『気に入ったから、愛人にどうか?』という意味で、まるまる2,000ランド受けたら、『お気に召したら、愛人にしてください』という意味らしいのです。
当然、使用人の雇用契約に、この愛人条項が記載され、これを一般的には『愛人契約』というらしいのです、当然、契約主が押し倒しても、なんら問題はないわけですよ。
『愛人契約』となると、契約主に対して、『貞操義務』が発生し、『貞操義務』を破ると、『姦通罪』なんてものが飛んで来るのです……
この『姦通罪』、真に男有利で、罰せられるのは『貞操義務』が発生している女だけ、男は顰蹙を買って終わりですが、まあ、名誉を重んじる方は、申し出れば決闘が認められます。
まず、上流階級では決闘となります。
恐ろしいのは、同性間でもなんら問題はなし……脱線しますが、この世界の女は12歳になり生理があれば一人前の女とみなされます。
正式に『愛人』とする場合は、教会に寄付をして、証明書をいただき、役所に提出するわけです。
教会は宗派が色々分かれていますが、大本は創造神を崇める宗教で、神のお言葉(ロゴス)を記載された『神書』があり、それぞれの宗派は、7神と呼ばれる神の加護を優先して願うことにより、発生しているようです
……
「まあ、トスト準男爵家の実情は把握していますから、これがベストなのは確かでしょう、なんといってもエマさんがモノにしたら、幼いと云えどバロネテスですからね」
……
「ベネットとしては、なんであれ、エマさんの周りが、ベネットの女で埋まることに反対はないのよ、ジュリアさん、12歳ですが、よくよく閨の技術を仕込んでね、トスト準男爵家では、そんな事教えていないようですから」
王妃様、私の周りの女性、徹底的に身辺調査をしているようです……
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