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第二十四章 缶詰には缶切を

02 アムリアの刺客

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 突然、殺気を感じました、警戒警報が鳴り響いています。

「小雪さん、ビクトリアさん、何か来ますよ?」
 二人が頷きます、ビクトリアさんは剣に手を掛けています。

 小雪さんは両手にナイフを握って、
「マスターもお願いします」と云いました。
 当然、私も愛用の電撃杖を手に持っています。
 久しぶりですね、電撃杖を手にするのは。

 どこからか、ボウガンの矢が一斉に飛んできました。
 私の電撃杖から、防御するように稲妻が無数に走ります。
 数十人が飛び出してきました。

 小雪さんがスーと走りだしました。
 両手に持ったナイフが煌き、赤い霧が漂い、その中よりさらに数人が走ってきます。
 ビクトリアさんが薄ら笑いを浮かべて相手をします。

 二人とも死の女王の従者にふさわしい姿です。
 またボウガンの矢が一斉に飛んできます、同じように電撃杖が放電します。
 幾らやっても同じです。

 しかし私が一瞬ボウガンの矢に気を取られた時、足元から剣がつき出ました、奇襲です。

 なんとか飛び跳ねて、避けたつもりですが、くるぶしを切られました。
 普通なら重傷です、毒が刃先に塗られていたようですからね。

 何とか治療の魔法で事なきを得ましたが、治療しながら地中に隠れていた刺客と戦う羽目になりました。
 すぐに始末をつけましたが、私の側にいたアンさんのお腹に刃先がふれてしまって、私が戦っている間に、毒が身体に回ってしまいました。

「アンさん!」
 私はアンさんを抱えてすぐに解毒を始め、何とか毒の進行を止めることができました。

 女子寮のアンさんの部屋へ運びました。
「レイラさん、うろたえない!もう命に別条はないのですから。」

「ヴィーナス先生、ヴィーナス先生、苦しい……」
「アンさん、大丈夫よ、もう大丈夫。」

「ヴィーナス先生、側にいて……」
 私はアンさんの手を取って、
「ここにいますよ」と、言いました。

 ダフネさんがやってきて、
「いま公館に襲撃した者の遺体を、運んで調べています。」
「この件はジャバ王国の要請で、かん口令がひかれます。」
「レイラさん、そういうことで、お口にチャックですよ。」

 ジャバ王国公館にいるはずの、サリーさんとアナスタシアさんがやってきました。
 アナスタシアさんが、
「アンさん……」
「アンさんは大丈夫ですよ。」
「誰が……」
 多分、貴女の想像している通りですよ……

 サリーさんがそっと耳打ちしました。
「アムリア帝国の手の者でした。」
 あの阿呆のジョージ三世ですか。
 返す返すもあの時、ぶっ殺しておけば……

 私の胸に黒い炎が燃えるのが、自分でも分かります。

「巫女様、冷静になってください。」
「……」
「巫女様!」

 分かっています、分かっていますが、このまま転移して、あの野郎をこの手で絞め殺してやる……
「巫女様! 主席につけ入られたいのですか?」
「……」

「この件は、主席の差し金というのですか?」
「ジョージ三世は狂っています、しかし即位当時は、狂いながらも冷静な男でした。」

「それがこの蛮行、誰かが耳元で囁いているとしか、考えられません。」
「巫女さま、どうぞお怒りを抑えて、お考えください。」
 確かにそうです、煮えくり返る気持ちを抑えなければ……

「ありがとうダフネさん、すこし頭が冷えました。」

「とにかくアンさんの看病です、アナスタシアさん、レイラさん、アンさんの看病に、今は専念いたしましょう。」

 その頃、リゲルで参謀がほくそ笑んでいた。
「これで帝国の諜報機関は全滅か、後の仕事がやりやすくなったな。」
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