さえない男の、あるある異世界お取り寄せ生活

ミスター愛妻

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第九章 激動の王都ロンバル第一日

こんどはピネー侯爵家が後ろ盾

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「まあ、バンベルク大主教殿は、聖女様の安全を第一にと書かれておられる、そして聖女様は神の御使いともいわれておられる」
「教皇猊下はお苦しいであろうな……聖女様を認定しての第2の聖女様、しかも神の御使いの聖女様が現れたのだから……」

「とにかくエマ様、今後どうなさりたいのですかな?」
「のんびりと3人で、お気楽なパン屋でもしようかなと考えています、面倒ごとはご免ですから」

「なるほど……わかりました……」

「お兄様、エマ様はライネーリ辺境伯家ご用達仕出しパン屋という事を、ご承諾されておられます」
「ライネーリ辺境伯はこのことはご存じなのか?」
「言えないではありませんか!」

「では後ろ盾は、我がピネー侯爵家がするしかなかろうな」
「それは……」
「ジョスリーヌ、えらくこだわっておるが、何かほかにあるのかな?」

「エマ様は料理がお上手で……時々、お店が開店した折は、私のサロンの場所として……」

「宰相様、私は店内にジョスリーヌ様の為の特別ルームを作って、そこで料理を提供することに同意しております」

「そうですか……ではこう致しませんか?我がピネー侯爵家が後ろ盾となる、ピネー侯爵家ご用達仕出しパン屋と銘打って、その中にライネーリ辺境伯夫人専用の、『ジョスリーヌ・サロン』を認める」
「ジョスリーヌは私の妹、我儘な妹に甘い兄が認めては、多少笑われるだけで済む話」

「私はお兄様のご提案に同意しますが、エマ様はどうされますか?」
「構いませんよ、そもそも私には選択の余地はないのですから」

「ありがとうございます、悪いようには致しませんが、ただ不愉快な人の噂が流れるかもしれません、ご承知くださりますか?」

「不愉快な人の噂?」

「ピネー侯爵家が後ろ盾という以上、馬鹿は出ませんが、エマ様が私の愛人、そのような噂が流れるかと思われます」

「なるほど……確かにそうなるでしょうね……まあ、いいでしょう、それが一番矛盾のない話ですから……しかし、侯爵様は構わないのですか?奥様あたりがお怒りにはなられませんか?」
「妻?愛人はおりますが、妻はおりませんよ」

 えっ、愛人がいるの?私、その中の一人なの?

「念のために言わせてもらいますが、私は愛人にはなりませんので、聞かれたら否定させていただきますよ」
「当然でしょう」

「では、あとは皆様に任せますので、よろしくお願いします」
「お2人を信頼いたします、だからお伝えいたしますが、私は聖女ではありません、どうやらその上の大聖女のようなのです」

「なんとなくそうではないかと思っていました、私はステータスの加護まで見えるのですが、『エンサイクルペディア所持者』とか『危険予知』とか、初見の物が見受けられます」
「ベネット王国内では、ステータスの加護まで見える者は滅多にいません」

 クレマンさん、高位の聖職者なの?
 
「ピネー侯爵家は先祖が聖職者の出で、魔力が多いのですよ」

 ということは、『聖女』というのは見えるのですね……

「普通、加護まで見えるのは大主教クラス、ベネット王国内では大主教はいないのですよ」

「さて、今日の仕事はエマ様の件で終わり、どうです、夕餉などご一緒に?」

「お兄様、実はエマ様のパン屋の試供品をいただいております、食べてみませんか?」
 例の『ランチ●●●』を差し出したのです。

「ほう、綺麗な絵だが、これはパンなのか?」
 ジョスリーヌ様が、わがことのように説明しています。

「3日もつのか?1袋が6ランド?白パンでか?」

「エマ様は色々なパンを取り寄せられるのよ♪」

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