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第八章 おばさんと道連れ
洋風おでん
しおりを挟む予定より少し遅れて、ハイデルという町に到着、先ぶれがライネーリ辺境伯ご一行の到着を、町の代官に伝えているのでノーチェック。
かなり大きな建物の車寄せに、ジョスリーヌ様たちの馬車は止まります。
私たちの幌馬車も、その端っこに……
ここが今夜泊まる場所……えっ、迎賓館?
なんでも、高位のお貴族様が来られた場合、ここにご宿泊するとか……
「エマさんたちは、私たちと同じでこちらだそうですよ、ついてきてください」
親しくなった警護の方たちが、声をかけてくれます。
四戸連なりの、長屋のような建物に案内されました。
反対側にも同じような建物があります。
共同炊事場と共同便所もあります、井戸もあるのですよ。
今日は便所は使えても、共同炊事場は使えないそうなのですね。
「エマさんたちの無人馬車は、そのまま入口の前に置かれても構わないそうです」
1戸あたり、4人用の宿泊住居ですが、私たちには、1戸割当てていただきました。
「ここに泊まるのは私たちと警護の方たちで、夕食は用意されないらしいので、町へ食べに行く事になるようです」
「夕食、どうします?町へ繰り出す?」
フレイヤさんが、『旅のしおり バンベルク・ロンバル街道 ベネット王国編』を眺めながら、
「ご主人様、これによると、食事は意外に高いと書かれてありますよ」
どうやら、薪が高いようなのです。
そういえば、道中、あまり森を見ませんでしたね。
「じゃあ、なにか作りましょう♪」
そんな話をしているところに、警備の方たちの隊長さんがやってきたのです。
「エマ様、隊長さんがお願いがあると云ってこられましたが?」
「お通しして」
「エマさん、今夜の夕食ですが、作っていただけないかと……」
「えっ!」
「朝、昼といただいた料理、隊員たちが大変喜んで、あんなにうまそうに奴らが食べているのを見ると、夕食も食べさせたいと思ったものですから……」
「料金は15ランドと伺っております、支払いますのでお願いできませんか?」
「いいですよ♪私どもも今から夕食を作ろうとしていたところです、代金はいりません、ただし、皆さん、飲み物を調達してください」
「ちょっと変わった具沢山ポトフなんていかがですか?ビールがいいかと思いますよ♪」
「分かった!調達してくる♪それとパンはどうする?」
「パンは出来ましたら、いつものパンをお願いできませんか?」
「分かった」
「おい、夕食はエマさんが作ってくれるそうだ!具沢山ポトフらしいぞ!」
さて、さっそく『炊き出しかまどセット』の出番です♪
警備兵の方が火を熾してくれます。
薪は幌馬車からフレイヤさんが出してくれますよ♪
5.7リットルのアルミの大鍋に、『京風おでんのだし』を投入、コンソメとみりんや塩で味を調えて、洋風にしています。
これに、100円●ーソンのおでんの具を山のように入れています。
ただコンニャク・しらたきは入っていませんね。
これに、『カレーの具』とかいう、ジャガイモと人参をカットしたもの、あらびきポークウインナー、国産豚肉バラ薄切り、肉だんごを入れて、ぐつぐつと……
国産豚肉バラ薄切り、肉だんごは198円ですが、●ーソンさんの系列なのでOKです♪
これら具材に火が通ったら、
かにかま、揚げなす、厚焼たまご、ミニトマト、たこ焼き、三角生あげ、を追加して、さらに煮て……
最後に味がしみ込んでいる、次のおでんの具を投入。
大根、うずら巻、ごぼう巻、いか天、はんぺん、焼ちくわ、揚ボール、がんも、野菜天、餅入り巾着、たまご。
「出来ましたね♪」
結構な量が大鍋の中に泳いでいます。
薪をくべてくれていた警備兵の方に、味見をお願いしますと……
感激してくれました。
「ビールを調達してきましたぞ♪それと5人の使用人も参加したいと云ったので、連れてきました♪」
「構わないわ、ちょうどできたところ、こちらの方に味見をしていただきましたので、味はまあ食べられるでしょう、ね♪」
「隊長!美味しいですよ♪」
「好きなものを取って、好きに食べてください、足らなくなったらいくらでも継ぎ足してあげますから♪」
「皆、野営用のコッヘルとカラトリーは用意できているか?」
「おー!」
「では、行儀よく並べ、いくらでもあるそうだから、慌てることはない!」
コッヘルの蓋をお皿がわりにして、皆さん行儀よく、洋風おでんを取っています。
コッヘルには調達したビール♪
「さあ、乾杯だ!」
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