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第十一章 危ない同居人
侯爵令嬢は涙する
しおりを挟むアーダ・チェーザリ、18歳、負債返済の為の身売り……それなりに美女さんなのですね。
その美人さんは、秘密競売の奴隷市場でステージに立たされ、競りにかけられています。
奴隷服を着せられてね。
「10,000ランドから始めよう!」
「10,000ランド!」
「50,000ランドだ!」
「この娘は器量よしだ、しかも18歳だが処女だ!王立女学院を去年卒業のお貴族様の娘だ!『結界』魔法や家事魔法の『焼き上げ』も使えるぞ!」
「70,000ランド!」
「75,000ランド!」
「90,000ランド!」
「おっ90,000ランドがでた!」
「この娘は、夜伽も承諾済みだ!」
「95,000ランド!」
「100,000ランドはないか!」
……
「125,000ランド!」
……
「130,000ランドはないか!これが最後だ!」
……
「よし、アーダ・チェーザリは125,000ランドで落札とする!」
この後も奴隷の入札は続いてますが、アーダ・チェーザリは落札した奴隷商のもとへと引き立てられました。
「これが売り主、チェーザリ子爵の売買証書、これが本人の承諾書、夜伽の承認のサインもある」
「処女鑑定書は?」
「これだ、健康診断書もある、身体は健康だ」
「商品の検分をしたい」
「分かった、アーダ・チェーザリ、ここで全部脱いで見てもらえ」
「えっ」
「もうお前は奴隷だぞ、命令に逆らうな」
ノロノロと全裸になるアーダ・チェーザリ、屈辱と羞恥で涙を流しています。
奴隷商は慣れたもののようで、あっちをさわり、こっちをさわり、口の中、歯並びまで見ています。
「検分した、125,000ランド、確認してくれ」
……
「たしかに確認した、これが領収書だ」
「こちらが協会発行の奴隷契約証書だ」
「『拘束』魔法をかけるか?」
「たのむ、これからすぐに依頼主に引き渡すことになるのでな」
「では1,000ランドだ」
こうしてアーダ・チェーザリは、どこの誰ともわからない者の奴隷となったのです。
手枷足枷をつけられ、口には猿ぐつわ……
奴隷商はアーダを引き連れ、王家の離宮へ向かいます。
離れに通され、しばらくするとジルド殿下と、大きな金袋を抱えた書記官、そしてもう一人、婦人がやってこられました。
「これはライネーリ辺境伯夫人、ご無沙汰しております」
なんか、納得しているような顔の、奴隷商さんでした。
「殿下、ご依頼のアーダ・チェーザリ、125,000ランドで落札できました」
「『拘束』魔法代金が1,000ランド、手数料が成功報酬の1割、1,650ランドですので、全部で127,650ランドでございます」
「うむ、ご苦労、書記官、手続きしてくれ」
書記官が大きな金袋をドンとテーブルの上に、
「先ぶれがいってきた額だ、127,650ランドある、確かめてくれ」
「確認いたしました、こちらがアーダ・チェーザリの売買書類一式です」
どうやら、10,000ランド大判金貨とかいうものがあるようです。
「では私はこれで、またのご用命をお待ちしております」
奴隷商が退室するのを確認して、
「書記官、この奴隷の猿ぐつわを外してやってくれ」
「アーダ・チェーザリ、一度会ったことがあるな?」
「……王宮の舞踏会で一度……」
「貴女を購入したのは、こちらのライネーリ辺境伯夫人だ」
「そうですか……大体は察することができます、この身をどうなりとお好きに」
「貴女を?購入したのは違う意味よ、殿下と相談した結果、ある方にメイド奴隷として奉仕するためです」
「『結界』魔法も、当然有効利用していただくけどね、ある方に言い寄る者どもをあしらってね、元侯爵令嬢の貴女なら出来るでしょう?」
「そういうことだ、昼間はパン屋の店員をしてもらうことになる」
ジョスリーヌさんが、アーダ・チェーザリさんのステータスで、奴隷となっているのを、一応確認していました。
※※※※※
名前 アーダ・チェーザリ
年齢 18歳
性別 女
称号 元チェーザリ侯爵家長女、シルミ居館付き奉公人
魔法 『結界』
家事魔法 『焼き上げ』
健康状態 良好
心理状態 絶望
奴隷
※※※※※
「たしかに奴隷になっているわ」
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