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第四章 ご主人様のお仕事

女の嗜みなら

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「ハンスさん!洗濯ですか?」
 ギョッとした顔のハンスさん。

「いえ……これは……」
「そんな大きな洗濯袋を持っていたら、それ以外、何だというのですか?」

「洗濯ぐらいしてあげましょうか?」
「いや、それは悪いですし……それに臭いし……」

 案外可愛いのですね、鬼瓦のような顔が、いささか赤面していますよ♪

「構わないわ、殿方が洗濯袋をもってウロウロするなんて、絵にならないわよ」
 いいながら洗濯袋を強奪するエマさんです。

 元男なんですが、近頃、女性ホルモンでも出ているのでしょうかね……
 
 クロエさんが、
「エマ様、私がいたしましょうか?」
「いいのよ、この頃、掃除洗濯が苦にならないのよ」

「でも、エマ様が洗濯なんて……」
「さっきも云ったけど、これでも女の端くれよ」

「ハンスさん、分団の兵舎には洗濯場があるのでしよう?案内してくれます?」
「あるにはあるが……」

「はいはい、ボロくても結構、行きますよ」
 洗濯袋をかかえて、ずんずんと勝手に兵舎に向かうエマさんです。

「一応、洗濯板とかもあるのね♪でも散らかり方が酷いし、洗濯物が山積みよ?」
「その……洗濯女がやめてしまって……後釜がいなくて……皆、困って自分で洗おうとするのですが……中には手に余り放棄したりして……」

「ほんと、騎士さんって、生活力は皆無なのね、少しは出来なければ嫁が来ないわよ」
「お恥ずかしい……」

「エマ様、これだけの量を手洗いするのは無理ですが……」
「仕方無いわね……魔法を使いましょうか……」

「エマ様は『洗濯』魔法がつかえるのですか?」

 ……『洗濯』魔法?なにそれ?あわてて検索してみると、

≪家事魔法の1つ、手洗いの洗濯方法を自動化する魔法、大きな水槽に水を張り、ムクロジの実の皮を詰めた袋でもみ洗いするが、このもみ洗いをするのが『洗濯』魔法≫
≪関連するものとして、『熨斗』魔法と『乾燥』魔法がある≫

 『熨斗』魔法と『乾燥』魔法も当然検索しました。
 『熨斗』魔法は『火熨斗』と『湯熨斗』があるようです。
 要するに洗濯機と乾燥機、そしてアイロンと思えばいいのですね。

 いつも思うのですが、この検索というのは便利ですね、『エンサイクルペディア』という神様の加護なのでしょうが、とても助かっています。
 そういえば神様は『女の嗜み』なら、検索すればものになるとおっしゃっていたけど……ちょっとステータスを見てみましょう、久しく確認していませんでしたしね。


 ステータスの魔法の欄に
 魔法 『収納』、『植物図鑑』
 家事魔法 『洗濯』、『熨斗』、『乾燥』


 検索した魔法が並んでいました、家事魔法は魔法とは別のカテゴリーなのですね。

「『洗濯』魔法を使える女が、転職してしまって……」

「誰か、口説けばよかったのにね」

「その……とてもゴツくて……」

 どこでも美人さんが殿方はお好きということですね、まったく……わからなくはないですが……

「一応『洗濯』魔法は使えますので、もってきてください」
「エマ様、お待ち下さい!ハンス様、いくらか料金は頂きますよ」
「いかほどですか?」
「1枚50セントでどうですか?」

「クロエさん、面倒ですから洗濯袋1つで1ランドにしませんか?」
「エマ様がそう云われるのでしたら、その代わり1袋に付き、ムクロジの実を3個付けて下さい」

「そんなにお安くてしていただけるのですか?」
「分団員の方への、特別割引き料金ということです」

 ハンスさんの号令で出てくる出てくる……袋が40個ぐらい……
 汗臭くて、刺激臭を発するものまであります!

「臭い……でも男の臭い……」 

 ここの洗濯場には大きめの水桶が3つもありました。
 どうやら水桶1つで袋1つぐらいのようです。

 早速、お洗濯……
 なんせ、お湯も水も出せるエマさん、ぬるま湯なんかでね。

 しかも、そこはエマさんの魔法ですから、完全に全自動洗濯機、ぬるま湯が渦巻いて、洗剤なんて投入しています。
 すすぎに入り、脱水、あり得ないほど早いのです。

 洗濯終了すると、すぐに乾燥を始め、その間に次の洗濯、乾燥が終わると熨斗、つまりアイロンをかけます。
 時間差でこの3工程をドンドンこなして、クロエさんがたたんでいます。

 2時間ほどで終わったのですよ。
 儲けは40ランド、2,800円です。
 あとムクロジの実が120個……

 これ、どうするの?

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