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第二十一章 カルシュでの出来事
04 ラブロマンスを公演中
しおりを挟むカルシュは私にとって好ましい町です、女性の地位がかなり良いですね。
働いている女性も数多くいます。
同姓婚多妻制はエラムの本質らしく、どうしようもないですが、虐待されている奴隷さんは、あまり見受けられません。
奴隷さんといえど、家事に従事している程度で、工場などで酷い扱いを受けているのは見ませんでした。
もっともカルシュは、金融と商業の都市、ブルーカラーはあまり必要ない、土地柄のせいとは思いますが。
貴族もいますが、自治都市ですから、領地をもった貴族ではなく、あまりそれを威張る風でもありません。
治安も一番よいでしょう、その上、人々も生き生きしています。
モラルもホッパリアのように、低下しているようには見受けられません。
ただこのモデルを、エラム全域に普及することはできません、なぜならここにはお百姓さんがいないということです。
悪くいうと、農業生産を収奪している図式です。
もしこのカルシュが大帝国なら、このような繁栄は不可能でしょう。
小さくまとまっているカルシュ自治都市同盟は、賢い選択をしたものです。
私たちが昼食を食べている時、アナスタシアさんが突然、
「姫様、授業が終わったら芝居を見に行きませんか?」
と云います。
「芝居って、どこでやっているのですか?」
「カルシュにも劇場があります。いまラブロマンスを公演しているのを、知らないのですか?」
ラブロマンスねぇ……
正直、食指が動きませんね。
「アナスタシアさんは、そのラブロマンスが好きなのですか?」
「勿論です、姫様はお嫌いですか?」
アナスタシアさんが訴えます、行かなければいけないのですね。
「アテネさんも一緒に行きましょう。」
アテネさんものりが悪いですね。
しかし、視察が目的ですからね。
劇場はカルシュの大通りに面してありました、石造りの重厚な建物です。
私たちがチケットを購入しようと、受付へ行くと閉まっています。
休みではないはずですが、がっかりですね。
「アナスタシアさん、今日はお休みです、日をあらためましょう。」
「どうしたのでしょう、せっかく姫様に無理をいって来たのに……」
私たちがぶつぶつ言っていると、何やら人が抱えられて出てきました、役者さんのようです。
痛そうに呻いていますが、足の捻挫みたいですね。
なにかの縁ですか、もしこちらに来たのなら、治療して差し上げましょう、どちらですかね。
その役者さんは、付き人に抱えられながら、こちらへ来ます、ついている人ですね。
「そこの役者さん、直してさし上げましょう。」
私は治療のイメージを念じて、魔法を発動しました、この程度の治療なら、そんなに負担はかかりません。
「多分もう歩けますよ。」
役者さんは少し驚いていますが、そろそろと立ってみています。
「歩ける、痛みもない、これでお客様にご迷惑をかけなくて済む、ありがとうございます。」
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