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第六章 帝国領を南下

オムレツ談議

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 幌馬車に戻った3人。
 お風呂で身体はポカポカ、フリースのワンピースを着込んでいます。
 カセットガスストーブをつけて、馬車の中とは思えないほど快適ですね♪
 といっても、幌馬車、密閉がいいわけではありません、まあ、おかげで中毒なんて気にしなくてはよいのですが、不幸中の幸いというやつですかね。

 夕食は、オムレツをチョイス!
 沖縄あたりでよく使われている、クッキングハッシュ、使い切りタイプが95円であるのを見つけたようなのです。

「オムレツなんて、子供のころに母親が作ってくれ、食べて以来なのよ♪」
「クッキングハッシュが安くあってね、取り寄せ出来るようなのよ♪挽肉って100円以下ではないのよね」

 玉ネギ、人参を細かく切り、クッキングハッシュと一緒にスキレットで炒め、塩胡椒で味付け。
 かなり大量に作っています。

 別のスキレットにバターを投入、割りほぐした卵で薄焼きを作り、取り置いていた具?を3分の1いれて、くるりと……器用ですね。
 エマさん、スキレットを3個しか取り寄せて居なかったので、もう一つ追加で取り寄せて居たのです。

 エマさんの作ったオムレツ、帝国陸軍の軍隊調理法が元のようです。
 当然といえば当然なのですが、ケチャップなんてかけてあります。

「これがエマ様のお母様の味ですか?」
「そうなるのかしらね、クロエのお母様の味はなんなの?」
「……お母様がお料理ね……食べたことがないです……食事は全部、使用人が作っていましたから……」

 どんだけお嬢さまだったのですか!

 良く聞くと、クロエさんのご実家は、かなり裕福な準男爵家で、代々別の王国の経済官僚……
 で、お父様が権力闘争に負けた方についていたとか……

「まあ、お母様は没落する前になくなったのですが……お父様と一緒にカペーに亡命したのですが、お父様が暗殺されて……」
 生活の為に、女官になったらしいのですね。

「フレイヤはどうなの?」
「私は孤児でしたので……育てられたところの食事になるでしょうか……このような豪華な料理は出ませんでしたね……」

 えっ、たかがオムレツですよ?

「そうよね、エマ様とのお食事は豪華なものです、白パンなんかいつも食べられますし♪」

 白パンが高価というのは理解していましたが、なんどもいいますが、たかがオムレツですよ?

「ほんと、そう思います、卵料理って滅多にありつけませんから」

 どうも卵って、別にないわけではないのですよ。
 卵と大きめの黒パンが同じぐらいのお値段、それぐらいならパンを買うというのが、庶民なら当然の選択というわけです。

「その上、卵ってすぐ腐りますからね……」

 というわけで、卵料理なんてものは、これまた祝祭のご馳走というのが一般的らしいのですね。
 でも富裕階級の食卓では、出るようですね。

「私の世界では、卵なんてもの凄くお安いですよ、お肉は安いのから高いのまで色々ですけどね」
「この世界でもお肉は色々ですよね♪お肉はどこの世界でも一緒なのですね♪」

「ところで、この卵料理、卵少ないような……」
「それね、薄焼き卵でまいているだけなの♪家は貧しくてね、卵をそんなに使えなかったのよ」

 2人の為にテーブルロールなんて出していましたが、エマさんはおにぎりなんて食べています。

「パンをいつも取り寄せていただいていますが、エマ様はライスがお好きなのですね♪」 
「やはり、生まれ育った処の主食ですからね、時々無性に食べたくなるのです」
「2人はパンが主食なのでしょう?」

「その……私はジャガイモばかりで……パンはご馳走で……女兵士になってから、やっとパンが食べられるように……」
「白パンは、公爵家の姫の結婚式の警備に動員されたとき、初めて口にできました」

 どうやら、スコーネ公国というのは、かなり北の方にある辺境の国で、貧しいらしいのですね。
 デーン王国に滅亡させられた時、領主家、スコーネ公爵家の一族は全員亡くなったようです。

「2人とも、卵は好きなの?」
「好きです!」

 まったく……ハモるのですから……

「なら、別のオムレツを作りましょう♪、私も卵料理、大好きなのよ♪」

 とか、いいながら、まずはプレーン・オムレツ。
 さらにスパニッシュオムレツ……もう一つ、デンバーオムレツ……

 一つずつ作り取り分けていました。

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