上 下
17 / 124
第二章 森を抜けました♪

スカウトされました

しおりを挟む

 翌日、いささか2日酔いのエマさん。
 クロエさんが、
「昨晩の料理は美味しかったですね♪エマ様、元男と聞きましたが、あんなにお料理が上手なんて、ちょっと凹みました♪」

「私ね、『女の嗜み』なら、調べれば身につく、そのような神様のご加護を頂いているのよ」
「昨日は『コンソメスープ』のレシピを調べて、そのうちの1つを作ったの、本当はブロッコリーも入れる事になっていたけど、お高くて手に入らなかったのよね」
「それでカリフラワーですか、十分ですよ♪」

 村には宿屋はなく、皆さんは野営していたのですが、2人は牧師館の1室を提供されていたのです。
 ジュリアさんの、心づくしの朝食をいただき、ルホバ村を後にしたのは、朝の9時。
 昼前にはバウナハにつくようです。

「大主教様、私どもは荷車でも構いませんが?」
 バウナハの警備兵の隊長さんは、早朝、夜明け前にバウナハに1度戻り、さらに10人ほど引き連れて、囚人護送車と共にとんぼ返りで戻ってきているのです。
 その時、マルドゥク神殿警護騎士団からの要請で、荷馬車も1台、持ってこられているのです。

 囚人用の水とか食料とか、最低限のものは与えなくてはなりませんのでね……町に戻ったら、黒幕が誰か、拷問でもするようです。
 マルドゥク神殿警護騎士団の方々、メンツ丸つぶれですから、なんとしても口を割らせるつもりのようです、そのためここで死んで貰っては困る……

 本当は誰が黒幕かわかるのですけどね……お仕事の邪魔はね……
 ただ警護している隊長さんに、耳打ちをね、神様の啓示とか言って……

「いえいえ、か弱い女性を荷車などにはのせられませんよ、荷馬車の件、後で知りましてな、婦人用の馬車も持ってくるように頼んでいたらと、申し訳ありませんな」
「そんな、お気になされないでください、私たち、下女なんですから」

「話は変わりますが、エマさんは、料理上手ですな、あのスープ、大変美味しい物でした」
「クロエさんがおっしゃっておられましたが、カペーの宮廷料理なみとか、納得の味でしたよ、警護の兵士たちも大変喜んでいました」

「どうですかな、お2人とも、バンベルクのマルドゥク神殿警護騎士団の食堂に勤めませんか?」
「こう言ってはなんですが、『聖女』様の、身の安全を考えると、周りがマルドゥク神殿警護騎士団というのは、好ましいかと考えます」
「あの者たちも喜ぶでしょうし、私もエマ様の手料理を食べられますから」

 スカウト話は、バンベルクにつくまでにお返事することにしました。
 クロエさんと、よく相談しましょう。
 
 バウナハの町につきました。

 バウナハの主教館はかなりのお屋敷、本当はここにお泊りの予定でしたが、かなりお高そうな宿屋に宿泊、町には戒厳令を布告、しばらくすると、バウナハ主教様が逮捕されて、大騒動なのです。
 町に入ると、マルドゥク神殿警護騎士団がすぐに例の囚人を拷問、口を割らせて、その結果、主教館を強制捜索、証拠を見つけたわけです。

「隊長からの報告で、エマ様に神の啓示かあったとか?」
「出過ぎたことを」

「いえ、知らせを受けたので、直ぐに戒厳令を布告、主教館も封鎖、囚人に口を割らせて、主教館を強制捜索、証拠を発見しバウナハ主教逮捕、証拠隠滅、逃亡の暇を与えなかったのが良かった、といっていましたよ」
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

淫らなお姫様とイケメン騎士達のエロスな夜伽物語

瀬能なつ
恋愛
17才になった皇女サーシャは、国のしきたりに従い、6人の騎士たちを従えて、遥か彼方の霊峰へと旅立ちます。 長い道中、姫を警護する騎士たちの体力を回復する方法は、ズバリ、キスとH! 途中、魔物に襲われたり、姫の寵愛を競い合う騎士たちの様々な恋の駆け引きもあったりと、お姫様の旅はなかなか困難なのです?!

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件

フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。 寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。 プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い? そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない! スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

処理中です...